ここは、とある山中。夏の頃ならば、登山者が多く来る所であったが、冬の今。雪が深く、吹雪く日もあり、普通ならば誰も来る所ではなかった。
しかし、今、二人の少女が相対していた。
一人は赤っぽい髪にポニーテール。黄色のリボンで止め、武術家であろう。青い胴着を来ていた。
もう一人は、紫の髪に黒いバンダナ。肩がはだける服を着て、背中にはかわいらしいリボンをつけていた。
果たして寒くないのだろうかと思わせるが、二人から出ている気からそんな突っ込みをいれる余地はなかった。
「フフフ……かすみ。このあやねがあなたの命をもらい受けるわ」
あやねと名乗った紫の髪の少女がうすら笑みすら浮かべて言う。
「そうはいかない。私は立ち止まれない……」
一方かすみの方は神妙な面もちで言う。
二人には因縁があった。
二人は違う父親を持った異父姉妹であった。かすみが姉。あやねが妹であった。
だが、二人の生きた道は正反対であった。
忍者の里で生まれた二人は、そこで育てられたのだが、あやねは不肖の子としてまるでその存在を隠されるかのようにして育てられた。
逆にかすみの方は、忍者の頭領となるべく、大切に育てられていた。
それは二人が習得している術にも現れていた。
かすみが習ったのは無限天神流忍術天神門。これは一般的に二人が生まれた里で習う術であった。
あやねの方は同じ無限天神流忍術の覇神門を習った。これは裏の忍術で、掟として天神門に対しては服従を余儀なくされていた。
同じ姉妹にもかかわらず、この環境の違いに、幼い頃からあやねはかすみに対し、憎しみを持つようになっていた。
それは、普段の訓練からも出ており、あやねがかすみと実戦訓練をするときは、あやねは殺気をもって行っていた。それはかすみもわかっており、自然と二人の訓練は熾烈を極めることになり、お互いが傷つくこともしばしばあった。だが、それが二人の実力を上げ、里でも一、二を争うほどの物になったのだった。
そんなあやねに転機が訪れた。
突如かすみが忍者の里から出て、抜け忍となったのだ。
ひとたび抜け忍となれば、社会的制裁を受けるだけでなく、内部構成を知りうる人間として自分がいた忍者の里から危険視され、追っ手が命を狙いに来るのだ。
そして、忍者の里から追っ手として任命されたのが、あやねであった。
その任を任されたとき、あやねは笑みをこぼし、自らかすみが抵抗した場合は殺してもよいという里の命令を引き出したのだった。
そして二人はこうして再会をしたのであった。
「そう、私には関係ないわ。あなたを殺すだけ……」
小さく呟くと、かすみに向かい構えを取った
同じようにかすみも構えを取る。
里で、一、二を争う美貌の持ち主の二人の闘いが、今始まった。
二人は徐々に、間合いを詰めていく。
先に動いたのはかすみの方だった。
いきなりあやねに向かいパンチを繰り出した。
あやねはそれを腕でガードしながら、すかさず腕を取り、反転して背をかすみにつけると、背負い投げをうつ。
だがかすみも自らがあやねが投げる方へと飛び、駆虫で回転してピシャッと着地し、素早くかすみに向かい回し蹴りを放つ。
同時にあやねもハイキックをかすみに放つ。
二人の足がほぼ中央で重なりぶつかり合った。
「ンンンン……」
「ぬぅぅぅぅ……」
お互いに片足立ちで相手の足を押し合った。
二人とも足を大きくあげているため、下着が大きく見えてしまっている。
足場は、昨日から降り積もっている雪のため、非常に悪い。
力と力の勝負はほぼ互角であった。お互い意地で相手を押し込もうとする。
さらに力を入れようと、あやねがわずかに軸足を動かしたときだった。
ガラッ
突然あやねの足場となっていた雪が、ほんの少しだけ崩れた。わずかにバランスが崩れるあやね。
そんな隙を、見逃さずに一気にかすみがあやねの足を押し切った。
さらにその押し切った足であやねの足を踏むと、その足を軸に回転して回し蹴りを放った。
「チィッ!」
後ろに飛んでかわそうとするあやねであったが、足を踏まれているためかわしきれずに胸の先をかすみの蹴りがかすめる
「ンッ!」
わずかに声を上げるあやね。
それを振り切るかのように、かすみに向かいパンチの連打を放つ。
手で塞ぎながらガードするかすみであったが、いくつかのパンチがかすみをかすめる。
かすった箇所が熱くなるのがかすみにわかり、その切れ味から胴着の所々が切り裂かれてしまう。
そのうち、かすみはあやねの腕を取るのに成功すると、腕を極めて後ろにまわった。
「クソッ!」
すかさずあやねは余っていた腕で、エルボーを放つが、それもかすみに取られてしまう。
「は、離せ……」
あやねは放れようと抵抗するが、片腕の関節が極められているため、離せない。
「こ、このっ!」
すると、あやねは極められていない方の手をかすみの股間へと持っていき、二回ほどこすった。
「ンンン……」
かすみはあらげもない声を上げて、全身に電気が走ったかのように背筋がピクンとなり、
力が抜けてしまう。
その隙にあやねはかすみの腕を振りほどき、抜け出すことに成功する。
「あらあら、抜け忍のくせに嫌らしい声を上げちゃって……」
クスクスと笑い出すあやね。
「そうね。ちょっと、油断したかも……でも、あやねこそ私の蹴りが胸に当たったとき、少し感じてたはずでしょ」
負けじと言い返すかすみ。
「うるさいわね!」
あの時、わずかに感じていたあやねの顔が赤くなった。
元々、忍者たるとも、敵に捕まっても逃げ出すことを諦めてはならなかった。持っている情報を味方へと伝えるためである。そのため、どんな状況でも逃げ出す訓練を受けていた。また、女である以上辱めを受けることもあった。だが、それこそチャンスと変え、そこから脱出する術も心得ていた。たとえそれが一般的にいやらしいことでも行われていた。
二人はその術さえもお互いの体を使って学びあっていた。
怒りにまかせ、あやねがかすみに蹴りを放った。だが、冷静にかすみはその足を取ると、すばやくあやねの股間に手を伸ばし、下着の上からこすった。
「クッ!」
あわてて後ろに退くあやね。
かすみはそんなあやねに向かい大きく飛び上がると、蹴りを放った。
あやねはその蹴りを脇の下に抱え込むようにしてつかむと、大きく投げ飛ばした。
かすみは宙で一回転してうまく着地する。
そんなかすみの着地地点を素早く読んだあやねはかすみが着地すると、かすみの胴着をつかんだ。
投げられてはと思い、かすみは素早く重心を低くする。
だが、あやねは胴着の胸倉を掴むと、一気に服を下へと下げた。かすみの胸が露になる。
さらに、腰紐を掴んで引きちぎると、ストンとかすみの胴着が下に落ちてしまった。
だが、かすみのほうも重心を低くしていたため、すばやくあやねの足を払った。
倒れこむあやね。
かすみはその上に乗ると、あやねの服を引きちぎった。
かすみと同様に、パンティーを残して裸になるあやね。
「チィ……どきなさいよ!」
あやねの手刀がかすみに飛ぶが、かすみは素早くあやねから放れる。
あやねも立ち上がり、吹雪の中肌をさらした二人が再び対峙した。
それでも、今までの激闘から体からは蒸気が立っていた。
「まだまだ腕は落ちてないみたいね……」
かすみが言う。
「そうみたいね。よかったわ。これで、心おきなく殺すことができるわ。弱いかすみを倒しても意味がないから……」
「私にはまだやることがある……こんなところで負けるわけにはいかないの」
「抜け忍が……よく言うわ。あなたはここで死ぬのよ……それとも私にイカされたい?」
「どうかしら……里ではよくやり合ったわ……」
「十歳の頃だったかしら……初めてやったのは……最初はお互いにわけもわからずにやって引き分けだったね」
思わず、二人は昔を思い出した。
今から七年前。
かすみは母に連れられ、ある一室に連れられた。
ふすまの外で母の動きが止まった
「入りなさい……」
母に促され、かすみは部屋に入った。
そこには何もない、畳が退いてある六畳程度の大きさだった。
先に部屋にいたあやねは、かすみの姿を見ると殺気のこもった視線を送った。
当時あやねは十歳ながらも、恐ろしいまでの殺気を持っていた。
かすみもその視線を正面から受け止め、あやねを見つめる。
そのうち母がどこかへいく足音がした。
「はじめましょう……」
静かにかすみが言うと、二人はおもむろに服を脱ぎ、全裸になった。
お互いの裸を見て、わずかながら顔を赤くする二人。
今から二人はお互いに愛し合い、イカせあわなくてはならなかった。
先に述べた理由で、何よりも実戦が大切と言うことで、やらされるのだ。
簡単な技術だけ頭に入れ込んだ二人は、ゆっくりと近づいていった。
幼いとはいえ、こういった行為はやはりいやな物だというのはよくわかった。特に憎しみあう相手に抱かれるというのはもっとイヤであった。しかし、訓練命令を受けた以上やるしかなかった。
二人はまず相手の胸に手を置いた。
この戦い、暴力は禁止されている。力で勝っては意味がないからだ。
「ン…」
「はぁ…」
初めて触られる箇所に、身の毛がよだつ思いをしながらも、熱い吐息が出てきた。
妥協は許されない。そして、したくない。
二人はぎこちない手でお互いの胸をもみ合った。
今でこそ胸が大きい二人であったが、この当時はまだ発育途上。手の中に胸はすっぽりと収まる。
やがて、二人は立っていられずに膝立ちになった。
そして、股間の方へと恐る恐る手を持っていく。
始めは相手の股間に手を置いただけだった。
嫌いな相手がやっていると思うだけで、ゾッとする。
「ハアン……や、やめなさいよ……」
さすがにこれ以上は耐えられないと、かすみが言う。
「アン! あなたがやめればいいんでしょ!」
たまらずに、横倒しになる。
そしてゆっくりと指を挿入した。
異物が入り込み恥辱に顔がゆがむ二人。
「ハアン……な、なに……あやね、お漏らししたみたい……」
「やぁぁぁ……かすみこそ……汚いよ……」
二人の股間からは愛液があふれ出し、相手の指をぬらしていった。
やがて、体を指を抜き、お互いに抱き合った。
胸と胸が重なり、股間と股間がこすれあう。
そして、幼い二人が頂点に達するのには時間はかかからなかった。
「アン。フゥ……アアアアアアアアア!!!!」
「ヤッ! な、何これ。アン。こ、こんな女に!!!!」
体を激しく奮わせ二人はイッてしまい、心地よい快感を感じながら、気を失った。
「さあ、昔は忘れて、続きを始めましょうか……」
再び、あやねが構えた。
それと同時にかすみもファイティングポーズを取った。
先にあやねが大きく飛び上がった。かすみも飛びあやねを迎え撃つ。
二人は空中で激突をした。
あやねはかすみ胸にパンチを放つ。
一方かすみはあやねの胸を手で揉む。
空中でかすみの胸が揺れ、かすみの手に余ったあやねの胸が手からはみ出る。
そして二人はぶつかり合いながら地面に着地する。
着地すると、あやねはかすみにけりを放つ。
あやねは片腕でそれをカードする。
その間に、かすみはあやねの胸に口を近づけ、舌であやねの胸をなめた。
「ふっぅうぅ……」
思わず声を上げるあやね。
そして、かすみの舌があやねの乳首を舌先で転がした
「はあ……いい加減にしな!」
あやねはかすみの頭をつかむと、自分の胸の中に顔を埋めさせた。
「ンンン……」
あやねのふくよかな双乳に挟まれ動きがとれなくなるかすみ。
さらにかすみの顔めがけて、膝を入れる。
「グフっ!」
あやねから離れ、ふらつくかすみめがけてさらに蹴りが放たれる。
まともに食らいダウンするかすみ。
そのかすみの腹めがけて、あやねは両足で踏みつけた。
「あぅっ」
腹の中の物を戻してしまいそうな感覚がする。
もう一度と、かすみの腹に乗ったまま飛び上がる。
「このっ!」
かすみはわずかに体をずらし、そこの攻撃をかわすと、上半身を起こし、両手を合わせると、あやねの股間を打ち付けた。
「キャアア!」
悲鳴を上げてうずくまるあやね。
「てやっ!」
かすみは立ち上がると、あやねに踵落としを放つ。
「グワッ!」
脳天に攻撃をまともに受けたあやねは軽い脳しんとうを起こしてしまった。
かすみはあやねを仰向けにすると、横からあやねの顔に自分の顔を近づけた。
「あやね……」
かすみは、自分の唇をあやねのそれにつけた。
そして、片手であやねの大きな胸を揉み始めた。
揉んでいくと、すぐにかすみの乳首が立ってきた。
「ン……ンッ!」
意識が回復してきたあやねは、自分の目の前にかすみの顔があるのに驚いた。そして自分の唇に押しつけられたかすみの唇の感触を感じた。
だが、あやねはあわてることなく、自分からかすみの唇に自分の唇を押しつけ返した。
姉妹で久しぶりの相手の舌をなめあう。
そして、お互いに舌を相手の口の中に入れ、その中でなめあった。
「ンンンン…・」
「はぁあああ……」
お互いに息を相手の口の中へと吐きあう。
あやねは、かすみの上になろうと、かすみの体に自分の体を巻き付かせながら、上になる。
「んんんッ! あやね……」
かすみは抵抗もできぬままにあやねに上に乗られてしまう。
あやねは自分の胸をかすみの胸に押しつけた。
「ふぅぅぅ……どう、かすみ。気持ちいいでしょ」
あやねの胸はかすみの胸よりわずかに大きい。そのため、あやねの胸がかすみの胸を包み込むような格好になっている。
そして、あやねは自分の体を動かし、胸の感触をかすみに伝える。
さらにあやねはかすみの背に手を回して逃げられないようにとするが、
「んんんんん……コ、この!」
下にいたかすみはそれよりも早く、背に手を回すとあやねの後頭部に掌底を打ち込んだ。
あやねとの距離が余りに接近していたため、威力はほとんどないが、それでもあやねの動きが止まるのには十分であった。
かすみはその隙にあやねから抜け出すと、うつぶせのあやねの背中に乗ろうとする。
あやねもそこから逃げだそうと、四つん這いで動くがかすみに足を捕まれてしまう。
「こんなの取りなさいよ……」
あやねのパンティーをはぐと、かすみはあやねの背にのっかかる。
そして、体をあやねに密着させると、片手をあやねの脇の下あたり、もう一方をあやねの腰の近くに突っ込んだ。
下は雪が積もっているため、そこから潜りながら、あやねの胸と股間をさすり始めた。
「ファァァァァァァ……」
かすみの手の愛撫と、雪の冷たさがあやねの性感体を襲う。
「ン……ハァァァァァ……」
あやねもなんとか逃れようと、身をよじるが、かすみの手からは逃げられない。
やがて、かすみの手が股間の内部へと進入してきた。
「ンッ! ハァ…ハァ…ハァ…」
あやねのあえぎ声が一層大きくなった。
「どう、あやね……いいのよ。このままイッても……」
あやねの耳元でささやいた。
あやねもなんとか反撃しようとするが、かすみはあやねの背中に体を密着させているため、胸はおろか股間の方にも手が届かない。
姉のかすみの攻めが、妹のあやねを確実に追い込んでいく。
「ウウウ……アアアア……」
あやねはかすみごと四つん這いに立つと、逃げようと赤ちゃんがハイハイ歩くように、進んでいった。
口からはよだれを垂れ流し、下の口からも愛液がかすみの指をぬらして、今し方あやねがいたところの雪には濡れた後があった。
「どうしたの。あやね……もう終わり……?」
かすみが挑発するように言った。
だが、それがあやねの勘に触った。
「抜け忍のくせに生意気ッ!」
あやねは後ろに向かい頭を上げた。
それがかすみの顔に命中して、かすみはあやねから放れてしまう。
あやねは仰向けに倒れたかすみの太股辺りに腰を下ろすと、足を押さえ、かすみの股間に指を挿入した。
「ンア……アアアアア!!」
あやねがかすみの股間に入れた指を出し入れして、愛撫をする。
「かすみ……どうかしら……?」
あやねも今までのダメージから指のスピードは遅い。
そのため、かすみが何度か体を起こそうとするのだが、そのたびにあやねが押して、倒してしまう。
今度はかすみがあえぐ番であった。
「ンンン……ハァァァ……」
「フフフ……かすみ……ここがすごく濡れてるわよ……」
あやねはわざと、指を抜いてかすみに見せつける。
「ンッ!」
かすみは奥歯を噛んで、必死にあえぎ声を殺す。
「あらあら、もう離すこともできないの?」
その時、あやねは気づいていなかった。かすみの足がわずかに動いていたのを。
「さてと、そろそろイッてもらおうかな。お姉ちゃん」
余裕たっぷりであやねが再び、指を挿入しようとしたとき、
バサッ!
あやねが抑えつけていたかすみの足を抜け出すことに成功した。そして、その足をあやねの足の上に置き、素早くあやねに体を寄せていった。
「ン……かすみ……ならこっちも……」
かすみの意図を察したあやねも自らかすみに近づいた。
そして、二人はお互いの股間を一つにした。
現状では、かすみの方が不利になっていた。攻めは互角であったが、あやねの攻めのすぐ後だけに回復していないのだ。
二人は己の腰を激しく打ち付けあった。
実力者の二人である。無駄な動きはなく、相手を追いつめ昇天させることのみを考えている。
「ンンン……アアァァ……」
「ダ、ダメ……ァァァ……」
余りに物快感に身をよじらせる二人。
それはニュルニュル動く、一本の蛇のようである。
「あ、あやね……早くイキなさい!」
「か、かすみ……このッ! 負けろ……」
お互いに限界を通り越してしまいそうな状況を必死に耐えている。
二人の接合部からは泡が立っていた。
二人は体を起こし、お互いの胸もあわせ、口も再びあわせた。
もはや、勝負以外のもう一つの感情もわずかに浮かんでいた。
それが何なのか、二人が知るのはこれからずっと後のことであった。
ラストスパートを掛け合う二人。そして、勝負の時は訪れた。
「ン…アアア……ク、クソ……ああ、ダメ……アアアアアアアアアアアア!!!!!」
体を激しく振るわせ、必死に自分を押さえていたかすみであったが、ついに限界が訪れイッてしまい、気を失った。
「ふう……」
あやねは一つ息を吐いて、かすみから放れると、近くに落ちている刀を抜きはなった。
刀から怪しい光が反射する。
「これで、あなたの首を持って帰れば私の使命は終わる……」
そして、かすみに向かおうとしたとき、
「ンンン……」
なぜか、あやねの動きが止まった。足が動かないのだ。
一瞬かすみの術かとも思ったあやねであったが、天神門は妖術は使わない。
ならばなぜ動かないのか。ここで、かすみを殺せば、悲願は達成できるはず。必死に動こうとするのだが、まるで、足が自分の物ではなくなったかのように、かすみに近づくことができなかった。
「抜け忍が……」
あやねはそれだけを言い放つと、一人その場を後にしたのだった。
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