「バリアック」電圧調整器の修理

どの家庭にもひとつは備わっている電圧調整器、「スライダック」とも呼ばれ、交流電源の電圧調整に用いられるこの機器は、ブッツケでいきなり AC100[V] をドカンと接続せず、試験的に負荷へ徐々に電圧を印加させるなど、とても重宝します。これは戦中の製造であり、以前に格安で譲ってもらったモノでしたが、出力が得られなくなり、この度分解修理となりました。

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この機器のキモであるドーナツ状の部分は、譲られた際に修理の話がありその痕跡が見受けられましたが、その不具合ではない様です。この度の主たる原因は、電力を取込むアームに接続されていたケーブルの劣化による断線にありました。

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アームの回転に従って柔軟な屈曲を求められるこの部分のケーブルは、製造当時としては最善を尽くしていたのでしょうが、こんにちの性能と比較しても素線(細いバラ線)が太く、また経年劣化により柔軟性を失いカッチカチになっていました。

また切断箇所はその固定部分に近いことから、局部的に負担がかかっていたものと想像できます。

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他の箇所のケーブルを見てみると、被覆は硬化して砕け、その中の木綿がまさに剥き出しになっていました。かろうじて絶縁が保たれていましたが、これでは最悪の場合漏電や感電の恐れが生じてきますので、とても危険です。

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修理に取りかかります。ケーブルは全て新品に交換、電圧などの規格の確認は当然として、更にグラスチューブに通して万全を期すこととしました。

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アームへのケーブルの固定には、以前の状態の様に急峻な屈曲角度とならず、緩やかな円弧となるように、回転の中心から更に離して様子を見ることとしました。結束バンドの経過も今後の課題となりそうですが。

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組直して完成、機能は元のようになりましたが、ムキ出しの端子がとてもデンジャラスなので今後の課題にしたいと思います(謎)。