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フェイスシッター瞳

(第1話 瞳 vs 恵津子)




 「え?…あたしがやるんですか…?」

 「ああ…。要するに、あの瞳っていう生意気な女を畳んじまえっていうことだよ。」

 「…そうですね。あたしもあの女のこと、前から気に入らなかったんですよ。…なんかいい子ぶってて…。」

 「どうだい、本当にやっちまうか?」

 「…やります。ちょうどいい機会ですから…。」

 「でも、一応は気を付けて掛かれよ…。なんでも砂織のことをコテンパンに伸しちまったって話だからな。」

 「その話なら、あたしも聞いてます。…何でも顔の上に跨って、尻を舐めさせたって話ですよ…。」

バスケット部の部室で煙草を吸いながら、恵津子(2年)は先輩・美加(3年)と話をしていた。どこからどう漏れたのか、瞳(1年)が砂織(3年)を屈服させたという話はもはや皆の周知するところとなっていた。ただし、砂織に気を使ってか、積極的にそんな話をする者はいなかったので、強いて言えば、「かなり信憑性のある噂話」と言ったところだったか…。

 「言っちゃあ悪いけど、あたしは砂織先輩なんかとは訳が違いますよ。」

 「ああ、そうだよ…。砂織なんかイキがってるだけでさあ、大したことねえもん。…後輩に負けて大人しくなっちまうくらいなら、最初からデカい面するなってのよ…。」

美加はバスケット部のキャプテンを務めているが、それでいてかなり性格的に荒っぽいところがあり、実は喧嘩もかなり強い。事実上の女番長といっていい存在だった。ちなみに砂織との中は良くもなし悪くもなし…といったところだったが、ここへ来て情けない噂を流され、実際にどこかヘコヘコしたように見える砂織のことを見下ろしているようだ。バスケット部の後輩である恵津子も同様で、二人とも「自分は鍛えている」という自信があるから、後輩と喧嘩して負けるような女は即、三行半…となる。
 美加が瞳のことを気に入らないのはまず、先週学校で開催されたクラス対抗陸上競技会の結果に対してである。100m走の、「3年生の部」で優勝した美加のタイムより、「1年生の部」で優勝した瞳のタイムの方がコンマ5秒も早かったのだ。これは運動部の主将としては面目丸潰れなのだった。加えて、その競技会や、例の噂の影響で、「瞳には誰も敵わない」という囁きが聞こえるようになっていた。これがまた、美加が瞳のことを妬む理由になっていた。また、瞳の生来の明るさと自信に満ちた性格が、ともすれば有頂天になっているようにも見えなくはなかったから、もともと性格的に尖ったところのある美加としては、勢い「許せない」ということにもなっていた。一方、恵津子は長身でやや顔つきに怖いところがあり、人にチヤホヤされるようなタイプではなかったので、人気者である瞳のことをこちらもひがんでいた。

 「でも、美加先輩が直接やっちまってもいいんじゃないですか?」

 「馬鹿っ!…あたしがやったらカドが立つだろう?…仮にもキャプテンなんだしさ。だからお前がやるんだよっ!」

 「フッ…、それもそうですね。…了解しました。先輩の命令には逆らえませんよ…。」

恵津子はニヤリと笑った。

 「あと、あたしが命令したなんて言うなよ…。先コーにチクられたりしたら後々厄介だからさ…。」

 

* * *

 

 「ちょっと、そこのあんた!」

休み時間、瞳の教室に顔を出した恵津子は、瞳を呼び止めた。

 「なんですか?」

 「今日の午後、3階のあたしの教室まで来い…。」

いきなり人を呼びつけておいて、この命令口調は何なの?…お口の聞き方を教えてあげなくちゃ駄目かしら?…とは思ったものの、まあ、世の中には変な人もいるしィ、と瞳は思いとどまった。

 「とにかく来いよ…いいか、逃げるんじゃねえぞ!」

それだけ言うと、恵津子は瞳を一瞥し、さっと引き上げた。

 「ウフフッ…。」

恵津子が去った後、瞳はほくそ笑んだ。

 「何だかいろんな人がいるんだなァ…。」

 

* * *

 

 西日の射す教室の真ん中で、恵津子は机に腰掛けていた。視線の先にはセーラー服姿の瞳がいる。言われたとおりに、恵津子の待つ場所へやってきたのだ。

 「ノコノコとよく来たわね…。本当に来るほど馬鹿だとは思ってなかったけどね…。今日あんたに来てもらったのはねえ、要するにあんたのことが気に入らねえからなんだ…。」

 「だから…?」

 「いい気になり過ぎていました、今後はおとなしくします、って誓ってもらおうかと思ってね…。」

 「お断りします。」

 「フッ…、本当にあんたって先輩に対する口の聞き方を知らないんだねえ…。きっと、そう言うだろうと思っていたよ…。ま、だからと言ってあたしとしてもハイそうですか、って訳にはいかないんだよね…!」

 「どうしてですか?」

 「…あんたを叩きのめせっていうのはある人からの命令でもあるからね…!まあ、こっちも最初から力尽くであんたを黙らせるつもりだったけれど…。」

 「…誰の命令なの?」

 「それは言えないねえ…。」

 「なら、こちらこそ力尽くで言わせてみせるわ…。」

 「…!」

瞳の後輩らしからぬ発言を前に、恵津子の顔はにわかに怒りを帯びた。

 

* * *

 

 「…!」

しばしの険悪な沈黙の後、恵津子は机から飛び降り、瞳に飛び掛かった。瞳はスッと身体を反らせてこれを交わす。一瞬バランスを崩した恵津子だが、素早く身構え、瞳の方を向いてファイティングポーズを取った。

 「本当にやる気なのね。…先に言っておくけど、私はとても強いのよ…。」

瞳は、恵津子に合わせるようにして身構えた。恵津子も間合いを測りながら、仕掛けるタイミングを伺っている。

 「おりゃーっ!!」

先に動いたのは恵津子だった。一瞬の隙を突いて、瞳のボディめがけて渾身の右ストレートを放ったのだ。

 「うっ!」

恵津子の握り拳が瞳のボディに突き刺さった!…瞳はガックリと片膝を着いた。その瞬間、恵津子の顔に赤みが差した。喧嘩には自信がある。とはいえ、やはり実際に闘うとなるとそれなりの不安は持つものだ。もしも、この女が自分よりも強かったらどうしよう…と。自分のパンチが思い通りに決まったことで、恵津子はそんな不安から解放された。…大丈夫、勝てる!…この女を叩きのめせる!

 「フッ…どうしたんだい、お嬢ちゃん。もうお終いなのかい…?」

恵津子は不敵な笑みを浮かべ、瞳に問うた。

 うつむいていた瞳が顔を上げた。…えっ?…笑っている!?

 「ウフフッ…これで先に手を出したのはあなた、ってことになったわね…。」

瞳はスクッと立ち上がり、身構えた。

 「さあ、ここからは手加減なしよ!」

 「な、何ィ…!?」

恵津子は一瞬動揺した。自慢のストレートが効いていないのか?…そんなはずはない、この女はただ強がっているだけだ。そう思い直した恵津子も身構え、またしても瞳に殴り掛かった。

 「これならどうだい!…いつまでもそんな減らず口叩いてると只じゃ置かないよ…!」
 
恵津子の拳がまたしても瞳の腹に迫った。瞬間、瞳は右に半身の体勢を取り、これを交わした。そして、勢い余って突っ込んでくる恵津子の右腕を脇に抱え込むようにして掴んだ。さらに素早く恵津子のバックに廻り、掴んだ腕をグイッと捻り上げた。

 「くっ!」

後ろ手に取られた恵津子の顔が焦りで引きつった。

 「むんっ!」

瞳はもう片方の腕で力強く恵津子の肩を押さえつけた。恵津子は床に膝を付き、さらに瞳が力を込めると今度は顔から床に這いつくばるような格好になった。

 「くそっ!」

後ろ手を取られたまま床に這いつくばるという屈辱的な体勢に、恵津子は苦渋に満ちた声を出した。瞳は恵津子の右肩を跨ぎ、ドカッ!と腰を下ろした。

 「ふんっ!」

瞳は自慢の大きな尻で恵津子の肩を動けないように固定したまま、力強く恵津子の腕を捻り上げた。

 「んあーっ!!」

恵津子は脚をバタバタさせながら、たまらず悲鳴を上げた。脚はバタバタと動かせても、上半身は瞳の尻にガッチリと押さえつけられて、身動きができない。このまま捻り上げ続ければ、恐らく恵津子は降参しただろう。あるいは腕が折れたかも知れない。だが、瞳はこれをあっさりと外した。

 「スカート、クリーニングしたばかりなんだ…。汚しちゃったら大変だわ…。」

瞳はそう言うとスカートを脱ぎ捨て、パンスト姿になった。そして、肩と肘を押さえてうずくまっている恵津子を見下ろした。

 「さあ、まだやる?…」

 「ち、畜生…」

恵津子は引きつったような表情で呟き、起きあがった。

 「い、今のは油断しただけだ!…今度はそうは行かねえからな!」

恵津子は精一杯の虚勢を張り、今一度、瞳に殴りかかった。瞬間、瞳の目が光った。

 「ぐぶっ!」

直後、前のめりに倒れ込んだのは恵津子の方だった。飛び込んでいった勢いそのままに、カウンター気味の強烈な膝蹴りを喰らったのだ。恵津子は瞳にもたれかかるようにして崩れた。

 「とうっ!」

返す刀で瞳は、恵津子の喉元めがけて、ピシっ!という音を立てて強烈な水平空手チョップを一発たたき込んだ。

 「うぷっ!」

恵津子は衝撃のあまり、逆方向に吹っ飛び、尻餅をついた。

 「ウフフッ…。」

瞳は余裕の笑みを浮かべながら、ジワジワと恵津子の方に歩を進めた。恵津子は腰が抜けたかのように尻餅をついたまま、慌てて後ずさりした。そうするうちにも瞳は容赦なく恵津子との距離を詰め、ついに恵津子は教室の一番角まで追い詰められ、逃げ場が無くなった。

 「…」

恵津子はすっかり怯えた表情で瞳を見上げた。瞳は余裕たっぷりに恵津子を見下ろした。

 「どう?…まいったする?」

 「う…」

 「さっき誰かに命令されたからって言ってたわね…誰の命令なの?…」

 「…」

 「白状しなさい。…その方が身のためよ…。」

瞳はへたりこんでいる恵津子の髪を、自分の股間の前でギュッと掴んだ。恵津子はもはや焦燥を通り越していた。

 「(…駄、駄目だ…この女、強すぎる…)」

だが、先輩・美加に「名を出すな」と命令されている以上、それに背くわけにはいかない。それこそ、とんでもないリンチが待っているかも知れない…恵津子は決死の思いで首を振り、返事を拒んだ。

 「そう…白状したくないのね…。ならば白状したくなるまで、お仕置きをしてあげましょう…。」

瞳は恵津子の髪を掴んだまま、自分の股間にその顔をそっとあてがった。

 「(むぐっ)…」

恵津子はこれから自分がどんな目に遭うのかを瞬時に察知し、それ故に、恐怖のあまり声を失った。

 「さあ、思い知るがいいわ…。これが…「必殺・お○○こ固め」よっ!!」

瞳は恵津子の顔を力一杯、自分の股間に押しつけた。

 「(むぎゅーっっ!!)…」

ジワジワとならまだしも、一気に押しつけられたから恵津子はたまらない。1分も立たない内に完全に呼吸不能になった恵津子はすぐさま瞳の太股を2度、3度とタップした。瞳は、それが降参の合図だとわかってはいたが一切構わず、それどころか恵津子の頭を押さえつける両腕により以上の力を込め、股間をグイッとさらに前に突き出すようにし、もっと強烈な「お○○こ固め」を決めてみせた。

 「(ふんぎゅーっ!!)…」

恵津子はもはや先輩のプライド云々などと言っている場合ではなく、声の限りに「まいった!」と叫びたかったが、あまりにも「お○○こ固め」がガッチリ決まりすぎていて、瞳の股間と自分の口との間に一寸の隙間もないため、まるで声が出せない。

 「(んぐーっ!!)…」

窒息死するかも知れない…そんな恐怖に苛まれながら恵津子は、もういい、今を生き延びることが先決だ…白状してしまおう…そう決心し、瞳の太股にすがりついた。

 5分もして、瞳はようやく股間から恵津子の顔を少しだけ放した。

 「…!ぐばっ!ぶはっ!ふはっ!…!」

恵津子はここぞとばかりに一生懸命空気を吸い込んだ。

 「どうだ!…まいったか!」

瞳は王者の風格すら漂わせながら、余裕たっぷりに恵津子に問うた。

 「…は、はいっ!…ま…まいりましたっ!…どうか、どうかお許しを…」

恵津子は息を切らせながら、いともあっさりと降参を告げた。瞳の強烈な必殺技の洗礼が、恵津子の戦意をすっかり喪失させたのだ。

 「さあ、今度こそ白状しなさい。…誰の命令で私を?…」

 「…そ、それは…」

恵津子はこの期に及んでまだ美加の名を出すことをためらったが、先輩・女番長に対する恐怖心より、あまりにも強すぎる瞳に対する怯えの方が今は先立っていた。ましてや、今なお自分の目の前には瞳の、恐怖のお○○こが立ちはだかっているのだ。

 「ほら、早く白状しなさい。…さもないと、また「お○○こ固め」よ…。さあ、どうするの?」

 「ひっ、ひいっ!…は、白状しますっ!…」

 「うふふっ…素直ね。さあ、誰なの?」

 「み、美加っ…美加先輩ですっ!…」

ついに恵津子に美加の名を白状させた瞳は意味深な笑みを浮かべ、おもむろに振り返ると、恵津子の顔の前に尻を突き出し、勝ち誇ったように腕組みした。

 「…ここで、私に服従した証拠を見せてもらいましょう。…さあ、お尻を舐めなさい。…」

瞳は恵津子に命じた。屈服させはしたが、恵津子は瞳の強さにひれ伏しただけで、悪事を働いたことを反省したわけではない。このままでは、ほとぼりが冷めた頃にまた悪いことをする恐れがある。ならばもっと屈辱的な思いをさせることにより、懲りさせ、反省を促し、二度と悪さをさせないように、という正義感に基づいた行動だ。…観念した恵津子は気が狂いそうなほどの屈辱に苛まれながらも、自分より強い女に喧嘩を売ってしまった虚しさを噛みしめながら、瞳の巨大な尻を犬のように舐めた。ペロペロと…何度も、何度も…。

 「…もう、いいわ。」

しばらくすると瞳はそう言った。そして、教室の中程まで歩を進め、先ほど脱ぎ捨てたスカートを手に取り、前屈みの姿勢でそれについた埃をパンパンとはたき始めた。雄大な尻を向けたまま、恵津子のことなどもはや眼中にないと言わんばかりに。

 

* * *

 

 恵津子はその一見無防備な瞳の後ろ姿を見つめながら、性懲りもなく新たな悪意が芽生えるのを感じ取った。…確かにこの女は強かった…まともに刃向かったらとても歯が立たない。だが、こっちに尻を向けている今、不意打ちを喰らわせたらどうなる?…喧嘩はスポーツじゃない。例え「まいった」と言わされた後でも、要は最終的に相手を伸してしまえばよいのだ。いくらこっちが降参したからといって、喧嘩の相手に尻を向けているようなこの女が甘いのだ!…もとより美加の名を白状してしまった以上、只で済むはずがない。そうだ、やっちまうしかない…!

 「んあああああっ!!!」

恵津子はけたたましい雄叫びを上げながら床を這い、瞳の尻にしがみつくように襲いかかった。

 「…!」

瞳はたまらずバランスを崩した。だが…。

 

* * *

 

 もつれ合いながら二転三転した後、馬乗りになって相手を組み伏せたのはやはり瞳だった。不意打ちだろうが何だろうが通用しない、揺るぎない強さを瞳は見せつけた。

 「…なかなか卑怯なことをしてくれるわね。…まいりました、じゃなかったの?…まだ私の本当の強さがわかっていないようね…。」

瞳は恵津子の腹に跨って見下ろすように言った。仰向けにされた恵津子は必死に暴れるが、腕を押さえつけられていては身動きなどできない。奇襲攻撃に出てからまだ1分も経たない内に、恵津子はもはや取り返しのつかないことをしてしまったのかも知れないと感じていた。

 「抵抗するだけ無駄よ。」

瞳は恵津子の首もとまで勢いよく尻を進めた。

 「げほっ!」

首の上に跨られた恵津子はたまらず咳き込んだ。脚をバタバタさせながら体勢を入れ替えようと試みるが、どう抵抗したところで瞳の尻をどかすことなどできるはずもなかった。

 「えいっ!」

瞳は尻を上げ、恵津子の顔に軽くヒッププレスを決めた。

 「ごぼっ!」

瞳にとっては軽いジャブのつもりだったが、瞳の尻は実に大きいので、受ける側にとってはこれだけでも十分な衝撃である。瞳はすぐにまた尻を少し浮かせた。恵津子の脳裏を例の噂話がよぎった。砂織の顔を敷き潰した、あの恐怖の尻…。

 「(あ、あたしの顔も…こ、このデっカい尻に…?)」

瞳の尻を目と鼻の先に見せつけられながら、恵津子の顔がにわかにこわばった。

 「どう?…私のお尻の匂いは…。それとも、もっと強く嗅がせてあげようかしら?…」

瞳は余裕たっぷりに「顔面騎乗宣言」を恵津子に突きつけた。

 「ひいっ…」

瞳の尻は、ただ見上げるだけでも十分な威圧感を恵津子に与えていた。いや、むしろ跨る寸前で止めている状態だからこそ、相手に最悪のシナリオを想像させ、与える恐怖心はより大きかったのかも知れない。もしもこの尻に敷き潰されたら…間違いなく今度は息の根を止められてしまう…!

 

* * *

 

 「あ、あたしが悪かった…こ…今度こそ本当に、まいった…許して…今度は本当、信じて…」

恵津子は瞳に、いや目の前の、瞳の尻に向かって哀願した。

 「いえ、信じません。」

 「ほ、本当ですっ!…今度こそ本当…許して…」

 「いえ、許しません。あなたのような悪党は、息の根が止まるまで許すわけには行きません!…例え私が許しても、私のお尻が許しません!」

 「えっ、そ…そんな!…」

 「行くわよ…「必殺・お尻固め」よ…!」

 「わっ!…そ、それだけは許して!…ひーっ!…ご、ごめんなさいーっ!…ごわっ!…(んぐーっ…!!ふんぐーっ…!!…!…!)」

瞳は恵津子の顔の上に力一杯、ドッシリと跨った。瞳の尻は完全に恵津子の口と鼻に隙間なく密着し、呼吸を奪った。その重さと屈辱感とを合わせた三重苦に、恵津子は心臓が破れんばかりだった。

 「(んーっ!!…んぐーっ!!…うぐーっ!!…!…!…)」

 「むんっ!」

瞳は、恵津子が二度と悪さをしないように徹底的に懲らしめてやることを決意し、さらに尻に力を込めた。恵津子は最強のフェイスシッター・瞳に挑んだことを、しかも一度は降参したのに再度卑劣な作戦に出たことを、心底後悔しながら、この上ない苦痛の中で、意識が薄れていくのを感じていた。


 「…」

 5分もの間跨り続けた瞳は、ついに恵津子の抵抗する気配がまったく失せたのを尻で感じ取った。

 「ウフフッ…。完全なる勝利ね。…」

瞳は恵津子の顔の上から、ゆっくりと腰を上げた。恵津子の顔を見下ろすと、白目を剥き、口から泡を吹いている。顔や肩が時折引きつったように動く。痙攣を起こしているようだ。

 「これが…本当のトドメよ…。」

ドスッ!…お約束通り、瞳は恵津子の顔面に、地響きが聞こえそうなほどパワフルなヒッププレスをお見舞いした。

 「(ごぼっ!)」

恵津子は意識のないまま、最後の呻き声を出した。何かが砕けるような異音とともに...。
瞳は、完膚無きまでに敷き潰した恵津子の顔に尻を乗せたまま腕組みをし、小さく呟いた。

 「…美加先輩…近々、あなたのお顔にも、跨って差し上げなくてはならないようね…。」

瞳は腰を上げると、長々と伸びている恵津子を置き去りにして立ち去った。

 …取り残された恵津子…トドメのヒッププレスの凄まじい破壊力を物語るように、その鼻は、見るも無惨にひん曲がっていた。

 

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