桜の花が散って、グラウンドの回りに立つ木々の葉がやや薄緑の新芽を噴いていた。日が長くなったとはいえ、青空に混じった夕日の赤がその木々の陰を長くしている。
校舎の外では運動部の練習に励む男女の掛け声が響く。
僕は、東京にある私立K高校(新設のマンモス校だ)の2年生、松井ヒロシという。今日も学園祭にむけて、軽音楽部(ロックバンドでギタ−を担当している。)の練習を終えて人通りのない校舎の廊下を歩いていく。まだ、さっきまでの音楽室の大音響が耳に残っていて、右指が自然に弦を奏でるように空中を軽く爪弾いている。
行きつけの喫茶店に行って、マスタ−のサンドイッチでもつまんで帰ろうか・・・。
そんなことを考えていた。
カバンを取りに帰ろうとして、自分の教室に向かう。
すると、教室の方から騒いでいる女の声が聞こえてきた。
「てめぇ、さわんじゃねぇよ!」
「何、言ってるの!あなた、自分がしてることがわかってるの!?」
片方の声は完全にキレたようなキンキン声、もう片方はそれに比べるとやや理性的な感じがする。どっちにしても感情剥き出しの女同士の罵声だ。
僕は口汚くやり合っている声を教室の外からちょっとの間聞いていたが、そっと中を覗いてみた。
教室のなかには、制服のスカ−トを思いっきり短くした茶髪の女の子と白いブラウスに黒いタイトスカ−トを着た教師が立っていた。
制服の方は僕と同じクラスの佐々木朱美だ。同じクラスといっても彼女は去年まで一つ上の学年だった。つまり、留年だ。
身長が僕と同じ一七○センチもあって、短いスカ−トからは日焼けサロンでこんがり焼いたブロンズ色の脚が、”ドン”と出ている。
もともと骨太で筋肉質なのか、肩幅も広くて、脚や腕もムチムチした脂肪の下にはしっかり筋肉がついている。目鼻のハッキリして、表情の豊かな可愛い
顔。剃った眉毛。薄いピンクのリップ。引力に逆らった巨乳。デカいヒップ。
おまけに、体操着になると、女の子なのに上半身が逆三角形になっているのがよくわかる。
この立派な身体は部活で鍛えられたものかというとそうじゃない。朱美は遅刻はもちろん、授業はサボる、タバコは吸う、果ては援助交際の噂まである「超」のつく問題児だ。退学処分じゃなくて留年ですんだのが不思議なくらいだと「元」同級生の先輩がこぼしていたのを聞いたことがある。
もう一人は僕等のクラスの担任をしている国語教師の山岸良子だ。
僕は二−Bクラスになって、担任の教師が決まった時、回りのみんなから羨ましがられたもんだ。
「ヒロシ、お前ラッキ−だよなぁ、良子のオッパイ毎日見れんだろ。毎晩”ネタ”には困んねぇじゃん。」
そう、「良子」こと山岸先生は今年33才だ。
細い足首、ウエスト、首筋、またその間の部分がスゴいんだ。
細身の身体に、ホルスタインのような、まさに「オッパイ」と呼ぶのが相応しい二つの山がある。
普通僕等は体育の授業でマラソンしている女子の体操着の下で揺れる胸を見て、「おい。○子の胸しゃぶりついてみたいよなぁ。」なんて言っているけど、そんなもんじゃない。
授業中、教室の机と机の間を歩いているだけで上下左右にユサユサと揺れるんだ。
そして、巨大な「尻」、ヒップじゃなくて「尻」だ。さすがに年のせいでやや垂れてきた感じだけど、そこがまた女っぽい。性格はいたって真面目。だから、僕等の視線があらぬ所にいっていると、白くて鼻筋のとおった端正な顔の眉がクッとつり上がる。「○○クン。今のところもう一度読んでみて。」理性の勝った厳しい声が教室に響く。育ちのいいお嬢様タイプの先生の目が蔑むようにじっと見つめる。「良子」は部活では柔道部の副顧問を務めている。めったに練習には参加しないが、学生時代は相当に慣らしたらしく、たまに柔道着を身につけて、女子部員の相手をしたりしている。その姿を偶然僕は見たことがある。
寝業に入って、縦四方固めで相手を押さえつける。良子の巨乳が部員の顔面を圧迫する。冗談じゃなくて、本気で押さえられた部員が苦しそうに顔を赤くする。相手の動きに合わせて身体をずらしてゆく。僕の方に良子の「尻」がむけられた。動くたびにブルブルと尻の肉が上下動する。柔道着の下からはパンツのラインがクッキリと浮き上がっている。しばらくの間、その「尻」が脳裏に焼きついて離れなかった。
良子が朱美の腕を掴んで自分の方に強く引き寄せようとしている。朱美は腕を振りながら、その手をはなそうとする。
「ふざけんなよぉぉ!!」
罵声と共に乱暴に朱美が腕を振りほどいた。
僕が顔を覗かせるとすぐに朱美が気づいた。
「イエェ〜イ、ヒロシぃ。アタシの描いた芸術作品どう?」
二人の後ろの黒板にはチョ−クで落書きがあった。それを見た瞬間僕は事態が飲み込めえた。
朱美が良子のイタズラ書きをしたんだ。似顔絵とかそんな生易しいもんじゃない。
それは良子の顔をしていて、胸と尻を大きくデフォルメした牛の絵だった。
よだれを口から垂れ流して悩ましそうな顔で”フキダシ”には「ファック・ミ−」と書いてあり、腰を大きく振っている。
「アタシ、絵心あんだろ。女、ムカツクんだよ。せっかく書いた絵を消そうとしやがってよ。」
「当たり前でしょ。こんな下品な絵書いてあなた、女として恥ずかしくないの。恥を知りなさいよ。」
良子は腰に手を当ててフニャフニャと身体をゆすりながら聞いているのか聞いていないのかわからない朱美の顔を見ながら言う。良子は二−Bの担任に決まった時から、朱美に厳しく生活指導をしていた。生真面目な性格から朱美のようなチャランポランなタイプは許せないようだ。
もちろん、朱美はそんな指導はどこ吹く風で、聞き流したり、無視したりの連続だが、「チョ−ムカつく!!」らしい。だからこんな絵を書いたんだ。
「とにかくこの絵は消すわよ。そのあと話しは職員室で十分聞きますからね。」
良子が黒板消しに手をのばそうとした瞬間、朱美が叫ぶ。
「何すんだよ、なんのケンリがあってけすんだよ。」
朱美の日に焼けた手が良子の腕を掴む。
「離しなさい。先生になにするの。」
「うるせぇ、なにが先生だよ、チョ−ムカつくんだよ。」
二人は僕の目の前でもつれ合う。お互い力が入っているので朱美のスカ−トからはパンツがチラチラと見える。
「二人ともやめなよ。」
一応止めに入ってみた。だけど、我ながらなんとも間の抜けた発言だ。
さすがに良子は柔道をやっていただけのことはある。力まかせで押さえ込もうとする朱美の腕を軽くいなしてバックから朱美を押さえ込む。
「放せ!、このババァ〜。」
渾身の力を込めて無理やり振りほどく朱美。お互いにらみ合ったまま向かい合う。二人とも方で息をしている。
ふと、気がついたように朱美が言う。
「上等だよ。ババァ。こうなったらお互い納得するまでカクト−しようじゃねぇかよ。どっちかがKOかギブアップするまで闘うデスマッチでケリつけようぜ。」
「あんたはまた、なに言ってるのよ。女がそんなことできるわけないでしょ。それに私は柔道の有段者なんだからね。あんたみたいな不良に負けるわけないでしょ。」
「オヤオヤ、そぉ−かい。そうやって逃げんならいいんだぜ。このアタシの肉体美が怖いんなら怖いって言えよこのババァ。」
朱美は調子にのってボディ−ビルダ−のようなカッコをして力コブを見せる。ついでに僕のことを意識してスカ−トの後ろをめくってヒップから太股の裏側の筋肉を見せる。僕が思わずナマ唾を飲む様子を、ニヤニヤと楽しそうに見ている。
良子はそんな朱美の痴態に怒りが爆破したようだ。
「いい加減にしなさい。あんたなんか留年じゃなくて退学になった方がよかったのよ。言葉で言ってもダメなようなら身体に効かせてやるわよ!!。格闘技上等じゃない。今夜八時に格技場に来なさい。その曲がった根性を叩きなおしてあげるわ。」
「いい度胸じゃねぇか。てめぇこそ後悔すんなよ。勝負はプロレスでつけるかんな。必ず水着で来いよ!!。水着の上からそのデカ乳ひねり潰してやるよ。スリ−カウントかギブアップ、反則も五秒はオッケ−!!。」
朱美はふざけて両手を上げておどけたポ−ズを取りながら言う。完全に良子をなめている。
良子の白い顔は怒りで真っ赤になっている。
「みてなさいよ。寝業で徹底的に締め上げてやるからね。プロレスみたいな八百長ゲ−ム好きじゃないけど、あんたにつきあってあげるわよ。松井クン。君レフェリ−やってくれるんでしょうね。」
不意に良子が僕の顔を見る。朱美も見る。
「ヒロシく〜ん。朱美のお願い聞いて。」
両手を合わせて屈みながら思いっきり媚びるポ−ズをとる。胸の谷間が視界に入る。思わず頷く。
「オレプロレスファンだから。先生さえよければいいっスよ。」
「決まったわ。勝負は8時からよ。佐々木さん、逃げずに必ず来なさいよ。」
「ふざけんなよ。ションベンちびるほど痛めつけてやっからな!」
捨てゼリフを残して朱美が足早に教室から出ていった。
良子と僕が教室に残された。
「先生、ホントにプロレスなんかできるんスか。佐々木さんは結構腕力あるし、相当強そうッスよ。」
興奮さめやらない良子がふと、僕の方を見た。
「心配しないで、松井クン。こう見えても実は柔道だけじゃなくて格闘技全般が好きなの。もちろん、プロレスはちょっとね。凶器で流血させたり、場外乱闘なんていう八百長まがいのところが嫌いだけど、大丈夫よ。今夜の闘いは佐々木さんの生活指導の一環として行うんだから。ちょっとだけ軽く痛めつけて自宅に返してあげるわ。だから、松井クン、みんなには黙っていてね。」
ニッコリと僕に微笑みながら言う良子。
「ハイ。モチロン誰にも言わないっスよ。」
「ありがとう。これはお礼よ。」
良子が僕に歩み寄る。白くて綺麗な顔が目の前にくる。頬に良子の柔らかい唇が触れる。身体が硬直した。
「じゃあね、松井クン。今夜8時ヨロシク!」
ポンッと僕の肩を叩いて良子が教室を出ていった。
私立K高校は新しいだけに学校の設備は充実している。体育館の横には格闘技専用の建物があって、中には柔道、剣道、相撲、ボクシング、レスリングの競技場がある。もっとも、設備が最新鋭のわりには生徒の質が良くないというのが学校側の頭痛の種らしい・・・。
八時を過ぎると学校には誰もいなくなる。
警備員に見つからないようにそっと建物に入ってゆくと良子がいた。
「来てくれてありがとう。松井クン。」
ボクシングのリングのそばには朱美の姿もあった。
「ヒロシく〜ん。アタシの晴れ姿ヤッパ見にきてくれたんだぁ。見ててねぇ。このクソババァ叩きのめしてやっから。」
笑顔で言ってから、良子の方を振り向く。
「オラ、早くケリつけようぜ。どこでやんだよ。てめぇは柔道好きなんだろ。柔道場でくたばりてぇのか、えぇっ!?」
「そんな口きけるのも今のうちだけよ。あなたプロレスで勝負つけたいんでしょう。いいわ。プロレスのリングはないけど、このボクシング用のリングで闘いましょう。あなたの一番得意な競技のル−ルで痛めつけてあげるわよ。」
良子の形の整った綺麗な両目が”キッ”と朱美を睨み付ける。
二人がリングに上がった。服を脱いで、ファイティングス−ツを露にした。
朱美は、なんと黒いビキニ姿だ。力強い太股、脂肪と筋肉の詰まったボディ−、マットに水平に突き出したハリのある胸。
「ヒロシぃ〜。今夜のオカズにしてもらおうとして奮発しちゃったぁ。カルバン・クラインのスポ−ツブラとショ−ツよぉ〜ん。」
水着じゃなくて下着で闘う気だ。なんて脳天気な奴!。こっちを向いて腰をくねらせてっている。
さすがに良子は女らしく楚々と服を脱ぐ。
するとサイドに黒いラインの入ったベ−シックな競泳用の白い水着が現れた。良子のノ−ブルな雰囲気によくマッチしている。
「超」巨乳がやや垂れながらも水着の生地を破りそうになるくらい張り出している。
あまりにピチピチなために、乳首どころかやや大きめの乳輪の色までもうっすらとわかる。ウエストのあたりはさすがにやわらかそうな肉がこんもりしているけど、脇腹はグッと細くなっている。そして巨大な尻。準備運動の為に上下に軽くジャンプする。胸と尻がブルブルと揺れる。
僕はアッという間に股間を膨らませてしまった。なんとなく前のめりの姿勢になる。
ふと、朱美の方を見るとその様子を面白くなさそうに睨みつけている。
「両者、リング中央へ。」
冷静さを装って声を掛ける。ボディ−チェックをする。ド迫力の四つの巨乳と長い髪、脇の下、股間、脚を見る。
「勝負はスリ−カウントかギブ・アップ、リング内での10カウント、場外での20カウントで決める。目や股間等の急所は攻撃してはいけない。パンチで殴るのもダメだ。ただし五秒以内の反則は許される・・・。」
ル−ル説明が終わった。
「両者、正々堂々闘うように。握手をして。」
ふたりがゆっくりと握手をする。
「ババァ、今夜はお互いただのメス同志だかんな。泣き叫んで許しを乞うまで痛めつけてやるよ。そのデカ乳も邪魔にならねぇようにひきちぎってやる。二度と校内でデカい面できねぇようにしてやっからな。」
「そんな口汚いセリフ二度と言えないようにしてあげる。この試合が終わったら徹底的に言葉づかいを叩きなおすわよ。もちろん、その前に今お仕置きをするからね。」
握手に物凄い力が加わっている。”バッ”と一気に手を放す。両者が自分のコ−ナ−に戻った。
「ファイトォッッ!」
試合開始を宣言する。
良子は柔道スタイルの構えだ。両腕を大きく頭上にあげ、ゆっくりと朱美に近づく。
女子プロレスラ−のファイティングス−ツスタイルでこの恰好はちょっと異様だ。振り上げた二の腕の下の白い腋の下の肉とそれに連なる豊かなバストラインがますます強調される。
朱美は全く構えもしない。ヘラヘラと薄笑いを浮かべて、良子の動きにあわせる。
ムッとする良子。
だが、朱美の肩や首のあたりはかなりしっかりしている。端から見ていても、良子に比べると背も高いし、高校生だけに日に焼けた身体にはハリがあって強そうだ。
”ガシッィ”リング中央で良子と朱美が組む。
良子の腕がアドバンテ−ジを取ろうと朱美の肩や脇や背中を這う。
だが、柔道着を着ていない、ほとんど裸のような朱美の巨体をうまく責められない。
責められないどころか、上背にまさる朱美は、太い腕で良子の両肩を掴んで上から押さえつけようとする。
良子の豊かなおっぱいが反り返る。
歯を食いしばって押し返そうとしているが、やっぱり腕力勝負ではかなわないようだ。
”バッ”良子が嫌って身体を放す。
朱美が笑う。
「どうしたのォ〜、おばサン。離れてたらプロレスにならないよおぉ。カモン、カモン。」
左手を腰にあてて、右手の人指し指でおいでおいでをする朱美。
「うるさいわね。慣れない水着での闘いだから、ちょっととまどっただけよ。あなたこそかかってきなさいよ。投げ技でマットに叩きつけてあげるわ。」
「ほぉ、そうですか。じゃあそろそろ地獄に送ってやるよ。覚悟しな。ババァ!!」
朱美がス−っと良子に近寄る。身構える良子。
その瞬間、朱美の脚が電光石火のように動く。
”パシィッ!!・・・ピシッ!!”
朱美のロ−キックが良子の白い太股のウラ側に決まる。
「あッ・・・・くッッ!?。」
初めて食らうロ−キックにうめく良子。
リングを回りながらなんとか逃げようとする。だが、朱美の長い脚は標的を外さない。柔道のル−ルに慣れている良子にはキックへの防御法がないことを見越しての、朱美のローカイな責めだ。
「オラオラどんどんいくぜぃ!」
左脚を引きずりながら、苦悶の表情で逃げる良子を容赦なく責める。試合開始前の朱美の言葉のとおり、今日は先生と生徒じゃない。メスとメス同志の残忍な闘いだ。
”ドシンッ!!”
ついに良子が耐えきれず尻餅をついた。真っ赤になった白い太股を手でかばう。前かがみの姿勢になると、ボディの肉が歪んで白い水着にこんもり三段の山ができる。
くびれたウエストだけど三十三歳という年齢からか、朱美のしまった腹筋と比べると柔らかくてしっとりした感じだ。
やっぱり、いくら柔道をやっていてもストリ−トファイトまがいのプロレスでは朱美にはとてもかなわない・・・。そんな感じがしてきた。
朱美のキック攻撃は相当効いたようだ。
不敵に笑いながらゆっくり近づく朱美。左手で良子の長い髪を掴んで引っ張りあげる。
「あぁッ、・・痛ッ!」
思わず声を上げる良子。
「ほら、休んでんじゃねぇよ。」
無理やり立たせる。あまりの痛さに良子は反撃できない。
「うりゃあッ・・とわあッ!」
さらに、朱美が良子にヒザ蹴りを叩きこむ。
「うげェッ!!・・・おえぇッ!!」
良子も両腕で反射的に顔面をブロックするがボディ−はガラ空きだ。
朱美は良子の背中で両手を組んで、良子が逃れられないように押さえつける。
朱美のヒザが良子の脇腹やボディを残忍にえぐる。
良子の豊かに脂肪のついたボディをまるでサンドバッグがわりにしてやりたい放題のヒザ蹴りだ。
”ズシッ・・ドスッ・・ズンッ!!”
またしても、ダウン。今度はさらに深いダメ−ジを受けている。
「ぐふぅッ・・・げぇッ!?」
脇腹を押さえて転げ回る良子の背中に今度はストンピングだ。
”バンッ・・・バシィッ!!”
容赦なく蹴る。
転げながらロ−プ際に逃げる良子。額からは脂汗がしたたり落ちている。
さらに、朱美のキック!
”ズズウゥ−ン”死体のように良子の身体が場外に落ちる。
両手で腹をおさえて苦しむ良子。
朱美は自分もロ−プをくぐって場外に降りようとする。
「ノ−、ノ−、朱美。場外だ。リングの中で待て。」
朱美の肩を押さえながら注意するが、朱美は聞かない。僕の方をちょっと見て笑いながら手を振りほどく。
場外で、ダウンしている良子の腕と髪を掴んで引き起こす。
フラフラになって立ち上がる良子
「オラ、もうおわりかババァ、口ほどにもねぇじゃねぇか。えぇ?」
良子は悔しそうに歯を食いしばっている。でも、あまりのダメ−ジに言葉もでない。
朱美はリングの方を向いて、良子の腕と髪を後ろに引く。
”バァァンッ”良子の額をマットに叩きつけた。
「いやぁぁぁッ!?」
叫び声をあげながらのたうちまわる良子。
完全な反則だが、プロレスのル−ルでは瞬間の反則技は許される。僕は場外の二○カウントを数えはじめた。場外で、両手で顔を覆って脚をバタつかせて苦しむ良子を朱美は髪をかきあげながら楽しそうに見おろす。女王様気分の朱美は本当に嬉しそうな表情を浮かべている。またもや、良子を引き起こして今度はリングに押しやる。自分もあとから大股開きでリングに上がった。まだ、良子はロ−プ際でダウンしたままだ。朱美は両手でロ−プをつかんで、大きな右足で良子の肩甲骨のあたりを踏みにじる。
「くうッ・・・あッ!」
苦悶の表情の良子。白い首筋に青筋がたつ。
朱美は爪先でグリグリと円をえがく。
「ノ−、ノ−。朱美、反則だ。」
しぶしぶと攻撃を中断する朱美。
僕はダウンして、息も絶え絶えの良子をみて、一○カウントを数えはじめる。
「ワンッ、トゥ−、スリ−・・・」
もう完全にKO負けだろうと思ったが、良子はロ−プにもたれながら、なんとか立ち上がろうとする。
「先生、もうやめた方がいいよ。これじゃ朱美にリンチされてるみたいだよ。」
「ハァ、ハァ、ホァッ・・・だ、大丈夫よ。まだやれるわ。あんな不良娘に負けるくらいなら死んだほうがマシよ。」
良子はファイティングポ−ズをとって、試合再開を要求する。滝のような汗が白い水着を覆って、肩で荒い息をする良子の上下にゆれる大きなおっぱいを濡らす。興奮のために乳首が大きく勃起して、大きな乳輪のボツボツまでハッキリと透けてみえる。
僕は朱美に背中を向けながら、見えないように思わず両手で良子の胸を下から持ち上げるようにさすってしまった。良子はその手を払いのけもせずに少し目をトロンとさせている。
「ありがとう、ヒロシクン。勇気づけてくれたのね。大丈夫よ。必ず勝ってみせるわ。」
ボロボロにされながらもニッコリと微笑みかける良子。
「はい、ファイトォッ!」
試合再開を告げる。
大きく息をしながら、良子が叫ぶ。
「佐々木さん!顔は女の命なのよ。何よ。さっきの攻撃は。卑怯じゃないの。正々堂々と勝負しなさい!!。」
「ふざけてんじゃねぇよ、ババァ。プロレスに反則はつきものなんだよ。悔しかったらパンチの一発もあててみろよ。」
朱美は言いながら、自分のヘソのあたりを突き出して、右手でポンポンと軽く叩く。黒いハイレグのすぐ上だ。
「ここだよ、ここ。やれるもんならやってみな。」
良子がまたしても悔しそうに唇を噛む。
朱美はほとんど息も乱れていない。
ふたりが向きあう。
ジリジリと間合いをつめて、リング中央に近づく。朱美が右手を良子に向かって突き出す。指を握ったり開いたりして誘いをかけている。
良子も応じるようにその手を握りにゆく。
右手を握った。
左手も握った。
手四つの力比べの体制だ。どう見ても良子の方が不利なのに朱美のペ−スにあわせてしまっている。
「ふぅッ・・はぁ〜ッ。」
「エイッ・・・・くうぅッ。」
互いに力を込めて相手を押し返す。四つの拳がブルブルと小刻みに揺れながら次第に下のほうにさがってゆく。
ふたりが接近する。
「やぁぁッ!。」
良子が自分の胸を朱美に押しつけるように突き出す。
「おりゃぁッ!!」
負けずに朱美も同じ体制をとる。四つの巨乳が激しくぶつかりあう。プルプルと震えながら相手の胸の圧力でおっぱいがひしゃげる。良子のおっぱいはやっぱり巨大だ。やや垂れかけているものの、力をいれて背筋を延ばすポ−ズをとっているために、まさに水着を破りそうなくらい突出している。
朱美自慢のロケット型の巨乳さえ、小ぶりな感じがする。
顔と顔が近づく。荒い吐息が互いの顔や首筋にかかる。朱美はそうでもないが、色白の良子は汗でグッショリだ。
しばらくこの状態が続いたが、だん朱美が押し気味になってきた。
「どうした、ババァ。返してみろよ。」
「うぅッ・・ああッ!?」
良子は顔を真っ赤にして力を込めるがやはりかなわなかった。朱美は強引に良子の手首をねじあげる。完全に朱美の勝ちだ。そのまま手首を痛めつけながら身体を離す。
「うりゃぁッッ!!。」
”ドボオォッ”朱美が両手を掴んだまま良子の下腹にト−キックを見舞う。
「おえぇぇッ・・・はぉぅッ!?」
一発、二発と朱美の爪先が良子のボディを責める。良子は逃れる術がない。
「そりゃぁ〜ッ!!」今度は朱美が十六文キックよろしく、大きな足の裏で良子の右のおっぱいを踏みつぶすように蹴りあげた。同時に手を離す。ゆっくりとスロ−モ−ションのように後ろに倒れる良子。
「あああぁぁッ!?」
”ズウゥンッ!!”
両手で右胸を押さえて苦しむ。目に涙が浮かんでいる。両手でおっぱいを守るようにおさえてヒザと頭をマットにつけている。大きなお尻を宙に突き出している。
朱美はゆっくりと良子のお尻の方に近づく。
今度は、面白半分に良子のお尻に軽いキックを浴びせる。
”ピシッ!・・パシッ!・・ピシィッ!!”
「あッ・・・くぅッ!?」
朱美の足の甲が良子の尻を叩くたびに、良子の豊かな肉がブルブル震える。
朱美がニヤニヤと笑う。・
「おらおら、どうしたんだよ。たてねぇんならこうしてやるよ!」
朱美が良子の股間に右手を伸ばした。
”グイッ”
「いやあぁぁぁぁッッ!?」
良子が叫ぶ。
良子の濡れた水着の股間の割れ目を、朱美の人指し指と親指が襲う。良子の女の部分、特に突起物を集中的に握りつぶしている。
逃れようとする良子の腰に左手で抱きついて、右手は離さない。
「レ、レフェリ−・・は、反則よッ!!」
良子が痛みに耐えながら抗議する。もう、教師としてのプライドもズタズタだ。
「朱美ッ、反則だ。離れて!。」
しぶしぶ離れる朱美。良子は尻を突き出して、両手で股間を抑えて苦悶の表情を浮かべている。もう、恥ずかしさなんて気にしていられないほどのダメ−ジだ。
朱美は追い打ちをかけるようなストンピングを無防備な良子の額に浴びせる。余裕の表情を浮かべて、一発、一発大きなモ−ションをとって放つ。
「おりゃぁ!・・・どうだぁッ!」
”ガシッ・・・ピシッ!!”
良子の綺麗な両目が見開く。さっきまでとうってかわって放心状態のように表情が乏しくなっている。恥ずかしげもなく股間をさらして力の抜けた太股が時折ピクッと痙攣している。激しい動きで水着の股間部分がめくれて恥ずかしい毛がハミ出している。
リング中央で大の字にノビている良子。朱美はそのぶざまな姿に満足しながら、良子の側にひざまづく。
そして平手打ちのように右手を良子のボディに叩きつけると、指に力を込めはじめた。
今度はストマック・クロ−だ。
「ほげえぇぇっッ・・ごぼあぁっッ!?」
「オラ、てめぇの内蔵グチャグチャにして、股の間から引きずり出してやるよ!覚悟しな!」
ギリギリと良子の下腹を絞りあげている。ほとんど、朱美の右手は良子の柔らかいボディに埋まってしまっているほどだ。
朱美は歯を食いしばって力を入れながらもニヤニヤと不敵な笑い顔をうかべている。
右手で良子の胃袋を握りしめてその感触を楽しんでいる。
「ぐふあぁっッ!・・げぇぇッ!?」
良子の口もとからドロドロと胃液のようなものが滴りおちる。普段は端正な色白の顔なのに、唇を尖らせ、両目を大きく見開いて苦しんでいる様子はまるでダッチ・ワイフのようだ。
「先生、ギブ・アップか?」
良子に問いかける。
「ノ、ノ−ゥ。ギブ・アップしないわ!!」
「てめぇ、やせガマンしてじゃねぇよ。オラオラ、どうだ、ババァ!」
朱美は右手の力を入れたり、抜いたりしている。
「ぎゃぁぁぁッ!!」
断末魔の叫びをあげる良子。それでも強情にギブ・アップしない。よっぽど朱美に屈伏するのが悔しいようだ。
朱美が右手を離した。
良子は口から泡を吐いて、ダウンしたままだ。もう朱美がカバ−すれば、すぐにでもフォ−ルできるほど痛めつけられている。
だが、朱美はそうはしなかった。朱美はなんと、仰向けに倒れたままの良子の顔面に座り込んだ。すっかり汗ばんだ黒いハイレグパンツを良子の口と鼻に押しつける。
「ふがッ・・ふぐっッ・ぷはぁッ!?」
息ができずに苦しむ良子。その苦しむ様子を朱美は楽しげに見つめる。そして、今度は騎乗位のように腰をグラインドしはじめた。
「おらおら、どうだ。もう抵抗もできねぇだろう。オマエはもうアタシのグンモンにくだったんだよ。どうだよ、年下の不良娘にやられた気分はよおぉ。この瞬間のためにさっきトイレに行った時、、ケツふかねぇできてやったぜ。どうだ、あたしの女の匂いとケツの匂いは。タップリ味あわせてやるよ!!」
「ぐっ・・ふうぅぅッ・・ふあげふぅッッ!?」
良子はどうすることもできない。もがくだけで、状況は変わらない。10歳以上も年下の、しかも自分のクラスの生徒に全く手も足も出ずに組み敷かれ、股間を顔面に擦りつけられ、女の匂いまでかがされている。
先生と生徒という関係以前に、野性の動物のようにメスとメスという立場で完全に屈伏させられている。
今日から先、教室で出会ってももう以前のように先生として威厳をもって朱美に接することはできないだろう・・・。
良子の抵抗がだんだん弱くなってきた。完全にグロッキ−状態になったようだ。
腕や脚の筋肉から力が抜けてだらしなく弛緩している。
「朱美。もうやめろよ。おまえの勝ちだよ。」
朱美の手を掴んで良子の顔から離そうとした。すると、朱美はキッと僕を睨み付けた。
朱美は立ち上がって両手で僕の肩を抑えて無理やり押し倒して馬乗りになった。
「ヒロシぃ、アタシはこの女メチャククチャにしてやったぜぇ。今度はヒロシがアタシのことをメチャクチャにしてくれよぉ。火照ったカラダさましてくれよ。なっ?」
自分からブラを外し、僕に抱きついてくる朱美。
と、その時だ。いつの間にか回復した良子がフラフラと朱美のバックから近づいてきた。ブラを取って、パンツだけの朱美の背後から首に両手を絡ませる。裸締めだ。
「ぐあぁッ!・・げほおぉッッ!?」
完全に油断していた朱美に良子は完璧に技をかけた。
「何してんのよ、この不良娘。あたしはまだ、ギブ・アップしてないわよ!!。」
「てめぇ、ひっ、卑怯だぞぉッ!」
「うるさいね。プロレスに反則はつきものだって言ったのは自分よ。よくも痛めつけてくれたわね。この裸締めで落としてあげるから覚悟しなさい!!」
「ぐぅぅっッ!・・あぁっッ!?」
「ほらほら、どう。わたしの技のキレは。ほら、女子プロレスラ−なら外してみなさいよ。」
グイグイと良子が朱美を締め上げた。
みるみる朱美の顔が真っ赤になってゆく。
「どう、ギブ・アップすれば許してあげなくはないわよ。」
「ぐぅっッ・・・だれがするか!!」
「そう。そうれじゃしょうがないわね。」
良子の腕に力が入った。朱美の目が虚ろになってきた。さすがに本気で柔道技をかけられたらかなわない。朱美の両手が崩れ落ちた。
落とされたんだ・・・。
良子が朱美を離した。うつ伏せに倒れる朱美。
「はぁッ・・はぁッ・・ほぁッ」
息を弾ませながら失神して、だらしなく倒れた朱美を見つめる。
今度は僕の方に視線をずらす。近寄ってくる。
「松井クン。今この不良娘と何してたの?」
「えっ、・・いや、なんにもしてないッスよ」
「隠さなくてもいいのよ。今日は女同志の醜い闘いにつきあってくれたお礼にこんな小娘じゃなくて、私が女を教えてあげる。いいでしょう?」
その時だった。
「うッ、う〜ン。」朱美がだるそうな声をあげた。
ハッとする良子と僕。
「残念だけど今日の授業はこれで終わりね。佐々木さんが起きそうだわ。この続きはまたいつかしてあげる。でも、女の裸のことばっかりじゃなくて、勉強にも集中してね。」
良子は朱美の上半身をおこして、背中に右ヒザを当てる。
「えいッ!」
喝をいれた。
「うぅ、・・・あッ!」
気を取り戻す朱美。けだるそうに頭を左右に振っている。
「気がついた?佐々木さん。」
良子は立ち上がって両手を腰にあてて、朱美を見下ろす。朱美が良子を見上げる。
「くぅッ、・・・ババァ、きたねぇよ。後ろから襲いかかってきやがって。」
「反則はお互いさまでしょ。それに私はあなたのお尻の匂いまで嗅がされたんだからね。トイレに入ったらちゃんとふきなさいよ。あんまり臭かったんで失神しそうになったわ。」
良子が笑いながら言う。つられるように朱美まで笑った。
「最後の締めは効いたよぉ。でも、あれは絶対反則だかんな。それに今日はあんたに今まで怒られてた分仕返ししようとしただけだよ。いつもはケツもきれいにふいてるよぉ」
少し甘えたような声で朱美が言う。”ババァ”が”あんた”に格上げになっている。
「いいわ、佐々木さん。試合の前半は確かにあなたの攻撃に先生、手も足もでなかったわ。本当に苦しかった。あなたのこと甘く見ていたわ。今日のところは引き分けにしましょう。」
「わかったよ。でも、先生。こうやって闘って始めてあんたのことがわかったような気がしたよ。だからさぁ、またプロレスしようよ。」
「わかったわ。佐々木さん。いつでも受けてあげる。でも、今度は今日みたいに痛めつけられないわよ。私も今までプロレス馬鹿にしてたけど、研究する。今度反則攻撃してみなさい。逆に倍にして返してあげるわ。」
「いったね、先生。アタシだって負けないよ。今日やったよりスゴいラフ攻撃でギッタンギッタンに痛めつけて先生の泣き顔見て笑ってやるから。サンドバッグがわりにしてやるぅ」
「ふふふっ、楽しみにしてるわ。でも、サンドバッグがわりになるのはどっちかしら。」
二人がどちらともなく笑いだした。
良子のいっていた教育的指導というのはこんな事だったのだろうか。もし、そうなら一応は成功したようだ・・・。良子が僕を見る。
「松井クン。その時もまた、レフェリ−お願いね。」
「そうそう。ヒロシのレフェリングなかなか本物のプロレスっぽくって良かったぜ。特に反則の時とか注意するけどあんまり止めたりしないとことかさぁ。観客にウケるレフェリングって感じィ。」
「松井クン。そこはもうちょっと強く裁いたほうがいいわよ。」
良子がちょっと怒るふりをして言う。
またしても大笑いするふたり。このあと、良子と朱美は冗談を言いながら着替えた。お開きとなった。
この日のあとも、良子や朱美はいままでと全くかわらない生活をおくっている。良子は真面目な態度で授業をして、朱美は相変わらず遅刻三昧だ。ただ、いままで反目ばかりしていたふたりがなんとなく仲がよくなったことにみんなが首を傾げている。
たまたま、良子と教室でふたりきりになった時にフッと漏らしたことがある。
「松井クン。先生、レンタルビデオ店でプロレスのビデオ借りて、研究してるの。なかなか奥が深いのね。それと相手を強くみせるためには相手の技を受けることも必要なのね。反則技を受けたら痛がって、そのあと反撃して勝負をつけるとか・・・。」
良子は真面目なだけに、昔のアントニオ猪木のようなプロレス哲学を模索しているようだ。
僕は再戦の日を楽しみにまっている。