新幹線のグリーン車

『定期100系ひかり号2階グリーン車にて』



 新幹線開業以前の特急列車の1等車では乗車時間も長いことから給仕による車内サービスが行われていました。しかし新幹線では乗車時間が短いことから昭和39年の運転開始以来特別車(現グリーン車)のサービス面は車両設備というハード面でしか普通車とは差別化がされていませんでした。
 サービスのソフト面で大きな変化が見られたのは国鉄民営化直前の100系X編成登場時でした。国鉄時代の100系X編成のグリーン車では始発駅を含む一部停車駅発車後のドリンクサービスや食堂車一部メニューのシートサービスが行われていました(ドリンクサービスはJR化後廃止)。
 現在のサービスの原形は国鉄民営化後の100系G編成を登場させた際に、定期100系ひかり号のグリーン車内でパーサーによるパーソナルサービスを始めたことになります。このパーソナルサービスは車内における切符の拝見やおしぼりの配布、食事の注文、食事の後片付けなどの旅のご案内役をするサービスです。
 ここでは日本が世界に誇る”SHINKANSEN”の特別車であるグリーン車のサービスについて写真などでお伝えいたします。

X編成運転開始と共に始まった100系ひかり号グリーン車での食事のシートサービスはカフェテリア編成でも行われました。このサービスはのぞみ号グリーン車にも受け継がれましたが、00年頃には姿を消しています(ひかり号のサービス廃止時期は不明)。
写真は100系引退直前にSPS時代のコーヒーカップを持参して100系全盛期を偲んだ時のもの。カップはSPS末期のものですが、TOP写真のカップと比べる「SUPER SHINKANSEN」のマークが小ぶりになっています。

現在、東海道・山陽新幹線の一部列車のグリーン車ではグリーン車専属パーサーによるパーソナルサービスが展開されています。しかし物的サービス面は「おしぼりサービス」のみなのでJR東日本やJR九州と比べてしまうと見劣りする点は否めません。
写真のドリンクとイヤホーンは別購入。イヤホーンには新幹線のマークも入っており乗車記念になります。

03年10月の品川新駅開業後はのぞみ号が大増発された代わりにひかり号の本数が大幅削減され、ひかり号でのパーサーによるパーソナルサービスは行われなくなりました(列車がのぞみにシフトしただけでパーソナルサービス提供列車自体は減少していない。またひかり号ではおしぼりサービスのみ実施。)。

JR東日本の新幹線では2階建てグリーン車を連結した200系H編成がフラッグシップトレインであった時期に『ソワニエ』と呼ばれるアテンダントを乗務させて東海道新幹線のパーソナルサービスにドリンクサービスをプラスしたサービスを展開しました(ドリンクサービスは他列車でも実施)。E2系が登場してからもしばらくはその活躍する姿が見られましたが、00年頃に廃止にされました。
02年12月の東北新幹線八戸開業の際にフラッグシップトレインであるはやて号とこまち号のグリーン車に『グリーンアテンダント』と呼ばれる乗務員を乗務させ、「ソワニエ」同様のサービスが復活しました(同時に他列車のドリンクサービスが廃止)。
写真はこまち号のグリーンアテンダントによるサービスです。この2列車のグリーン車では写真でもわかるようにおしぼり以外にフリードリンクのサービスやスリッパの物的サービスがあります(スリッパサービスはこまち号のみ)。

 東海道・山陽新幹線のグリーン車では定期のぞみ号のみでパーサーの乗務はあるものの物的サービス面ではおしぼりサービスのみです。それでも何もサービスの無い一般的な在来線特急グリーン車に比べれば食事の後片付け等の巡回サービスは格段にサービス向上していると言えます。出来ればドリンクサービスやかつて存在したグリーン車専用食事メニューを予約制(カシオペア号の予約制ルームサービスのような)にして復活させるなど世界に誇る「SHINKANSENの特別車」に相応しいサービス内容になってくれればと最近特に感じています。特に食事のシートサービスに関しては、シートサービスがあった頃はちょうど食堂車と共存していた時期でもあり、当時はどうせ食事をするなら食堂車でしたいと食堂車連結列車に狙って乗っていましたが、最近のワゴンサービスのみの車販事情を見ると貴重なグリーン車サービスであったと改めて痛感しています。
 またJR東日本の新幹線では同じグリーン料金を払いながら「至れり尽せり」のグリーンアテンダントのサービス提供を受けられない列車がある点では納得いかない面もありますが、グリーンアテンダントの導入で日本の鉄道界ではTOPクラスのサービス(JR九州の客室乗務員によるグリーン車サービスに匹敵する)を提供するようになった事は評価出来るでしょう。
 昨今の低迷した経済下でも個人消費の分野では付加価値の付いた商品だけは売れています。新幹線グリーン車もさらなる付加価値を十分に加味したサービスで世界の「SHINKANSEN」に相応しい魅力ある乗り物にしてもらいたいものです。


  • 新幹線グリーン車でワインを楽しもう!へ
  • 新幹線TOPページへ