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地下レスラー由紀






「私……どうして、こんなことしているのかな?…………」




由希は試合前にロッカールームで回想にふけっていた。

中学を卒業し、大手の女子プロレス団体に入門することができた。

当初反対していた両親も入門前日の家を出る由希に涙を流して応援してくれた。

練習生時代はハードなメニューで何度も辞めようと思ったけれど、

プロレスラーを夢見てがんばっていたのだ。あの日が来るまでは…。








練習生として、半年を過ごしプロテストを数日後に控えていたある日、

対戦相手の腕を折ってしまったのだ。診断の結果、複雑骨折。

骨はくっつくものの、普通のレスラーとしての生活はできないと宣告された相手は団体を辞めた。

練習中の事故として処理されたものの、由希はプロテストの日の朝、団体から姿を消した。

団体から姿を消した数ヶ月後、由希に地下プロレスの誘いがきた。

どうやって自分の過去を調べ、自分の居場所を見つけたか不審に思いつつも、

由希はレスラーとして自分が生きて行けるならと地下レスラーとしての道を選んだ。

由希はソ連へと送られた。そこで地下レスラーとして5年を過ごした。

地下プロレスは表のプロレスには無い、薄暗さと八百長とギャンブル性が溢れていた。

ソ連の地下プロレスはごく一部の特権階級の隠れた趣味として急速に広まりつつあった。

そんな中に東洋から来た異国の地下レスラーのうわさは一気に広まった。

試合内容も地下らしく、さまざまな様式が存在していた。

通常のファイトもあれば、レズバトル、喧嘩バトル……ありとあらゆる形式が採用され、

そこへ大量の外貨が流れ込んでいた。八百長も存在し、由希は何度も「かませ犬」役をつとめたことも、

逆に由希の相手が既に自らが負けと知っている、やる気の無いレスラーと対戦したこともあった。

真剣なファイトを希望する由希はそんな相手には必要以上の技を掛けた。

彼女はこの5年でレスラーとしても大きく成長したが、彼女の外見も大きく変化した。

人間のもっとも大きく成長する期間を異国の地で迎えた彼女は日本人離れした姿になっていた。

身長は170センチになり、スタイルもすらりとした白人女性の姿に。いや、体型だけでなく、

肌の色も日本人離れした白い肌へと変わっていた。かの地が由希をそうさせたのだ。

そんなある日、由希を地下へと誘った男が現れ、日本で地下プロレスをしてみないかと誘ってきた。

日本での地下プロレスの経験の無い由希は承諾し日本に戻ってきた。

日本各地の地下プロレスを渡り数試合ずつをこなしていった。この国では地下プロレスはレズファイトと

リアルファイトが混ざった試合形式が多く、表のルールに加えて相手を性技でイカせることによりTKO勝ちに

なるのがほとんどだった。ソ連での試合よりも大きな傷を作らなくてすむと知った由希は

TKO勝ちを狙い試合を有利に進めて行き、なんとか無敗で日本での巡業をこなしていた。








ここ、都内某所に存在する地下プロレスのロッカールーム。今は午後の11時を過ぎたころだった。

今までの日々を思い出して由希は自嘲した。自らの意志で進んできた道なのに、なぜ、自問したのかと。

そう振り返っていると、部屋に黒背広を着た男が入ってくる。

「出番だ。今日の試合はTKOのみの勝負だ」と男はそれだけを告げて部屋を出て行った。

今夜の由希の相手は地下プロレスでNo3にランクされているらしい。由希はリングへと向かった。

ロッカールームからリングに近づくごとに会場の盛り上がりが伝わってくる。

細い通路を歩いていくうちに遠くから会場のアナウンスも耳にとどく。

そのアナウンスも音として捉えていたがだんだんと、不明瞭ながらも聞こえてくる。

会場に入るための扉が見えた。防音扉なのだろう。その手前には黒背広の男が2人立っていた。

男達は由希に顔を向ける訳でも、興味を持つわけでもなく、無表情で扉を開けた。

黒いサングラスをしていたのでその奥にある目を見ることができなかった。





由希は扉をくぐった。防音扉でわからなかったが、会場のボルテージは最高潮に達していた。

まず驚いたのはその設備だ。今まで日本でバトルしてきた場所は倉庫を一時的に改装していたり、

ディスコやバーのアトラクションとしてのおざなりなものだったのだが、この会場は

キャットファイト専用に作られているようだった。ここではキャットファイトが夜な々な

行なわれているだろうことが容易に想像できる。ギャンブル性があり、なおかつ尋常でない金額が動く

地下でないとできない設備だ。大企業、しかも一社でできるようなものではない。





大音量のアナウンスの中、観客席の人間は、マスクや仮面を付けている。

その観客席も表の世界のような簡単な作りではなく、豪華な作りになっている。

観客は政財界でも名のある人間達ばかりなのだろう。地下レスラーになりたての頃に小耳に挟んだ。

由希はリングへと歩く中で自分が好奇な視線で見つめられているのをひしひしと感じる。

こんなものはどのバトルでも感じているが慣れる気がしない。





ロープをくぐり、リングに上がる。リングも本格的な作りのものだ。試しに軽くジャンプしてみる。

ピンク色のリングシューズの底からリングマットの感触が伝わってくる。

その間にもアナウンスが対戦者のアナウンスを始める。驚いたのは対戦者の顔を見たときだった。

「か、佳織………」

由希が見た姿。自分が過去にレスラー人生を奪ってしまった相手だった。

佳織は黒のチャイナドレスを身に纏って近づいてくる。ガウンのつもりなのだろう。

リングに上がった佳織を間近で見てわかったのだが、お互いに切磋琢磨していた練習生時代とか

比べようも無いくらいに成長していた。スタイルもキャットファイト界の上位者として贅の限りを尽くした

ボディケアをしているのだろう。思いを巡らしていると佳織が近づいてきて囁いた。

「久しぶり由希。今日をどんなに楽しみにしていたことか…あなたが地下レスラーになったと聞いて、

あなたに同じ身体にさせたい一心で今日までやってきたの」

佳織はそこでいったん言葉を区切った。

そして、薄気味悪いサディスティックな笑いを浮かべて話し出した。

「でも、もういいの。あなたの痴態をここいっぱいに晒すことに決めたわ。」

由希は背筋が寒くなる思いがした。しかし、ここで手を抜く試合をするのは自分の信念と異なる。

せめて、自分の手で痴態を見せてやろうと心に秘め、気持ちを変えた。

キャットファイトで情けをかければ自分が相手に負かされ、痴態を晒すことになる。

地下プロレスは表の世界以上に「弱肉強食」なのだ。それは身を持って味わった。やるしかないのだ。

日本国内参戦を無敗で来ている。ここでむざむざイカされるわけにはいかない。





不意にゴングが鳴る。しかし、佳織は黒のチャイナドレスを脱がずにバトルをするようだ。

真紅のブラジャーとショーツ姿の由希は軽快に近づき佳織の肘打ちを食らわす。

佳織はひるんだ顔すらせず「本気でやってくれるみたいね」としゃべっただけだったが、

サディスティックな顔が由希をにらみ、身体全体から「由希をイカす」というオーラがひしひしと伝わってくる。

由希の脳裏には訓練生時代の佳織がよぎった。しかし、その思い出は目の前の女によって不意に中断される。

「がっ!」

佳織のタックルが決まり由希が倒れる。グラウンド持ち込んだ佳織は由希の足を取り膝十字固めへを極めた。

「う、あぐぅ!」

由希の足が不自然な方向へ曲げられる。強烈な痛みに加えて由希は股間部に刺激を感じた。

佳織がかかとで股間を殴打しているのだった。

性器への殴打によって由希も覚悟した。

今向い合っているのは苦楽を共にした訓練生時代の友人でも、

由希自身によってプロレス人生を奪われ復讐に燃える女性でもなく、

地下プロレスによって人格すら変えられた、自分と同じ一匹の雌猫だということを由希は身体で感じた。

『リングの上で自分に立ち向かってくる相手は全て敵!』

由希も闘志をむき出しにして佳織に挑んでいった。

「ぐっ!」

膝十字を極められている由希、極めている佳織。

互いに相手の間接を外そうと、ねじ切ってやろうと全力でぶつかっていた。

痛みに顔を歪めながらも由希の目にはリングアナが実況をしているのが見えていた。


『おっと、試合開始早々、激しい技の攻防です。これは今後が楽しみです。

おや、佳織選手が自ら技を外しました!』


佳織は膝十字を解き、由希の艶やかな整った黒い長髪を引っ張って立ち上がり、

勢いよく由希のブラを剥ぎ取った。おわん型の胸が弾じけてあらわれた。

佳織はそのままリングアウトにブラを放り投げた。

何名かの男がブラを獲ろうとリングサイドに詰め寄るが黒背広の男達によって阻まれていた。

とられた由希もこれくらいのことは何度も経験しているので驚きも恥ずかしくもない。

露になった胸を隠しもせず、由希は佳織に掴みかかった。そして、チャイナドレスの上から佳織の胸を

緩急を付けて揉みしだいた。手のひらに収まりきらない佳織の形のよい大きな胸が揺れた。

そして、お返しとばかりに膝蹴りを佳織の股間にぶち込んだ。

「あぐっ!」

佳織は股間を押さえてうずくまる。

その隙を逃さず、由希は佳織の後ろに回り込みバックドロップ!

間髪を入れず仰向けの佳織をひっくり返しさそり固めへと技を続ける。

さそり固めを極めたまま、由希は手を上げて観客にアピール!

観客はアピールに応えるかたちで大きな歓声をあげた。

アピールに気をとられたのか、由希は佳織がじたばた暴れたせいでバランスをとり損ね、技が外れる。

これをチャンスと佳織が立ち上がった。


『両者激しい技の応酬!ソ連で闘い慣れている由希選手、地下NO3の佳織選手に一歩もひけをとりません!

さー、佳織選手が立ち上がり頭を振っている瞬間を狙って、ローリングソバットー!

まだです、再び倒れた佳織選手の足を持ちーーーーあーっと、ジャイアントスイングだーーー』


由希は4回転ほど回して放り投げるように手を放す。佳織は飛ばされマットに音を立てて叩き付けられた。

「う……あ………」

佳織は後頭部をしたたかに打ち付けたせいか倒れっぱなしだった。


『大丈夫かー?佳織選手まだ立ち上がってません!このまま由希選手のえじきとなるのか?』


由希は倒れたままの佳織に近づき、チャイナドレスを引き千切った。

軟繊維だったのか、黒いチャイナドレスは音と共に破れた。観客席は大興奮に包まれた。


『あーーー!!佳織選手、リング衣装が剥がされた。ドレスの下には黒の下着を着けていたー!

おっと、今度は仕返しとばかりにドレスを観客席に投げ込んだ。

まだだ!まだです!黒のブラをもひきちぎり…それも投げ込んだー!』


「佳織、まだ寝てるのかしら?このままショーツも取っちゃうわよ?」

由希の声に佳織は反応もできなく、目を開けたままぼんやりと上を見つめていた

「遠慮無く行くわよ。あなたも願ってるよね?」

そう言うや否やショーツも無理矢理脱がした。

ショーツを持ったまま観客にアピールし投げ込んだ。

佳織はほとんど身ぐるみ剥がされ、黒のリングシューズのみが細長い足を隠しているだけだった。

そのまま、ローリングクレードルで佳織の平衡感覚を奪った。

数回転させた由希は技を解き、佳織のショートヘアをなんとか掴み立ち上がらせ、ジャーマンスープレックス!

既に佳織は意識を失いぐったりとしていた。日本ではこれほど荒れたファイトはなかったのだろう。

性技TKOのみのマッチばかりあたっていたのかもしれない。

「あら?訓練生時代でもこれほどの試合はこなさなかったしね。のびちゃった…ま、いいや」

由希は意識を喪失した佳織におかまいなく試合を続けた。レフリーも止める様子は無かった。

佳織をうつ伏せにさせて、足を絡め、手をホールドした。ゆっくりと勢いをつけて後ろに倒れ込んだ。



『おぉーーーーーっと!失神状態の佳織選手の手と足を持ちロメロスペシャルだー!』


「さぁーお客さーん、佳織のあそこを見てあげてー」

由希は大声で叫ぶと観客席からは大歓声が上がった。

由希はロメロスペシャルで佳織の恥部を観客に見せた。しばらくしてそれに飽きた由希は技を解いた。


『おおっと!由希選手、仕上げにかかるのか−?佳織選手を大の字に寝かせたー』


由希は佳織の上に覆い被さった。右手を佳織の胸をこねくりまわし、左手は股間をまさぐった。

最初は反応の無かった、佳織だったが、由希の愛撫に意識を取り戻し、感じはじめた。

「あっ、あぁ…んっぁ……」

最初は口で息をしていたのだが、だんだんと荒れてきて

息も試合の体力疲労か、感じてきたからなのか、わからないほど乱れてきた。

「ああん、いぃ、いぃ、あっ、ふっ、あぁ、んん…」

息だけだった佳織も快感を覚え、声を上げてきた。

「あら。ようやくお目覚めね。悪いけれど、このままあなたをイカせるから。覚悟してね」

言うが早いか由希はせっかく意識の戻った佳織にフェイスシッティング!そして、腰をスイング!

「ほーら、佳織!ここまでプライドズタズタにされちゃこのバトル私の勝ちにさせてもらうわ」

フェイスシッティングを止めて、再び佳織の身体を愛撫した。

佳織は諦めたのか、身体が動かないのか、愛撫に流されるままになり、身体に押し寄せてくる快感を享受していた。

「あぁ、あぁ、いぃ、いぃ……いいよぉ……いぃ……」

佳織は返事もせずに愉悦に浸っていた。

観客席の方は勝負が決まったものだと、配当が行なわれていた。


『どうやら大勢はついたようです。後は勝負の確定を見るのみです』


アナウンサーの声が会場内に響いた。このアナウンスを聞いて帰りはじめている客もいた。

しかし、リング上の彼女らにはもう関係のない話だった。

佳織をイカす。由希の頭の中はその本能だけで動いていた。

「ほら、ほら、ほら!佳織、イッちゃいな!そろそろなんでしょう?」

「私の指に音を立てて吸い付いてくる、あなたのここすごいわ」

「乳首もほら、こんなになって……」

矢継ぎ早に言葉も佳織に浴びせ掛ける。言葉と動作の波状攻撃になった。

「あぁ……、いぃ……、うぅ……、ぁぁぁっぁ……」

佳織の頭の中は何にも考えられず、ひたすらに快感を受けとっていた。

それが続いていたが、急に佳織に変化が訪れた。爪先を伸ばしながら大声で喘ぎだした。

「いぃ、ぃっ、んぅ、ぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁ………………」

その言葉を最後に佳織はぐったりとしてしまい、動かなくなってしまった。






「あら?日本の地下レスラーってこんなものだったんだ。がっかり」

そう言うと、由希はフェイスシッティングを佳織にして腰を動かしはじめた。

だんだんと速度を上げて、佳織の顔に由希の股間を密着させた。

「ふぁ、ふぁっ、あ、あぁ、ああああっ………………」











試合の終わった由希はそのままソ連へと帰っていった。

佳織がどうなったかも知らない。いや、知る気も無かった。






「佳織……もう、会うこともないかも

今回の日本でのバトル。なんだが後味がちょっと。ね……

だからといって、地下レスラー辞める気はないけれどね。

これからも続けて行きたいな」






<終わり>




<次話に続く>


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