栄光の座席特急 パノラマカー7045編成

「座席指定 名古屋

 名鉄パノラマカー7045編成の魅力は座席特急仕様の決定版としてパノラマカーの中で最も洗練された美しい姿にあります。7000系8次車には7045編成の他に同一仕様で登場した7047編成がありますが、惜しくも昭和59年に白帯をまとった特急専用車に改装されてしまったので、7045編成のみが今なお座席特急の面影を色濃く残した車両となっています。
 この8次車では前面の逆富士形行先・種別標板を自動化した自動標板が正式採用されたことが大きな特徴です。この自動標板には当時の最高種別「座席指定」「特」とは別に用意されており、登場後すぐに豊橋ー新名古屋間に増発された座席特急では「座席指定 名古屋を誇らしげに掲示して走っていた姿が印象的でした。 この「座席指定」幕は昭和52年の種別整理に伴って使用されなくなりましたが幕自体はそのまま残り、昭和60年以降に座席指定表示器が全車撤去された後は唯一『座席指定』を表示させる座席特急時代の遺物として存在し続けました。 しかし空港線開業直前にその貴重な7045編成の種別幕が英字併記の幕に交換されてしまい、「座席指定」の種別幕は消滅してしまいました。
 ここでは座特仕様の決定版7045編成を讃えるべく特別ページを設けることにしました。 



8次車で正式採用された自動標板
種別幕の『座席指定』以外にも当時の名鉄標準表記であった行先の簡略表記がそのまま採用されたことが特徴です。昭和58年に始まった1次車から行われた特別整備では簡略表記が昭和57年に廃止されていたので施工車にはフル表記の自動標板が取り付けられました。7045編成も当然それに合わせて取り替えられることが予想されましたが、そのまま使われてきました。

『座席指定 5』撮影AoNamazu
赤々と点灯する「座席指定表示器」も8次車の魅力の一つでした。

『河和号』
昭和52年の種別変更以降は8次車使用の特急(座席指定)も「特」表示となりました。
8次車では昭和52年の種別変更以降は行先と列車名が違う特殊名称列車の場合に特急用(座席指定)黄色標板が付けられるようになりました。緑標板時代は列車名称が緑標板表示の列車名に統一されたので緑標板が必ず付けられました。

『岐阜号』
昭和60年頃の7045編成です。新製時と比較すると「車止め」「特急札差」「号車ステッカー」が追加されています。車内も緑カーテンから青カーテンに変更されています。黒く見える座席指定表示器は使用停止ながらまだ生きていました。

『犬山号』
緑標板時代の特急(座席指定)ですが、緑標板無しの姿は大変珍しい光景です(後尾車は緑標板あり)。

全車一般席特急時代の7045編成
平成2年10月のダイヤ改正から1年間の間、夕方の本線特急に全車一般席特急としてパノラマカー一般車が特急運用に復帰しました。
特急ですが座席指定ではないので特急用緑標板は付けられませんでした。

参考『熱田号』7009編成
本来は「熱田」の緑標板を掲示するはずなのですが、この列車では自動標板の「新名古屋」幕のままで走行しました。
7009編成の自動標板は特別整備の際に取り付けられましたが、フル表記のため「新名古屋」と表示されます。「特 新名古屋」も8次車の「座席指定 名古屋」に比べると格落ちに見えてしまうのは私だけでしょうか?
なお05年1月29日から「新名古屋」は「名鉄名古屋」となり、方向幕等の表記は「名古屋 NAGOYA」となりますが、英字併記もされているため、「新」が抜けても8次車の「名古屋」とは印象がかなり違います(05年2月1日現在8次車の方向幕はそのまま)。

『特 名古屋』撮影 AoNamazu
7000系8次車の「特 名古屋」です。赤シート・緑カーテンがなんとも言えません。

 7045編成の製造ロットである8次車は中間車のみを増備した9次車を除くと最後の先頭車を含んだ製造となりました。そのためクーラーや台車など技術的な面では最新仕様になりましたが、当初より座席指定特急での使用を前提としていたため、既存パノラマカーとの差別化を計るべく新製時より赤シート・緑カーテン仕様で登場しました。現状では外観上は座席指定表示器の撤去、ワイパーの1本化、内装では緑カーテンが特急用青カーテンに、赤シートもパノラマスーパー一般席に合わせた紫シートに変わってしまいましたが、他のパノラマカーのように連結化工事や特別整備、特急専用車化が行われていないので比較的新製時に近いスタイルを保持しています。ただ特別整備を行っていないので最近では内外に傷みが目立つようになりました。ぜひとも赤シートを復活させ、出来ることなら運転席のワイパーも2本に戻してかつての座席特急を彷彿させる姿で走ってもらいたいものです。


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