三つの固有名
THREE PROPER NAMES
1995 Furuya Toshihiko



 コンクリートブロックの上に約百五メートルの長さの紙テープが三本載せられ、両端はアルミニウムの小片によって閉じられている。三本の紙テープには各々片仮名文字とラテン文字とアラビア数字による約二万三千桁の配列が印刷されており、各々が全長約百五メートルの固有名になっている。短い綴りの固有名で可能となった言語機能そのものの機械的な合成を、長い綴りへと拡張する一つの方向を示す。
 三つの長い名前を作るため、算術乱数を発生させる電算機によって、三種類の文字を無作為に連鎖させる。文字は一文字づつ固定され、二度と変更されることはない。ある程度の長さを越えると、中間部分は統計的な流動性を帯び、撹拌されて見えなくなる。しかし、文字連鎖の両端は、絶対的に限定されたものとして残っている。この絶対に根拠を問うことのできない両端から、一旦流動化した世界は再び一本の線として、芋蔓式に引きづり出されるのである。

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