【聖少女】プロローグ暫定版
11歳の誕生日を迎えたその日、もたらされたダイヤモンド鉱山の失敗と父の死、という知らせに
よって、それまでの特別寄宿生の生活から無一文で寄る辺もない小間使いの境遇へと、セーラの
運命は大きく変わってしまいました。
「よかったなベッキー、おめえにお仲間ができてよ!
でも、こっちはいい迷惑だぜ!あんなお嬢さま育ちがなんの役に立つって言うんだ!
まあいい、怠けたり不始末をしでかしたら遠慮はいらねぇって院長が言ってたから、
失敗でもしやがったら自分の立場ってもんを叩き込んでやる」
「そんな!ジェームスさん、お願いです、お嬢さまにひどいことしないで!」
「だから、もうあの娘はお嬢さまなんて身分じゃねぇって言ってるだろうが!
それともあの娘の身代わりにでもなろうっていうのか?」
「はい!」
「ほぉ…そんなにセーラが好きなのか…
セーラを守るためだったらどんなお仕置きでも自分が受けようって言うのか?」
「はい・・・」
「そうか……それじゃあ……おめえの覚悟がどれほどのもんか、俺が確かめてやる。
今夜仕事が終ったら物置小屋に来い。
いいか、誰にも言うんじゃねぇぞ」
「・・・行きます・・・」
(セーラお嬢さまはほんとのプリンセスのような方だもの…
貧しい小間使いのあたしにもやさしくしてくださったんだもの…
今度はあたしがお嬢さまのお守りします。
たとえどんなことがあっても…)
ベッキーはどんな過酷な仕打ちが自分を待っているか、まだ知らなかった…
<イラスト提供>真紅様
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