合成多連続文書
SYNTHETIC MULTI-SEQUENTIAL TEXT
1996 Furuya Toshihiko


 片仮名文字、ラテン文字、アラビア数字、ギリシャ文字、キリル文字の五種類の文字体系を使った、多重分岐と合流を繰り返す文書が、電算機によって自動的に合成されて投影される。文字配列の個々の文字の選択、文字配列が折れ曲がる方向、分岐する場所、分岐の際に分岐の二つの方向のどちらにそこまでの文字体系を継承させるか、分岐のもう一方の文字体系をどれにするか、合流の際に合流する二つの文字体系のどちらを継承させるかなどが、すべて演算によって合成された乱数によって機械的に決定される。多重分岐と多重合流の規則によって、文字配列の線状的性質が拡張され強化される。毎日異なる初期値を自動的に設定された乱数が、複雑な決定に対して多重的に分配されるため、分岐の多様性はほぼ無限であるが、それ以上に、配列の拡張された線状性の性質により、配列は固定性として完全に際限なく唯一の文書となるのだ。このような記号の物理的な性質の拡張と、文書の完全な合成により、記号と固定性としての作品の意味や有用性に関する全く異なった位相が発生することになる。