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プロローグ 妬み〜凌辱の火種〜

非常に高い料金を支払って鈴木浩二はキャットファイトショーを見に行ったが、満足しない。仕方のないことだが、出演者の質がいまいちだ。マニアックになればなるほど出演者の質が落ちるのはAVで身にしみて知っているのだが。そしてショーにはストーリー性がない。絡み合ってどたばたしているだけだ。やはりあれ以上の感動、−いや衝撃といったほうがいいだろうか− 、はもう一生得られないのだろうか。戦いとは程遠い美少女が無理にキャットファイトさせられるのを浩二は見たかったのだが、高額のビデオはどれも彼の欲望を満たさない。当たり前だ、そんなことを実際させたら犯罪だし、俺だけのマニアックな趣味のために誰も制作などしてくれない。有名AV女優の出演料だってたぶん度が過ぎると多額になるのだろう。いやそもそも出演を拒否するのかも知れない。有名AV女優のスカトロを見てみたいものなのだが。無理だ無理だ。浩二はそう自分に言いきかせるのだった。いっそうのこと消費者のための、消費者によるAV生協でも旗揚げしようか、などと考えてはため息をつく。まずパッケージで消費者をだまさない。組合員の意を汲んで費用をかけるところにはかける。例えば誰にどういうことをどれくらいの価格でやって欲しいかなどを組合員でまとめて企画するのだ。というような構想を練ってはまたため息をつく。
鈴木浩二は大学生になった今でも中学時代のある一連の出来事を思い起こして自慰行為にふける。それは彼のキャットファイト原体験とでも呼ぶべきものだった。そして最寄りの駅で中学時代の知り合いに出会うたびに、リアルに当時のことを想起し自慰にふけってしまうのだ。そして今日、ふと偶然に初恋の女性とすれ違ったのだ。

(あっつ、…・・)

浩二は一気に射精してしまった。どろどろとしたものが太股をつたいやがてGパンに染みてくるのが分かる。彼の脳裏に走馬灯のように物語が流れた………・・。
そう、あれは2学期も終わろうとしていた月曜日の5限目、窓の外には秋風に揺れる赤みがかった葉が見えていたのを浩二ははっきり覚えている。とてもひんやりした日だった。
A小学校6年7組の学級会では、生徒間で当時とみに増えたいさかいを担任が見かねて、クラス全員での話し合いがもたれていた。いさかいといっても無視をしたとかしなかったとかいう些細なことで、この年頃の生徒どうしに特有の好きだとか、気に入らないだとかいう感情の交錯したものだった。男子は男子で誰が誰をいつも叩くとかいうことが議題にされた。浩二は軟弱なほうでどちらかといえば、いつもかわかわれているほうだったが、とりたてて誰と問題があるわけではなく、そんなこともクラスでは起こっていたのかと思っていた。
しかし幾人かの生徒達はとても神経質になっていて、とりわけ誹謗の対象となった大森美香はそうだった。クラスの、いや同学年の男子から人気があり、優等生だという認識が生徒間で一致していた渡辺通代という少女が名指しで言う。

「大森さん、人と話しをするときは、よそ見しないでください」

比較的ゆっくりとした口調でとげとげしさはない。だが美香の神経の高まりは頂点に達しようとしていた。
(渡辺さんも言うときは言うんだなあ…)浩二は少し驚いた。
美香は日頃から生まれながらにして清楚かつ清純な雰囲気を持つ通代を妬んでいた。その通代に注意を受けたとなると心中穏やかであるはずがない。しかし通代よりの何人かに話しかけられたとき、美香が無視したのも事実だった。

「よそみなんかしてません」

激しい口調で、美香は立ち上がってそう反論した。
「渡辺さんたちはわざと試すように声をかけてくるんです!」
美香の友達の横山が援護して言う。しかし相継ぐ通代よりの意見の攻勢でやはり美香が悪いという雰囲気にクラスは包まれた。

「まあ、大森さんも、これから気をつけなさい」

担任がそう諭したとき、さしもの気の強い美香も、必死で突っ張ろうとしていた気持ちが途切れて半泣きになり机にうずくまった。

「あ、泣いてる…・」

何人かがそうつぶやく。この年頃の生徒にはやはり誰かが‘泣く’ことは大変なことなのであった。机にうずくまる美香の心にクラス全体から意見された屈辱と悲しみが、ふつふつと沸いていたのであった。この初秋の出来事は美香の心にいつまでも残り続けることになる。浩二は美香の足の爪先に込めた力の入れ様を今でも忘れられない。
通代には美香を追いつめるつもりは、毛頭なかった。元来非好戦的な性格だ。ただ人付き合いを大切にしたかったため、話し掛けても無視をした美香に注意を与えておきたかったのだ。そして通代はけっしてグループの中心などではなかった。ただそのように見られていただけだ。あの時通代は口火を切っただけだと浩二には思えた。

その‘事件’から約2年後、彼や彼女達は中学生2年生になっていた。通代はけっして派手ではなかったが、大人しさと清楚さを保ったまま成長していて、大人気というほどではなかったがレベルの高い一部の男子からは一目置かれていた。肩より5センチほど上までさらさらの髪を伸ばし制服のスカートたけは膝より3センチほど下で、けっしてミニなどにはしない。そして美香はしだいに不良っぽくなり心静かに通代への復讐の機会を待っていた。

(ああ、俺も中学生か………・)

制服を着て校門をくぐる浩二は新緑の若葉を見上げた。まるで動物が生きているように感じるほど生命力にあふれた若葉が、これからこの学校で起きることを何気なく見つめているようで不気味に感じた。


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