ロゴ.gif (20659 バイト)

 

天国と地獄

 

「ねえ、道玄坂の近くにある秘密クラブのこと知ってる?」
「なーに?」
「女同士で取っ組み合いのケンカができる場所があるんだ」
「知らなーい!あんた行った事あるの?」
土曜日の午後、有名なアイスクリーム専門店で、一人、アイスを頬張っていた
美佳の耳に、後ろの席のいかにもコギャルといったいでたちの3人組の会話が
飛び込んできた。
「一見、普通の雑居ビルなんだけど、非常階段の横の扉から入るの」
「カギは掛かってないの?」
「『立ち入り禁止』って書いてあるけど、自由に入れるんだ」
「中はどうなってるの?」
「電気室なんだけど、奥から2番目の配電盤を開けると中にパソコンがあって
 秘密のパスワードを打ち込むと、奥の扉が開いて地下に行く階段があるの」
「『秘密のパスワード』って、なんて入れるの?」
「それはね・・・」
何の気なしに聞いていた美佳は、そのパスワードを紙ナプキンにメモすると、
ポケットに入れて席を立った。

(このビルね、非常階段の横に電気室の扉がある)
美佳がノブに手を掛けると、何の抵抗も無く扉が開いた。
(奥から2番目、奥から2番目と・・)
ポケットからメモと取り出すと、配電盤の中に隠れていたパソコンに向かって
パスワードを打ち込んだ。
 シュー
奥の壁が開くと、地下へと続く階段が現れた。
(あの娘たちの言ってたとおり・・)
美佳が地下に降りると、薄暗い照明の中で一箇所だけ明るく照らされている所
があった。
一見、インターホンの押しボタンのような所を右手の人差し指で軽く触れると、
3つある扉のうち、真ん中の扉が開いた。
その中は、電話ボックスを少し広くしたくらいのブースで、また、パソコンが
おいてあった。
美佳がパソコンの前に立つと、いきなり画面が現れた。
『この施設を利用するためには、会員登録が必要です。画面の指示に・・』
(さっきのって、指紋で判断してるの?)
美佳は、指示どおりにパソコンに打ち込んだ。
『川村美佳 17歳 女子高生 ・・・・』
そして、全ての項目を入力し終わると、奥の扉が開いた。

(なにこれ?)
部屋の中には、左右に1つづつと、正面に2つ、それぞれ扉があって、横には
大きなモニター画面があった。
今入ってきた扉の方を振り返ると、右側にはパソコンが3台。
左側には、壁いっぱいのコルクボードに、所狭しと紙が留めてあった。
『××へ、今度こそあんたを叩きのめしてやるから!○○』
『△△さんへ、あんまり私のことをなめてると、後で後悔するわよ!□□』
左のコルクボードを見ると、同じようなメモが何枚もあった。
(これって、挑戦状?)
美佳が、一枚一枚丹念に読んでいると、突然、右側から女性の声が聞こえた。
《わたしに勝てるかしら?フェイスシッティングで勝負よ!》
扉の横のモニターに、見覚えのある顔が映し出された。
画面の一番下には、今売り出し中のアイドルの名前が表示されていた。
(へぇー、アイドルまでいるんだ。でもフェイスシッティングって・・)
辺りを見まわすと、2・3人の女性が、興味ありげにモニターを見ていた。
(あの女性もテレビで見たことある)
美佳が凝視していた女性が、モニター横の扉に入っていった。
すると、モニターに映っていたアイドルのかわりにリングが映し出された。
(ふーん、あーやって相手を見つけるんだ)
部屋の中には、ほかにも3・4人の女性がいたが、互いに顔を見合わせたり、
何も映っていないモニターを見つめていたりしていた。
突然、一人の少女が、隣の扉に入っていった。
(あの娘、わたしと同い年くらいね!あの娘とやってみようかな)
暫らくすると、少女の顔がモニターに映し出された。
(『17歳、高校3年生』、1こ上かぁ・・・丁度いいかな?)
美佳が扉に向かって歩き出すと、モニターの少女が語りかけてきた。
《わたしとボクシングしませんか?》
美佳の足が止まった。
(ボクシングはちょっとねぇ・・)
美佳は再び辺りを見まわすと、いつのまにか女性が10人近くになっていた。
(さっきより、少し増えたかな?わたしもやってみようかなぁ)
意を決した美佳は、モニターの消えている扉に向かった。
背中には、何人かの視線が集まっているのが判った。
中に入ると更に二つの扉があり、左側の扉だけが開いていた。
そこにも指紋照合装置があって、そこに右手の人差し指を軽く押し当てると、
正面のモニターに『川村美佳 17歳 女子高生』と表示され、隣のカメラに
赤いランプがついた。
(やっぱり指紋で判断してるんだ!)
「プロレスの相手してくれる人いませんかぁ?」
カメラに向かって話しかけて暫らくすると、ランプが消えた。
(どんな女性が来るのかなぁ?)
美佳は、横にあるソファーに腰掛けて、相手が来るのを待った。
10分位待っていると、突然モニターに可愛らしい少女の顔が映し出された。
《私でいいですか?中学生だけど・・・》
画面の一番下には『星野由香 15歳 中学3年生』と表示されていた。
「大歓迎!でも、わたし高校生だし、柔道二段だけどいいの?」
《うーん、ちょっと手強いかな?でも、わたしだって強いんだぞぉ!》
画面に映る由香の顔が笑っている。
「ところで、わたし制服のままなんだけど、由香ちゃんも制服でしょ?」
《リングに行く手前に更衣室があって、水着のレンタルもありますよぉ!》
「わかったわ!じゃあ、早く着替えてやろう!」
美佳は、更衣室に入って中を見まわすと、部屋のすみっこに水着の入った自動
販売機のような機械があった。
500円を入れてボタンを押すと、青い競泳用の水着が出てきた。
水着に着替えて、反対側の扉を開けると、目の前にリングがあった。
(へぇー、こうして見ると結構大きいんだ!)
「美佳さん、早くぅ!}
リング上には、真っ赤な水着に着替えた由香が、美佳の上がってくるのを今や
遅しと待っていた。
「待たせたわね!改めてよろしく!」
高校生の貫禄(?)で、美佳はゆっくりとリングに上がった。
「中学生に泣かされたらはずかしいだろうね!」
美佳がリングに上がると、由香がいきなり挑発してきた。
「あんたこそ、すぐに泣き出さないでよ!」
美佳は、リング中央で待つ由香の元へ、ゆっくりと歩み寄った。
「てやぁー!」
由香は、いきなり美佳の胸に、ドロップキックを放った。
 ズデーン 
「あんっ・・」
仰向けに吹っ飛ばされる美佳。
「中学生だからってなめんじゃないわよ!」
由香は、すかさず馬乗りになると、美佳の頬にビンタを連発。
 パシン、パシン・・
「あんっ、あんっ・・・」
叩かれるたびに、美佳の顔が右へ左へと向けられる。
「今度はこうしてやる!」
由香は、美佳の髪を掴んで引きずり起すと、お腹に膝蹴りを入れ始めた。
 ボコッ、ボコッ・・
「あっ、あんっ、・・・」
苦しそうな表情で耐える美佳。
「なーんだ、柔道2段っだなんて言って、たいしたことないじゃん!」
由香は両手で美佳の髪を掴んで下に押し下げると、美佳の頭を右の腋の下で
挟んで抱え、日頃から自慢にしている形の良い胸に膝蹴りを連発した。
 ボコッ、ボコッ・・
「ああんっ、こ、このやろぉっ!」
美佳は、由香の膝を必死になって抱えると身体を右に大きく傾けて、残って
いる左足に大外刈りをかけた。
 バタン
「きゃぁ」
由香は仰向けにひっくり返った。
「いつまでも、なめた口きいてんじゃないよ!」
美佳は、由香の足を掴むとリング中央へ引きずっていった。
「きゃぁっ、離せこのやろぉ!」
両手を突っ張り、じたばたともがく由香。
「じたばたするんじゃないよ!このガキが!」
 ボコッ、ボコッ・・
「あっ、ああんっ」 
美佳がお腹にストンピングを連発すると、由香は慌ててお腹を庇った。
「そうこなくっちゃ」
美佳は、力の抜けた由香の両足をしっかり掴み直すと、身体を跨ぐようにしな
がら由香をうつ伏せにした。
「ああっ、痛ぁぁぁぁぁぁっ・・・」
逆えびを極められた由香は、悲鳴を上げながらも、身体をよじって必死に逃げ
ようとした。
「私に挑戦するなんて、10年早いんだよ!」
美佳は、更に腰を落とした。
「ああっ、痛っ、痛ぁぁっ・・・」
由香は必死に上半身を捻じ曲げて、自分の背中に垂れている、美佳の長い髪を
掴もうと手を伸ばした。
「あっ、きゃっ」
 ズデン
髪の毛を引っ張られて、美佳はひっくり返ってしまった。
「いたいけな中学生になんてことするのよ!」
転がりながら美佳から逃げると、由香はロープに掴まりながら腰を押さえた。
「いたいけな中学生が、こんな所でプロレスなんかするかぁ!」
美佳は叫びながら、ロープ際の由香に向かって、ドロップキックを放った。
「うわっ」
迫り来る美佳の足を見て、慌てて逃げる由香。
「きゃぁぁ・・」
由香が避けたので、トップロープに足が絡まって逆さづりになる美佳。
「おかえしだぁ!」
 ボコッ、ボコッ・・
「あうっ、あっ、あうっ・・・」
由香は、美佳の足をロープに押し付けると、お腹につま先蹴りを何発も入れた。
目に薄っすらと涙を浮かべて、由香の攻撃を必死に耐える美佳。
「こっちもだぁ!」
 ボコッ、ボコッ・・
由香のつま先が、今度は美佳の胸を襲った。
「きゃぁ、いやぁぁっ・・」
悲鳴を上げながら、必死に胸を庇う美佳。
「自慢の胸が台無しだね!こっちも効くかな?」
 ボコッ
由香は、美佳の股間にエルボーを突き刺した。
「ぎゃぁ、いやぁっ・・もうやめてぇっ・・」
両手を伸ばして大事なところを押さえると、美佳は涙声で訴えた。
 ズデン
由香が押さえていた脚を放すと、美佳はロープ際に落ちるように倒れた。
「もう終わりなの?せ・ん・ぱ・い!」
美佳が起き上がるのをリング中央で待つ由香。
「うっ、うっ・・」
しかし美佳は、ロープ際でうずくまったままいつまでも立ちあがってこない。
「ほらぁ、どうしたの?せ・ん・ぱ・い!」
いつまでも蹲ったままの美佳に業を煮やした由香は、ゆっくり近づくと、美佳
の髪を掴んで引っ張り上げた。
 ボコッ
この時を狙っていた美佳は、由香の股間に強烈なアッパーを入れた。
「ぎゃぁぁっ・・・」
由香は、大事なところを押さえて、リング上をのたうちまわる。
「もう、手加減はしないからねっ!」
美佳は由香の足を持って、コーナーポストまで引きずっていくと、由香の足を
トップロープに引っ掛けて逆さづりにした。
「あっ、いやっ、いやっ・・」
か細い悲鳴しか上げることのできない由香。
「お・か・え・し・だぁー!」
 ボコッ、ボコッ・・
美佳はつま先で、由香の小ぶりの胸を蹴り始めた。
「あっ、いたいっ、いたいっ、いやっ・・・」
目に涙を浮かべて身をよじって、なんとか逃げようとする由香。
「こっちもだぁ!」
 ボコッ
自分がやられたように、美佳も由香の股間に肘を打ち込んだ。
「あんっ」
(あれっ?なんか湿ってる・・)
「由香ちゃん、漏らしちゃったの?」
美佳は心配そうに訊きながら、由香の股間にそっと手を当ててみた。
 ヌルッ
「いやっ・・・」
「あれぇぇぇっ・・・」
美佳は、赤い水着の股間の部分をずらすと、由香の割れ目に指を入れた。
「きゃぁ、あっ、あっ、いやっ、あっ・・・」
恥ずかしさと、気持ち良さが混じった悲鳴を上げる由香。
「ガキのくせに、感じてるの?」
美佳は人差し指で、秘壷の中をこねまわした。
「ああーんっ、もうっ・・・」
うつろな目で、美佳の股間を見上げる由香。
「ガキのくせに、いったことあるの?いかしてあげようか?」
美佳は、由香の敏感な部分をこすり始めた。
「あっ、あっ、あっ・・・」
由香は、美佳の指使いに感じながらも、美佳の股間に右手を伸ばすと、水着の
割れ目にそって指を押し付けるように動かした。 
「あっ、そこは・・・」
急に腰の力がぬけ、2・3歩後ずさりをするとペタンと座り込んでしまう美佳。
由香は、身をよじってロープから足を外すと、美佳を仰向けにひっくり返して、
上四方固めのように覆い被さった。
「もっとやって欲しいんでしょ?」
由香はお返しとばかりに、美佳の水着をずらすと、割れ目の中に指を入れた。
「あっ、だめっ、いいっ、あっ、だめっ・・・」
敏感な部分に指を入れられて、訳の判らない事を口走りながらも、ついつい、
自ら腰を動かしてしまう美佳。
「この淫乱女子高生っ!こうしてやる!」
いたずらっぽい笑みを浮かべた由香は、左手で美佳の股間をもてあそびながら、
右手でやさしく胸を揉み始めた。
「あっ、あっ、いっ、いいっ・・・」
美佳の脚がピンと突っ張った。
「もうすぐで、天国を見せてあげるね!」
由香は、美佳の一番敏感な部分を指で摘むと、こねくりまわした。
「あっ、いいっ、いいっ・・いっ、いくぅっ・・・」
何度かピクピクッと痙攣した後、ぐったりと動かなくなった美佳。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 バタン
由香も水着の股間をぐっしょりと濡らしたままで、大の字にひっくり返った。

「あー、すっきりした」
暫らく大の字になっていた由香が、ゆっくりと起きあがった。
美佳は、まだ虚ろな表情のまま、リングに横たわっている。
「美佳さん、またやろうね!それから、いつまでもそんな格好で寝てると、
 風邪をひきますよ!」
「うるさい!」
やっと気を取り戻した美佳は、それだけ言うと、両手で顔を覆い隠した。
「じゃあ、先に行きますね!」
由香はリングから降りると、更衣室に入っていった。
「うっ、うっ、うっ・・・」
リング上には、美佳の嗚咽だけが残っていた。


(今日もいない・・)
あの屈辱の日から毎日、美佳は学校が終わると、例の秘密クラブに来ていた。
(そうだ、あのコルクボード・・)
美佳は振り返ると、掲示板の方へと歩き出した。
『星野由香へ
 あんた、1回勝ったくらいで・・・・・・・・』
美佳は思いつく限りの悪態と罵詈雑言を書きなぐった。
『・・・・・長浦高校 川村美佳』
そして、挑戦状を掲示板に貼り付けると、渋谷の街に向かった。

「ねえ、星野由香って知らない?」
「ねえちょっと、星野由香って・・・」
美佳は、セーラー服を着た中学生くらいの少女を見かけると、片っ端から
声を掛けてまわった。
(なんで誰もあの娘のこと知らないんだろう・・・
 あっ、もう6時になる!
 明日から中間テストだから3日間は来れないか・・・)
日もとっぷりと暮れて、ようやく美佳は家路についた。


2日後・・・・
(終わった終わった、後は明日の英語と世界史だけだぁ・・)
校門を出ようとした美佳の目の前に、突然、由香が現れた。
「あーっ!」
「美佳さん、ずいぶんと私のことを探し回ってたみたいね」
「・・・・・・・」
黙って由香を睨みつける美佳。
「でも、あの掲示板・・・ちょっと酷いんじゃないの?」
由香も拗ねたような顔つきで美佳を睨み返した。
「ちょっと、こっちにいらっしゃい!」
美佳は、由香の腕を掴むと体育館の方に引っ張っていった。
「ねぇ、ちょ、ちょっと・・・」
いきなり腕をとられて、戸惑いを隠せない由香。
「いいから!」
美佳は、由香を体育館に連れ込むと、内側から扉に鍵を掛けた。
「ねえ、誰か来たら・・・」
「試験中だから、誰も来ないわよ!」
「また、イカしてほしいの?」
覚悟を決めた由香は、ニヤニヤしながら美佳に近づいた。
「この前のお返しに、今日はコテンパンにしてやるから」
美佳は由香を睨みつけながら言った。
「あなた、口喧嘩がしたいの?それとも・・」
由香はファイティングポーズをとった。
「あんた、その格好でやるつもり?」
美佳は、由香のセーラー服を指差した。
「それもそうね」
そう言うと、由香は後ろを向いてセーラー服を脱ぎ始めた。
美佳も後ろを向くと、制服を脱ぎ始めた。
「美佳さん、あなた淫乱の上に露出狂なの?」
「えっ?」
Yシャツを脱いで、淡いブルーのショーツとストラップレスブラだけで、大事
な所を隠している美佳が振り返ると、由香は、紺の水着を着けていた。
「そっ、そんな卑怯・・」
美佳は絶句した。
「やっぱり、イカして欲しいんだ」
由香はニヤニヤしながら美佳の前に立った。
「このやろぉ!」
美佳は、いきなり由香のお腹にヤクザキックを放った。
 ボコッ
「あうっ」
苦しげな表情で、お腹を押さえて膝をつく由香。
「今日はこの前のようにはいかないよ」
美佳は由香の後ろに回りこむと、チョークスリーパーをかけた。
「ぐっ・・・」
「高校生をなめるなよ!」
由香は、首にまとわりつく腕に両手をかけて必死に外そうとする。
「がっ・・・」
苦しげなうめき声を上げる由香。
美佳が更に絞りこむと、その長い髪が由香の右頬にパサっとかかった。
由香は腕を伸ばすと、必死に、美佳の髪の毛を掴もうとした。
「あっ、こら、はなせ!」
髪を掴まれた美佳が仰け反ろうとすると、由香への絞め付けが一瞬緩んだ。
「がはっ」
 ズデン
由香は、美佳の髪を掴んだまま首投げをかけた。
「ああんっ、痛ぁぁっ・・・」
お尻から床に叩きつけられて、悲鳴を上げる美佳。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
由香は息を喘がせながらも、そのままドラゴンスリーパーを極めた。
「ぐぁっ、ぐっ・・」
悲鳴も上げられず、もがき苦しむ美佳。
「ほらぁ、淫乱女子高生!こんなに早く極め技かけられてどうするの!」
形勢逆転で余裕のでた由香は、左手を美佳の下着の中に入れると、胸の突起を
優しくこすった。
「・・・・・・・」
痛さと気持ち良さが入り混じった変な感覚に、美佳は声も出せず、只々、由香
の髪の毛を掴もうと、左腕を伸ばした。
「きゃっ、放せよ」
美佳に髪の毛を掴まれると、由香はお返しとばかりに、日頃から美佳が自慢に
している豊満な胸を鷲掴みにした。
「ああんっ、こら、やめ・・・」
美佳は、由香の髪を力いっぱい引っ張った。
「いたたたたっ」
髪の毛を庇って、美佳から逃げるように離れる由香。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
美佳は腰を押さえながらゆっくり立ち上がった。
「この前ので、不感症になったの?」
由香は髪の毛をかきあげてから、ファイティングポーズで美佳に近づいた。
「うるさいっ!」
 バシッ
美佳のローキックが、由香の太股にヒット。
「あうっ」
由香もお返しに、美佳の腰にミドルキックを叩きこんだ。
 バシッ
「あっ」
美佳はとっさに腰を押さえたが、すぐに由香をキッと睨みつけると、今度は
由香の肩めがけてハイキックを続けざまに叩きこんだ。
 バシッ、バシッ、バシッ 
「あうっ」
由香が堪えきれずに、肩を押さえて膝をつくと、美佳は由香の横顔めがけて
ミドルキックを叩きこんだ。
 バコッ
「あんっ」
美佳の蹴りに、吹っ飛ばされるように倒れる由香。
すかさず馬乗りになると、美佳は、由香の頬に両手で交互にビンタを入れた。
 バシン、バシン、バシン・・・
「あんっ、あんっ・・」
左右にゆれる由香の目に、じわっと涙が浮かんでくると、美佳は由香の髪を
掴んで引きずり起こした。
「せいやっ!」
 ドシン
美佳は一本背負いで、由香を体育館のむき出しの床に叩きつけた。
「あぁぁぁぁっ・・・」
由香は腰を浮かせて、仰け反るような格好で悲鳴を上げた。
「もう一丁!」
美佳は、再び由香の髪を掴んで引きずり起こした。
「あぁぁっ、いやっ、いやっ・・・」
腰をひいて、懸命に逃げようとする由香。
「させるかぁ!そーりゃっ」
 ドスン
今度は払い腰で、由香を叩きつける美佳。
「あぁぁぁぁっ・・・」
由香は目に涙を溜めて、脇腹を押さえたままで動かない。
「さっきは、随分生意気な口きいてたじゃない」
美佳は、脇腹を押さえる手の上からストンピング。
 ドスッ
「あうっ」
苦痛に顔を歪めて呻き声を上げながら、由香の身体がくの字になった。
「『生意気な口を訊いてすみませんでした』って、謝りな!」
美佳は、由香の髪を掴んで引っ張り上げた。
「このやろぉ!」
由香は痛みを堪えながら、美佳の股間に拳をめり込ませた。
 ボコッ
「あうっ・・・」
美佳は、大事なところを押さえて膝をついてしまった。
「よくもやりやがったなぁ!」
 ボコッ
「はがぁっ」
由香が脇腹を押さえながら、美佳の顔面にヤクザキックを入れると、美佳は
呻き声を上げながら仰向けにひっくり返った。
「このやろぉ、このやろぉ・・・」
 ボコッ、ボコッ・・
由香は、美佳の胸めがけてストンピングを連発。
「あんっ、あんっ・・」
両手で自慢の胸を庇いながらうずくまる美佳。
「こーしてやる!」
由香は、美佳の背中に馬乗りになると、ブラジャーのホックを外した。
「きゃぁ、いやぁぁぁぁっ・・・」
蹲ったままで悲鳴を上げる美佳。
「こうしてほしいんでしょ!」
美佳の髪を掴んで上体を起こすと、ブラジャーを引っ剥がそうとする由香。
「いやっ、やめてぇ・・・」
美佳も必死に胸を押さえて抵抗する。
「じたばたしないでよ!」
由香はブラジャーを剥ぎ取ると、それを美佳の首に巻きつけて引きずった。
「あぁぁぁっ・・・」
美佳は左手で胸を隠しながら右手だけで、首に絡まるさっきまで自慢の胸を
隠してた布切れを外そうとした。
 ビリッ
 ドタン
「いてっ・・」
突然ブラジャーが千切れて、由香は勢い余ってひっくり返った。
「このやろう、よくもやりあがったなぁ!」
 ドスッ、ドスッ、ドスッ・・
美佳は素早く立ちあがると、大事な胸を隠すのも忘れてストンピングを連発。
「あっ、痛っ、痛っ・・・」
お腹をかばいながら逃げるように転げ回る由香。
「ちょこまか逃げんじゃないよ!」
美佳は髪を掴んで引きずり起こすと、由香のお腹に膝蹴りを入れた。
 ドスッ
「あうっ・・・」
「中坊のくせに、高校生に楯突くなんて10年早いんだよ!」
 ドスッ、ドスッ・・
「あうっ、あうっ・・・」
美佳の執拗な膝蹴りに耐えながらも、目に涙を浮かべた由香は、美佳の膝を
掴もうと必死に腕を伸ばした。
「あっ、は、はなせっ・・・」
膝をとられた美佳は、由香の手を振り解こうともがいた。
「やりたいだけ、やりやがって!おかえしだぁ!」
由香が上半身に力を入れると、美佳は仰向けにひっくり返った。
 ズダーン
「あぁぁぁっ・・・」
倒されたはずみで後頭部を床にしたたかに打ちつけた美佳は、両手で頭を
抱えると、じたばたともがき苦しんだ。
「ババァ、覚悟しろよ!」
由香は馬乗りになって押さえつけると、美佳の顔を殴り始めた。
 ボコッ、ボコッ・・
「あっ、あっ、あっ・・・」
 ボコッ
「あぁぁぁっ・・・」
最後の一撃が鼻にヒットすると、美佳の鼻から血が滴り落ちた。
「汚いなぁ、鼻血なんか出さないでよ!」
由香は、髪を掴んで美佳を引きずり起こすと、ヘッドロックで美佳の頭を
がっちりと絞めつけた。
「はがっ、はぁ、はぁ・・・」
美佳は、由香の腰に手を回すと、由香の身体を持ち上げようとした。
「させるかぁ!」
 ドコッ
由香のエルボーが、美佳のこめかみにヒットした。
「あぁぁぁぁっ・・・」
美佳の膝がガクンと崩れた。
「まだ終わらせないわよ!」
由香は、再びヘッドロックをかけると走り出し、美佳の頭を壁に叩きつけた。
 ボカッ
「あぁぁぁぁっ・・・」
美佳は、壁際で崩れるように倒れた。
「ほらっ、寝てんじゃないよ!」
髪を掴んで美佳を起こすと、壁に押し付ける由香。
「あっ、いやっ・・・」
美佳の口から、か細い悲鳴がもれた。
 ドスッ、ドスッ・・
由香の膝が、美佳のお腹に何度もめり込んだ。
「あうっ、あうっ・・・」
壁に押さえつけられているので、崩れる事も出来ず、目を瞑って耐える事しか
できない美佳。
「これが、やって欲しかったんでしょ!」
突然、由香は両手で、剥き出しになっている美佳の胸を鷲掴みにした。
「あぁぁっ、いやぁぁぁっ・・・」
悲鳴を上げながら、身をよじって逃げようとする美佳。
「美佳さんには、その悲鳴がお似合いよ!」
由香は両手に力を加えた。
「このっ、もうっ・・・」
美佳は、由香の髪の毛を掴むと、股間に膝を突き刺した。
「あぁぁぁっ・・・」
大事なところを押さえて座り込む由香の横顔に、美佳のローキックが炸裂。
 ボコッ
「あぁぁぁぁぁっ・・・」
悲鳴と共に横に吹っ飛ぶ由香。
美佳は、由香の腕をぎゅっと掴むと、脚を絡ませ、お尻から倒れこんだ。
「そーりゃっ!」
「あぁぁぁっ、痛っ、痛ぁぁぁっ・・・」
美佳に腕ひしぎを極められると、肩を押さえてもがき暴れる由香。
「あんたには、たっぷりと地獄を味合わせてあげるね!」
「あっ、いやっ、痛っ、痛っ・・・」 
悲鳴を上げながら、美佳に背を向けて、仰け反るようにもがき暴れる由香。
「そんなに暴れると、折れちゃうよ!」
美佳は、腰を浮かすようにのけぞって更に締め上げた。
「あぁぁっ、は、はな、いやぁぁっ」
肩への激痛に、美佳の忠告も耳に入らず、ひたすらもがき暴れる由香。
「降参しないの?」
美佳は由香の腕を極めたまま、少し心配そうな声で訊いた。
「あぁぁぁっ、うわぁぁぁぁっ、いやぁぁぁっ・・・」
もはや判断力さえ失った由香は、美佳から逃げようと形振り構わず暴れ出した。
「あっ、こらっ・・・」
 ゴキッ
美佳の技に耐えている由香の腕から、急に抵抗が無くなった。
「ぎゃぁぁぁぁっ・・・」
由香の悲鳴が、絶叫に変わった。
美佳は由香の腕を放すと、静かに立ちあがった。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ・・・」
肩を押さえてのたうちまわる由香。
「ほらぁ、だから言ったじゃない・・あーあ、折れちゃった・・・」
美佳は、のたうち回る由香を見下ろして呟いた。
「さっさと降参しないから・・・」
「あぁぁっ、ひぃっ、ひぃっ、ひぃっ・・・」
少し落ち着いたのか、由香は肩を押さえたままで動かなくなった。
「これ、高かったのよねぇ・・・」
美佳は、千切れてボロボロになったブラジャーを惜しそうに見ながら、素肌の
上に直接、Yシャツを着た。
「うっ、うぐっ、うぐっ、うぐっ・・・」
由香は泣きながら、肩を押さえて倒れている。
「これに懲りて、あんまり生意気な態度はとらないことね!」
制服を着終わった美佳は、そう言い残すと体育館の入り口の方に歩き出した。
「うっ、うぐっ、うっ、うぐっ、うぐっ・・・」
いつまでも泣きながら倒れている由香の耳に、軽やかに体育館から出て行く、
妙にあっけらかんとした美佳の声が聞こえた。
「あとは英語と世界史かぁ・・・」

                              (おわり)

                            原案 川村美佳

 


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