連鎖構造の決定をめぐるギャンブルのルール
RULE OF GAMBLING AROUND THE DECISION OF CHAIN-STRUCTURE
1998 Furuya Toshihiko


 一次元の連鎖構造は、あらゆる組織体を成り立たせる基本構造であるが、連鎖の決定にまつわる欲求は、意味や機能へ向かう力よりも遙かに強く、かつてあったこともない偶然性へと向かっている。我々にとってのあらゆる可能性を含む偶然性、すなわち意志の非決定を作り出す決定の規則が、矛盾も例外もなく完全なものになったとき、我々は、もはや規則を意識することはない。我々は、このような偶然性の虚構或いは幻影の中に埋没し、その初めから欠如でしかない自らの意志を、与えられた決定の痕跡に見いだすのである。しかし、完全な規則そのものは、外から与えられることはない。我々に与えられるのは、決定の痕跡を、少なくとも現時点まで無条件に死守する役割だけである。我々は、偶然性の虚構或いは幻影や、欠如でしかない自らの意志などと供に、わずかに与えられたその不完全な役割をも消していくことにより、連鎖構造の高次元の決定を完成させていくのである。