行先標板から見た名鉄の座席特急

名鉄の座席指定特急は趣味的に見た場合、行先標板の色で時代を分けることが出来ると私は考えています。

黄色標板時代

 昭和36年に臨時ながら初登場した座席指定特急は5500系でした。昭和40年には8000系準急たかやま号の間合いを利用した『朝の座席指定特急』が登場。パノラマカーは42年夏臨の『内海・小野浦』号、『篠島』号が初使用になっています。
 名鉄の座席指定特急は車両こそは特急車を使用していますが、8000系を除けば一般列車にも使用される車両でしたので、横サボによる『座席指定』表記と、行先標板の色を『黄色』に変えることで一般乗客にアピールさせていたようです。当初の黄色標板は赤文字による『座席指定』の表記はされていなかったようですが、昭和45年以降の写真では『座席指定』の文字が確認出来ます。更には昭和49年9月改正以降の黄色標板上は『座席指定』の赤文字が『座席特急』に改められたようです。しかし、52年3月改正による種別整理以降は『座席指定』や『座席特急』の表記がされなくなり、この形の黄色標板は白帯車登場の昭和57年3月改正まで続きました。なお昭和53年以降はカラフルなイラスト板も登場しました。
 パノラマカーは元来特急料金不要の特急車として登場した車両ですが、座席指定特急での使用に伴って当初は車掌室横の横サボで『座席指定』を掲示していましたが、5次車からは電照式の『座席指定表示器』が扉横に設置されました。しかし、車内はパノラマカー登場時の『灰緑色シート』『黄色カーテン』のままであり、一般特急と座席特急間で差別化を計るべく、昭和48年登場の7700系からは『赤シート』『緑カーテン』として登場させ、座席特急中心の運用が組まれました。この『赤シート』『緑カーテン』は好評だったため、昭和52年の改正より7029以降の編成と7519以降の編成を中心に改装がなされ、特急運用優先車として活躍しました。
 『座席指定』の表記は『黄色標板』や車体側面の『横サボ』や『座席指定表示器』以外に逆冨士型自動標板にも反映されました。この自動標板はそれまで人手による系統板・種別板の交換を電動化・電照化させたものですが、名鉄では初採用になるのでパノラマカーでは7037編成が、一般車では7301編成で試験的に取り付けられました。この7037編成でテストされた自動標板の種別には『座席指定』の種別の設定がされており、白地に赤文字で『座席指定』が表記されていました。自動標板の形態は表示窓で見ると7037号に付けられたものはその後8次車で採用されたものと同タイプのものでしたが、7038号に付けられたものは種別表示窓が正方形に近い形をしていたため『座席指定』表記は『座席』『指定』と2段に分かれて表記されていました。この逆冨士型の自動標板は8次車で正式採用されましたが、文字が全て白抜き文字となったため、『座席指定』も赤地で白抜き文字表記に変りました(昭和58年に始まる特別整備以降に取り付けられた自動標板は既に種別に『座席指定』が無いことや、行先表記の簡略化を廃止したことで8次車とは異なる表記になっている。)。
 昭和52年3月改正以降は『座席指定』の種別は使われていませんでしたが、車体横部の『座席指定表示器』や横サボによる『座席指定』はそのまま表示されてきました。昭和56年1月1日よりこれらの使用が停止され、新たに先頭車のみに『特急板』が設置されました。この『特急板』は国鉄の『特急・LTD EXP』と同じデザインですが、赤色が青色になり、書体もイタリック文字で描かれていました。なおそれと同時に『緑カーテン』も外側灰色・車内側青色の『青カーテン』に取り替えられ、それまでの『緑カーテン』は従来車の『黄色カーテン』と交換されました。


緑標板時代

 昭和57年3月の改正からは車体に白帯を巻いた名鉄初の特急専用車が登場しました。車内はモケットがオレンジと茶のツートン地のものに張り替え、通路には絨毯が敷かれ、各座席にはくず入れが設置されました。
 この特急専用車の登場に合わせて、行き先標板の色が『黄色』から『緑色』に変更され、『黄色標板時代』は終了しました。
 白帯特急専用車は好評のため、続々改造されていきましたが、昭和61年改装の7015からは座席をバケットタイプにし、化粧板のカラーリング変更など、更に車内をグレードアップさせて登場させ、従来車も同様に再改装されました。
 白帯車の中でもグレードアップ化されなかった7041・7001編成は昭和62年に一般車に格下げされ(7023編成は昭和63年格下げ)、以後昭和63年のパノラマsuper登場後はグレードアップ車についても序々に一般車に格下げされる編成も出始めました。平成2年の一部指定特急の新設に伴い、7700系の4連車を2連・白帯化する際に白帯車の中から座席を捻出したため、7000系白帯車の数は5編成に減りました。この一部指定特急の新設にあたっては昭和56年から使用してきた先頭車扉横に設置された『特急』板が『指定席車』板に変更されました。
 平成2年の一部指定席特急登場以降の7000系白帯車は5編成(他に7700系2連8本)の数で推移してきましたが、平成11年5月のダイヤ改正で1600系が登場することで白帯車が特急から完全撤退し、順次一般車化され現在に至っております。
 ところで白帯車でない一般車使用の座席指定特急についてですが、白帯車登場後は徐々にその活躍の場が狭くなってきましたが、平成2年の正月臨が最後の活躍となり、平成3年の正月臨からは特急ではない『新春ライナー』と種別を変えて正月臨でのみ更に数年間活躍しました。なおこのライナーは『座席確保』となっていましたが、実際にはオンライン発券による『座席指定』がされていました。

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