第二回、デッドオアアライブ大会。この大会で、あやねはかすみに勝利を収めた。
あやねの攻めに負けたかすみはイカされ、その場に醜態をさらしたのだ。
それから、あやねの人生は一変した。
抜け忍かすみを倒したと言うことで、忍者の里においてあやねの地位は格段に増し、里においての頭領の地位を与えようと言うものまで現れていた。これらのほとんどは覇神門の一派であった。あやねを頭領にして今までの掟を破り、対等な立場で天神門と向き合おうと野心があった。
当然、覇神門のあやねにはその資格はない。元々覇神門は天神門の裏で生きていく忍びなのだ。
だが、疾風が行方不明で、次期頭領と目されていたかすみは抜け忍となってしまった。その現在里で一番の使い手となっているあやねには忍びとしての腕は申し分なかった。しかもかすみにも勝っているのだ。
裏のそのまた裏の世界でしか仕事を見せられない覇神門一派はそのように主張して、あやねの次期頭領を天神門側に迫った。しかし、天神門はあやねの血筋を問題にして、抵抗した。
かすみあやねの母は立派な里の頭首の妻であった。しかし、ある日その頭首の弟であるライドウの過ちによってあやねが生まれてしまったのだ。そうして、不肖の子としてあやねは覇神門として生きていく事になったのだ。
両派の主張はいつまで立っても平行線をたどっていた。
あやねはそんな天神門、覇神門の争いを冷たい目で見ていた。
何を今更……
あやねに取っては頭領の座などどうでもよかった。
霞を殺す任務は最後の最後につまずいて終わってしまったが、久しぶりに里に帰ってみれば、自分をネタにして表に出ようとする覇神門。自分の血筋を問題にする天神門。
そんなことに利用されるためにかすみを倒したのではなかった。
里でむなしい日が続いていたとき、一つの事件が起こった。
疾風が記憶を取り戻し、里に帰ってきたのだ。
これは全ての問題を解決した。
天神門、覇神門の対立をなくした。
頭領の座が決まった。
そして、あやねが密かに慕っている人が戻ってきたのだ。
これほど嬉しいことはなかった。
だが、同時にあやねはこれがもう一つの自分の戦いを生むことを本能的に知った。
疾風が帰ってきたとなると、その人に会いたいが為に抜け忍になった女との対決を。
あやねがよく知り、憎み、そして血が最も近い存在である。
ある日、あやねは夜半のうちに里を出た。
里からへと続く道は一本しかなかった。
季節は秋であろうか。新緑の森は赤みが染まり、落ち葉となった葉が翌年へと続く木への肥やしとなっていた。
あやねはその道をまっすぐ歩いていた。
日が西の空へと沈もうとしていたとき、その女は現れた。
その女はあやねの姿を見ると、さして驚く様子もなく、立ち止まった。
「かすみ、相変わらず気楽な抜け忍ね……」
かすみはキッとあやねを睨み付けた。
そんなかすみを鼻で笑うと、
「会えば、疾風さまに……」
「会うわ」
静かに答えるかすみ。
その答えにあやねの眉間がわずかに動いた。
気に入らなかった。
あやねにかつての思いが浮かんでくる。
あれはまだかすみが抜け忍となる前であった。
ライドウの襲撃を受けて、傷ついた疾風を見つけたあやねは必死の思いで、疾風を里へと運び、治療を受けさせた。
「うむ、ご苦労だったなあやね……」
里でも副頭領の座にあった男が言う。
目の前に寝かされていた疾風はまったく動く様子もなく、息をしているのかすらわからない酷い状態だった。
「あ、あの……疾風様は……」
あやねが心配そうに訪ねた。
「わからぬ。下がっていいぞ」
男が首を振った後に言い放った言葉にあやねは愕然とした。
「え? どういうことです……あっ……」
もう少しここにいたい。その言葉を飲み込んだ。
そうなのだ、自分は覇神門の人間。こうして目の前に傷ついている人を見ていることすら許されないのだ。
喪失感にさいなまれながら、あやねが軒先へと出ようとしたとき、
「兄さん!!」
知らせを受けたかすみが半狂乱になりながら入ってきた。
「兄さん、兄さん!!」
かすみは兄の側で何度も叫ぶと、そのまま泣き崩れてしまった。
そんなかすみの姿を見ていたあやねは、
(そう、私はかすみと同じ妹なのにああして心配することすら許されていない……)
自分もかすみと同じように、その場で泣き崩れ、疾風の側にいたかった。だが、それすら、今の自分には許されていない。あやねはこの時ほど自分を呪ったことはなく、それができるかすみを激しく恨んだことはなかったのだった。
「気に入らないわ……あなたは抜け忍、この道は絶対に譲れない」
そうして、あやねはかすみ自らの服を脱ぎ始めた。
下手な闘いを仕掛けるよりも前と同じ闘いで倒した方が、かすみに与えるダメージが大きいと判断したからだ。
「二度も、同じ相手には負けるわけにはいかない」
かすみも同じように裸となった。
目の前にいる妹に挑発をされたのだ。それを真正面から受けなくては、忍びとしての彼女のプライドが許さなかった。
「いい度胸ね。さあ、おいで……」
あやねが手招きをすると、かすみはそれに応じるようにあやねに近づき、二人は己の唇をあわせた。
かつての懐かしい味を思い出す二人。
それを振り払うかの如く、お互いの舌をなめ回し続ける。
「ンンン……」
「ハァァ……」
熱いため息がこぼれ始めてくる。
やがて、お互いの手が胸をもみ始める。
二人とも十代とは思えないほどの大きな胸を揉みしだいていく。
もみながら、時には潰したり、時にはあげたり下げたりと様々に動かしていく。
「ほら、あやね、こっちに来なさい……」
胸を揉む手を離し、かすみはあやねの背に手を回すと自分の方へとあやねを寄せた。
そして、手を下ろしあやねの尻をさすり始めた。
手のひらでなで回すと言った方が正解か。
「んっ、もう……抜け忍が……」
すると、あやねはしゃがみ込むと、かすみの両足をつかんで持ち上げた。
「えっ……キャ!」
仰向けに転ばされるかすみ。
そのかすみの足を大きく広げると、その根本に顔を埋めていった。
あわてて、足に力を入れて、あやねの頭を挟み込もうとするが遅かった。
「嫌らしい抜け忍だ事……。もう、こんなに濡らしちゃって……」
あやねが舌を出して、かすみの股間をなめ始め、かすみの力を抜いていく
「あうっ……ハァ……ンン……」
あやねの舌が動くたびにかすみのあえぎ声が大きくなっていく。
「ほらほら、どうしたのかすみ。もう終わりなの……」
余裕のある口調で、あやねが言う。
「ま、まだよ!」
かすみは自分の脇の下あたりの地面に手をおくとそこを思い切り叩いた。
勢いで起きあがると、その勢いを殺さずに体を180度回転させて、うつぶせのあやねとは逆向きにのっかかった。
ちょうど、あやねの尻の辺りにかすみの顔が来ている。
「かすみ、何を……」
かすみは、片腕をあやねの腰に回し、そこをわずかに持ち上げると、手をあやねの股間に置き、さすり始めた。
「ンンンンハハハァァァ……」
あやねがあえぐ。
「どう、あやね。気持ちいいでしょ……」
かすみはあやねの腰を持ちあげているため軽い逆エビの状態で、指があやねの弱いところを確実に振れていく。
だが、あやねはここで、人間とは思えない柔軟性を示した。
自らの体をエビのようにさらに反らせると、足首でかすみの頭を挟み込み、リバースのヘッドシザースの要領でかすみを投げ飛ばす。
「あうっ!」
投げ出されたかすみは少し放れたところに倒れてしまう。
素早く体を起こそうとするが、それよりも早くあやねが側によってかすみを押し倒す。
そんなかすみの横で自らの体を寝かせると、今度はあやねが上からかすみの腰を抱え込むようにつかむと、その股間をさすり始めた。
あやねの指がローターのように動き回り、かすみの股間で爆発する。
すぐさま反応したかすみの股間からは愛液が溢れ出てくる。
「あああんんんぁぁぁぁぁ……」
「ホラホラ、どうしたのかすみ。もう終わりかしら……」
あやねが軽い笑みを浮かべて言う。
反撃しようにもあやねの体を自分の足の方へと投げ出しているため、かすみの手は届かず、腰を押さえられているため動きがとれない。
その間にもあやねの指がかすみの肉片こねくり回す。
「もう、終わりみたいね……イっちゃいなさいよ」
あやねがとどめを指すため、腰をつかんでいる手にさらに力を入れようと持ち直そうとしたとき、かすみがわずかに緩んだ腕の中から抜け出すことに成功した。
「チィ!」
あわててうつぶせになりながらも手を伸ばして、かすみの足をつかもうとするあやねであったが、惜しくも手が届く前に足まで全て抜け出されてしまう。
かすみはそんなあやねの上に自らの体を載せると、足をあやねの腰に絡めて締め付けて、そのまま体を反転して仰向けにすると、あやねの胸を揉み始めた。
「くぅぅ……かすみめ……」
あやねが毒づく。
「まだよ、これからよあやね……」
あやねの耳元でささやくと、指が胸から臍へと降りていく。
かすみの指が下に行くほど、あやねの身の毛がよだってくる。
そして、かすみの指があやねの股間をいじり始めた。
「アアン……ハァ……フゥ……」
口から声が漏れてくる。
「どうなの、あやね。このまま終わらせてあげようか……」
指があやねの股間を弄くっていく。
かすみがあやねの胸と股間をさするスピードを一気に上げた
「ンッ……アア……ハァァァ……」
かすみの指が早くなるたびにあやねの声がどんどん高く上がっていく。
ある程度あやねがかすみの責めを受けたところで、かすみはあやねに回していた足を離した。
その瞬間、かすみから離れるあやね
「かすみ……どういうつもり」
「あやね。この前の借りを返してあげるわ……」
「……そうか、そう言う事ね。本気で私とやり合いたいようね……」
「私は負けない。あの人に会うまでは……」
その言葉に、あやねの眉がわずかに上がった。
「あの人……。気にいらないわ。あなたの存在自体が……」
「それは、私の知らないこと……あなたの逆恨みよあやね」
「違うわ。かすみ、あなたはそれに気づかない振りをしているだけ! 昔からヒロイン気取りだったのよ!」
「そんなつもりじゃない。私はただ兄さんを捜したかっただけなの!」
「それがヒロイン気取りだったのよ。いつも自分は悲劇のヒロインを演じて……」
それに対しかすみが何かを言おうとしたとき、あやねが先に口を開いた
「まあ、いいわ。私はあなたの妹。けど、今更姉妹だとは思ってもいない。ただの敵。いや、殺したい相手よ。それをうち払うのがあなたのやることでしょ」
「けど、前の時あなたは私を殺さなかった……」
かすみの言葉に、一瞬言葉に詰まったあやねだが、
「あの時は……気が変わっただけよ……」
「そう、ならそれでいいわ……」
あっさりというかすみ。
かすみにとって、もはやあやねと言う存在は自分を辱めたまさに敵であった。その相手に対しては百回勝ったとしても一度の負けと言う屈辱がつきまとう。いわば自分の歴史に傷をつけた存在であった。そんな相手にどんな事情があろうと戦って勝つしかなかった。
「さあ、お互いに決着をつけましょ」
かすみはその場に座り込むと、大きく股を開いた。
続けてあやねも大きく股を開いてかすみに近づくと、自らの右足をかすみの左足に乗せた。かすみも自らの右足をあやねの左足の上に乗せる。
「あやねいくわよ……」
「勝負よ、かすみ……」
そして、お互いに最も敏感な部分をあわせた。
初めはゆっくりだったスピードが徐々に上がっていく。
「ンッ! フゥ……」
「ハァ……」
互いに逃げられないようにするためか、快感に耐えられないのか、お互いの足首に抱きつく。
「ハゥ! ハゥ! ハゥ!」
かすみあやね共に大きなあえぎ声をあげながら、腰が宙に跳ね上がる。
それでも二人とも相手を押し込むかの如く、股間を相手の股間へとぶつけていく。
普段から鍛えている体であ屡とはいえ、お互いに性術を学んだ人間である。こうした行為の中でも互いの弱いところを的確にぶつけ合うため、自分の弱いところ同士の重なりでダメージを蓄積させていく。
「フゥ……ハァ……くふぅん! か、かすみ……」
徐々にだが、二人の間に差ができていた。わずかではあるが、あやねの腰を振るスピードが落ちてきたのだ。
あえぐあやねであったが、以外とかすみが粘るのに驚いていた。
この行為は互いのダメージを与えていく。あやねの当初の考えでは、ほとんど互角。引き分けの可能性もあると思っていた。だが、現状を見れば自分が負けてしまいそうだ。
確かに前回の闘いでは最後の体位にはいるときに差があったが、あやね自身それがなくとも勝っていると思っていた。そのため、ほとんど互角な状況でのこの体位。こんな差が出てくるとは考えても見なかった。
「ば、バカな……。か……す……み……」
それでも歯を食いしばり、快感に耐えていく
「ン! あやね……・」
かすみもわき上がる快感に耐えているのだが、どこか違った。
「ま、負けられない……あな……たを、疾……風様に……あわせるわけには……」
「わ、私は……兄さんに……あわないと……」
そう、これが二人の差であった。
人間というのは、欲望の固まりの動物である。人は己の欲望、目的の為に動くのである。それが、時によっては必要以上の力を与えているのである。
それが今回、片方は愛しい人と暮らしていく事ができるという安心感からその力の源となるべき物を衰退化させ、もう片方は会いたくても会えない状況がその源をさらに増幅させていったのである。
この差が今の状態の差になって出てきたのだ。
「ハァ……アン! ダメ! か……すみ……なんかに! あっ! アアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
激しく体を振るわせたあやね。かすみとの密着部分を大いに濡らしながら、イッてしまい気を失った。
「ハア、ハア、ハア、ハア……」
あやねから放れ立ち上がるかすみ。
今までの二人の接合部分は、愛液の糸を引いていた。
運命と同様にそれを断ち切るかすみ。
そして、自らの服を着ると、無惨に倒れているあやねの側へと行き、
「ごめんなさい。それでも会いたいの……」
それだけ言うと、側にあったあやねの服を裸のあやねの上にかけ、その場を立ち去ったのだった。
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