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堕落

 

 

第二話 幕開け

 

 

桜井弓子が林雪江と闘っていた頃、村松友恵、青田藍、池上奈美の三人も闘いを繰り広げていた。
それは寮への近道としてグラウンドを通っていた時だった。
突如現れた三人、柔道部三年、樋口のぞみ、その双子の妹かなえ、サッカー部二年、伊藤宏美によって友恵達は分断され、友恵はのぞみと、藍はかなえと、そして奈美は宏美とわけのわからぬまま闘いへ突入していった。
                    
「くっ・・・この・・・!」

宏美はサッカー部でありながら相当ケンカ慣れしているらしく、奈美は苦戦を強いられていた。
友恵と藍の二人は格闘技の素質はあるが所詮は素人、のぞみとかなえの攻撃をほぼ一方的に受けていた。

「かはぁっ・・・!」

かなえの強烈な投げをくらい息がつまる藍。

「ああああああ・・・」

腕を極められる友恵。

「藍!友恵!」

「どこ向いてんのよ!」

二人に気をとられた奈美の顔面に宏美のパンチが決まる。

「ったく!なめんじゃないわよ!!」

膝をついている奈美の顔面をボールに見立て宏美はキックを放つ。

「ぶっ・・・」

大量の鼻血を吹き出しながら奈美は倒れる。

「うううう・・・」

鼻をおさえてうずくまる奈美の後頭部にカカト落としが決まる。

「ひゃぐっ・・・!!」

この一撃で奈美の意識はほぼ飛ばされてしまった。
足元に倒れている藍の髪を掴み起こして奈美の方を向かせるかなえ。

「お友達は楽しそうだねぇ?」

「あああ・・・奈美・・・」

奈美は宏美によって全裸にされ股間をスパイクを履いた足で踏まれていた。

「あうううう・・・」

薄れゆく意識の中で奈美は感じていた。
友恵はのぞみの攻撃に必死に耐えているがすでに限界だった。
スキを見て攻撃したが全てかわされるか、関節技で返された。
その結果、全身の間接は悲鳴をあげ、大量の汗と共に涙を流していた。
のぞみはそんなことお構いなしに友恵の首を右手で締め、左手で友恵のズボンの中に手を入れ股間を揉み始めた。

「はうっ・・・ううう・・・あっ・・・」

苦しみと快感が混ざり合う中で友恵は意識を失った。

「ひゃうう・・・くぅ・・・はぁっ・・・」

宏美はスパイクを脱ぎ、裸足で奈美の股間をいじくっていた。
奈美にはもう抵抗できる程の意識はなく、ただ宏美の成すがままになっていた。

「そろそろフィニッシュよ!」

宏美の足の動きが激しくなる。

「あっあっあっあっあっ・・・」

奈美の股間から液体が流れ出てきたのを確認すると宏美は奈美から離れた。
友恵に続き奈美も気を失った。
藍は服をはぎ取られその肢体をかなえに晒していた。

「この拳は入るかな?」

かなえはそう言うと藍の股間に拳を入れようとする。

「いやっ!やめて!私の負けよ!だからお願い!やめ・・・ぎゃああああああ!!」

藍の股間に無理矢理拳を突っ込むかなえ。
藍の股間を中心に激痛が走り、歯がガチガチと音をたてる。

「入ったぁー!」

無邪気に笑うかなえの拳は口から泡を吹き失神している藍の股間にすっぽりと入っていた。
                          
「ご苦労様・・・」

屋内プールから出てきた滝川京子がのぞみに近づき一枚の小切手を渡す。

「こんな簡単な仕事ならまた受けるわよ」

小切手に書かれた数字を確認してのぞみが言う。

「もっともリングに上がる気はないけどね」

「そう、黒木と花村にはとてもじゃないけど勝てないからね」

かなえと宏美が続けて言う。

「なんだ知ってたの・・・」

「まあね、こっちも裏じゃこういったことばかりしているからね、そういうことはすぐ耳に入ってくるのよ・・・あとは桜井弓子をどうやってリングにあげるか、それはあなたの仕事でしょ?」

「それはこの三人を使ってやるのよ・・・」

滝川の視線の先には藍達三人が倒れていた。
                          
時刻は午前3時。

「うう・・・くっ・・・」

滝川に返り討ちにされた弓子はプールサイドで目を覚ました。
憎しみの感情に支配された弓子は雪江との闘いでのダメージを残したまま滝川に向かっていった。
弓子の攻撃は平常時と比べると格段に威力が落ちていた。
いくら現役のレスリング部コーチといえど第一線を退いた弓子には連戦はきつかった。
滝川は弓子のパンチを左手で受け止めるとお返しに弓子の腹にボディーブローを見舞う。

「うごっ・・・」

弓子はたまらず膝をつく。
滝川は弓子の喉に手をかけ立たせるとノド輪落としで床に叩きつける。

「・・・・・・!!」

後頭部を強く打ち弓子の意識は遠くなっていく。
倒れた弓子のコスチュームに手をかけようとした滝川だが何かを思い付いたらしく手を止める。

「今連れていってもいいんだけど、ちょっとゲームをして勝ったら見逃してあげる・・・」

そう言い弓子の唇にキスをして去っていく。
弓子は眠りにつくように意識を失った。
それから今まで気を失っていた。

「気がついた?」

弓子が振り向くと雪江がいた。

「滝川から伝言よ・・・、池上奈美、青田藍、村松友恵の三人を預かった。返してほしいなら、一ヶ月後、私と闘い勝つこと、場所はこちらから一ヶ月後連絡する・・・以上よ」

「なんですって・・・あの娘達はどこなの言いなさい!」

ものすごい剣幕で雪江に掴みかかる弓子。

「しっ・・・知らないわよ!私はあんたを襲うように言われただけなのよ!!」

「くそっ・・・!」

弓子は雪江を突き飛ばす。
                          


それから一週間後、UGPWのリングに井沢アキ子が立っていた。
対戦相手の名は花村薫という新人だった。
黒く長い髪を頭のてっぺんで結んで、切れ長な目、透き通るように白い肌はまさに大和撫子といった感じであった。
薫は九州女子体育大学の剣道部一年、柔道部の道場が老朽化の為改築している間、剣道部と道場を共用していた時、柔道部ののぞみとかなえが剣道部員とケンカになった。
のぞみとかなえを怖がってなかなか止めに入らない先輩達を押し退け薫は竹刀も持たずに素手でのぞみ達二人を倒した。
足元に転がる二人の体を見て薫は言い知れない快感を覚えた。
その後薫は滝川にスカウトされUGPWのリングに上がることになった。
そんな薫の正体を知る由もないアキ子はゴングが鳴るのを待っていた。
そしてゴングは鳴らされた。
                       
控え室で安藤ミドリはリングシューズの紐を結んでいた。
ここに連れてこられて半年が過ぎていた。
来た当初はとまどい、相手に完膚なきまで叩きのめされ、大観衆の前で辱めを受けてきた。
だが試合を重ねるにつれここでの闘いに慣れ、また、相手を辱める快感も覚えて元女子プロレス世界王者の強さを取り戻しつつあった。
逃げたいという思いはとうになくなっていた。
未知の強豪と闘えるというミドリの中に流れるレスラーとしての血がここに残ることを選んだのだ。
それはアキ子も同じだった。
                          
アキ子の試合の後にミドリの試合が行われる。
対戦相手の名は黒木純子。
ここでは対戦相手については名前しか伝えられない。
リングシューズを履き終えたミドリはじっと手にした紙を見つめている。
紙には黒木純子としか書かれていない。
だがミドリはイヤな予感がしていた。
滝川がUGPWの選手強化を謀っていること。
それが自分とアキ子に再び地獄を見せる為だということ。
そこからくる不安感かもしれない。
ミドリとアキ子は今絶好調でここ15戦負けなしだった。
なのにここに来た時の不安な気持ちが蘇ってくる。

「クソッ・・・震えが止まらない・・・」

近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばす。
ミドリにできるのはアキ子の試合が終わるのを待つことだけだった。
リングの方からゴングの音が聞こえてきた。                



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