名鉄パノラマカーと私の名鉄趣味

名鉄パノラマカーと私の出会い

 東京在住の私と名鉄座席指定特急の出会いは昭和54年8月に名古屋に住んでいた親戚の家に遊びに行った際に名鉄特急で明治村に行ったことが全ての始まりでした。
 当時中学生の東京在住の私が知っている名鉄パノラマカーは特急料金無しで乗れて、展望席にはスピードメーターが付いているぐらいの知識しかありませんでした。初めて名鉄特急に乗った明治村へ行く際も名鉄に関しては右も左もわからない状態であったので「明治村は名鉄特急で行くもの」と勝手に思い込んで新名古屋駅に朝8時過ぎに行きました。今の知識があれば鵜沼行きの特急に乗り、犬山で乗り換えるのでしょうが、結局2時間以上後の明治村直通特急に乗ることになりました。
 新名古屋駅での2時間は初めて見る名鉄電車に全く退屈しませんでした。それどころか次々に入線するパノラマカーの『ミュージックホーン』に聞き惚れ、さらには車体の色に良くマッチし、号車表示もされる『座席指定表示器』に目が奪われっぱなしになっていました。2時間後にミュージックホーンを鳴らしながらやって来た明治村特急は残念ながら7700系でした。展望席に座れなかったショックはかなりのものでしたが、帰宅後にミュージックホーンや座席指定表示器を思い出すと、時間の経過と共にメロディなどが頭から離れていくことはもっとショックでした。再び名古屋に行くことを決意したのでしたが、当時はまだ中学生でしたので今のように自由に訪名することも出来ず、パノラマカーが良く夢に出てきたものでした。
 東京在住の中学生が当時出来ることと言えば古本屋で雑誌等を読み漁ることしか出来ませんでしたが、その中の1枚の写真に目が奪われました。その写真は山と渓谷社刊の廣田尚孝氏の私鉄特急の本にありました。夕暮れの本宿付近を4灯ライトを光らせて走るパノラマカーですが、目を引いたのは『座席特急 豊橋』と描かれた黄色標板でした。この写真を見て初めて黄色標板が座席特急用の標板であることに初めて気付きました。しかしこの頃既に黄色標板からは『座席特急』の文字は消えていたのであまり写真も撮らずにいました。

白帯特急専用車登場の頃の趣味活動

   昭和56年に高校へ入学すると比較的自由に遠出出来るようになりましたが、名鉄との関わりは飯田線の旧型国電を撮影する合間にパノラマ高速に乗って前面展望を楽しむ程度でした。そのため写真は次の機会にと思った矢先の昭和57年3月に鉄道ファン誌の表紙を見てビックリしました。白帯特急専用車の登場でした。4月の初旬に訪名する機会がありましたが、既に時遅しで、一般特急車も全て緑標板に変っていました。黄色標板への憧れはこの時から始まったようです。
 黄色標板が撮影出来ないとなると名鉄ではミュージックホーンの録音が趣味の中心になりました。当初はラジカセで録音していましたが、テープの劣化が気になりました。

最後の本線パノラマ特急岐阜93号とDAT購入

 社会人になった平成元年4月にまだ出たばかりのDAT(SONY デジタルデンスケ)を購入し、当時本線で唯一パノラマカーで運転されていた『岐阜93号』の録音を月2回のペースで行いました。この『岐阜93号』は残念ながらそれから3ヶ月後の平成元年7月の金山橋駅が金山駅に切り替わる際にパノラマsuper化されてしまいました。

本線パノラマ特急復活でビデオカメラ購入

 私が思うにパノラマカーは登場時に取り付けられていたエンブレムの『PHOENIX』の意味通り『不死鳥』でありました。平成2年の一部指定特急新設に絡んだ一般席車ながら本線特急へのパノラマカーの復活はまさに『不死鳥』ではないでしょうか。この時私は感動のあまりボーナスの大半を使ってビデオカメラを購入し、前面展望録画に明け暮れました。なおこのビデオカメラでは一部指定特急からパノラマカーが撤退した後は狙いを架け替えが発表されていた『犬山橋』に替えました。そうなると行動パターンも決まってきて夏は泊まり込みで『犬山橋』に、冬も泊まり込みで白帯化した『豊川臨』を狙うようになりましたが、白帯車の特急からの撤退と同時に名鉄からは足が遠のいてしまいました。

最近思うこと

   ところで黄色標板絡みでは小さな復活が2つありました。一つはちょうど名鉄100周年の頃ですが、中京競馬場行の特急『勝馬』号が運転されました。この勝馬号の標板はかつて運転されていた時と同じものが使用されており(綺麗なので新製したのでしょうか?)、ベースは黄色標板でしたので、黄色標板の復活と捉えてもいいのではないでしょうか。この時の車両は白帯車でしたので奇妙な組み合わせでした。二つ目は平成13年に揖斐・谷汲線の廃止記念に運転された本線の急行『谷汲』号です。この谷汲号では見事にかつての黄色標板を演じていましたが、急行に取り付けられた黄色標板もやはり妙でした。
 最近のパノラマカーはその時々に見事に『不死鳥』を演じてきましたが、今後終焉に向けてどのようなものが登場するか今から楽しみです。

  • 名鉄パノラマカーTOPページへ