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第29回教育財政シンポジウム報告


「いのち 暮らし 子どもを大切にする社会を 〜日本国憲法を生かして〜」
 
 
財政シンポ写真  健康で文化的な生活、義務教育の無償、武力によらない国際平和、幸福追求権・・・。 憲法が政府に要請しているにも関わらず、子ども、青年が学び、育ち、働くことが難しい過酷な現実が目の前にあります。
 29回目となった今年の教育財政シンポは、2015年11月28日(土)、東京の東洋大学を会場に、 「いのち 暮らし 子どもを大切にする社会を 〜日本国憲法を生かして〜」をテーマに開催され、 各地で起こっていることを報告し合い、未来に希望をもって生きていける社会をめざし、今できること、 知らなければならないことを共有する場となりました。
 
 
 
パネラー発言
3.11その後、“ふくしま”の今〜大震災と原発事故があきらかにした新たな格差と貧困〜

 福島県の学校事務職員から多くの伝えたい“ふくしま”の現状の中から、「こどもたちの生活と健康」を中心に報告がありました。
 「再開」が大きく報道される学校に実際に戻った子どもは1割〜2割。 その子どもたちを励まそうと奮闘する地域。来年度から募集停止となる被災地の高校。 プレハブ・仮設のままの校舎。今でも続く屋外活動制限等、教育の機会均等は崩されたままの現状、 「甲状腺がん」や深刻化する子どもたちの心の問題などの健康問題。そして震災による新たな貧困と格差の問題など多くの現状を報告されました。 そして私たちにできることとして「伝えること」そして「声をあげること」と呼びかけられました。

        パネラーのレジメはこちらです (PDFファイル 281KB)→



地域を変える/子どもが変わる/未来を変える〜居場所でおせっかいの連鎖を生み出す〜

 NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの事務局長さんから、子どもの冒険遊び場(プレーパーク)に始まり、 無料の学習支援、孤食の子どもたちに食事を提供する子ども食堂、夜の児童館など 困難を抱える子どもと親を支援する活動を続けるWAKUWAKUネットワークの活動を紹介していただきました。
 「困っている子の後ろには困っている家庭がある。困っている家庭は孤立しがちである。 困っている子(家庭)の居場所をたくさんつくり、居場所で繋がっていく。居場所でネットワークが作られていく」と語られました。
 「私たちにできることは?」の質問にも、 「子どもの貧困、格差の問題は所得の再配分をやらないと解決しない。児童扶養手当を充実させることでひとり親家庭は楽になる。 でも待っていては間に合わない。一人でもいいのではないでしょうか。始めてください。 気になっている子に声を掛ける。一人が一人をサポートできれば多くの子どもが救われます。」と訴えられました。



 
 
 
財政シンポ写真
感想

 都内小学校勤務。3・11後、避難してきた児童を数名受け入れています。 浪江から避難してきた児童、当時は不安定で給食も少ししか食べられませんでしたが、 今は六年生。身長が伸びて、友だち思いの素敵な男の子になっています。
 他に父子家庭の貧困家庭(避難家庭ではない)もあり、就学援助費も受給できず未納が続いています。 今日のお二人のレポートはとても良い刺激になりました。 いのち暮らし子どもを大切にするために私たちは何ができるのか、声を出し、 まず近くの人たちに伝えていくこと(今日、この会に行くことを話したら、そういう学習会が必要だと言ってくれた先生がいました)、 そして何かできることを小さいことでもやってみようと思いました。ありがとうございました。

 
 
 
 
 



     各パネラーの報告、参加者の発言、シンポジウムのまとめ等は 「子どものための学校事務」132号に掲載予定です。