千枚の俳句
THOUSAND SHEET HAIKU
1995 Furuya Toshihiko


 煉瓦を敷いた上に桜の落葉がちょうど千枚載せられており、すべての落葉には平仮名文字で印刷された俳句が張り付けられている。俳句は、電算機によって大量に合成され、意味はないが文字の正しい規則に則った綴りによって作られている。展示された電算機の画面には、縦横上下左右どの方向にも読めるように四角形に作られたますの中で、平仮名文字がゆっくりとばらまかれる。画面の文字の色が、四季の変化によって色を変える木の葉のように変化して行き、一年の周期を数分間で巡る。意味や季語などの形式にとって不純なものを外に排除しつつ媒体としてその欲求を満足させることによって、言語機能の機械的な合成のもう一つの方向を示す。
 俳句の形式が完全であるためには、内容物がある特定のものを指し示していてはならず、高速かつ大量の機械的な反復を必要とする。ここでは、算術乱数を発生させる電算機によって、平仮名文字を無作為に連鎖させている。ただし、これは順列組み合わせとは異なる。大量生産には特定の順序があってはならないし、使用される文字の範囲も特定されているわけではないからだ。俳句の形式が完全である場合には、季語はその完全な形式の外に媒体として付加されるものとなる。

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