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After5

 

 

 

「藤本主任、ちょっと」

部長から不意に呼ばれた浩子は、急いで椅子から立ち上がると、部長の工藤の前に立った。

「この前の件だけど、人事と掛け合ったら、君に一人付けてもいいそうだ。」

「ありがとうございます。で、どんな人ですか?」

「君のアシスタントなんだから、君が選びなさい。」

「・・・・・」

「大丈夫、人事のファイルを見られるようにしておいたから。決まったら、僕に言ってく

れれば、後の事はこっちでやるから。」

「わかりました。ありがとうございます。」

深々と頭を下げると、席に戻って、早速、人事のデータベースを検索し始めた。

浩子は26歳。

人一倍出世に対する意欲があり、システム開発室の中で最年少の主任だ。

 

【浅井美紀子】24歳 専門学校卒 城東支店から本社電算室へ 希望 システム開発室

【岡嶋香織】 24歳 短大卒  港南支店から本社電算室へ 希望 情報処理部門

 

「どっちにしようかなぁ」

午後4時過ぎ、二人まで絞り込んだが、どっちにするか決めかねている浩子は一人呟いた。

しばらく悩んでいたが、意を決したように電話をかけた。

 

『はい、電算室高倉です』

受話器の向こうからは、同期の佐智子の声が聞こえてきた。

「シス開の藤本だけど、あなたの所の浅井と岡嶋、どっちができる?」

『またぁ、これ以上うちのできる娘たち、持っていかないでよ!』

「女性は、会社のお飾りじゃないんだから。できる娘はどんどん仕事しなきゃ!」

『そんなこと言ったって。この娘たち、私だって目に掛けているんだから。』

「だったら佐智子が、私のアシスタントやる(笑)?」

『判ったわよ。で、どうすればいいの?』

「5時過ぎに、私の所に寄越して。」

『二人とも?』

「引き抜くのは、一人だけよ!じゃあ、お願いね。」

『まったく、強引なんだから(笑)』

 

(まったく、もうっ!)

心の中で舌打ちしながらも、美紀子と香織を呼んだ。

「浅井さん、岡嶋さん、ちょっと・・」

「なんですか、主任」

先に来た、美紀子が聞いた。

「二人とも、悪いけど5時過ぎたら、シス開の藤本主任の所に行ってくれる?」

嫌々ながら、佐智子は言った。

「何かあるんですか?」

今度は、香織が聞いた。

「おめでとう、引抜きみたいよ。私は嬉しくないけど、あなたたちには良い機会かもしれ

ないわね。」

浮かない顔のままの、佐智子だった。

 

「すみません、藤本主任いらっしゃいますか?」

システム開発室の入口で、美紀子が声を掛けた。

「浅井さんと岡嶋さんね。良く来てくれたわね。こっちにいらっしゃい。」

そう言うと、浩子は二人を会議室へ連れて行った。

 

「えーっと、浅井さんは?」

「はいっ」

美紀子が軽く手を挙げた。

(へぇー、大きいわね。180cmはあるかな? その割には、かなりスマートね。

モデルみたい!)

プロのモデルも顔負けするような、見事なスタイルの美紀子を見ながら、浩子は思った。

「じゃあ、あなたが岡嶋さん?」

「はい」

(この娘、胸が大きいわね。普通に歩いているだけなのに、胸がプルルン、プルルンと

揺れてる!)

男性社員の間で、人気投票bPの香織は、予想以上の巨乳だった。

「今度、私のアシスタントをしてくれる人を探していたんだけど、あなたたち二人とも、

甲乙つけがたくて。それで、来てもらったの。」

 

「女性は、男性社員と同じ事をしていたら駄目なの。男性以上の仕事をしないと、対等に

は見てくれないわ!その為には、相手を蹴落として踏み台にしてでも、自分の信念を貫き

通さなきゃ駄目!あなたたち、それができる?」

しばらくプロジェクトの内容や心構えを話した後に、浩子は二人に質問した。

「はいっ、できます!」

「わたしも、できます!」

浩子の質問に、美紀子も香織も声をそろえて返事をする。

「じゃあ、あなたたちのやる気を私に見せて。」

二人に自己PRでもさせようと思いながら、浩子は言った。

 

 

  ガタン !

「きゃぁっ・・」

突然、美紀子は席を立つと、香織の髪の毛をつかんで椅子から引き摺り下ろし、床に押し

付けて馬乗りになった。

「あんたが諦めれば良いのよ。そうしたら、私がシス開に来れるんだから。」

香織を押さえつけながら、美紀子が言った。

「あっ、馬鹿っ、何するのよ!どきなさいよ!」

突然の事で戸惑いながらも、もがき暴れて、美紀子を振り落とそうとする香織。

すると美紀子は、香織の髪の毛を掴んで、頭を何度も床に打ちつけた。

香織も負けじと、美紀子の髪の毛を掴んで引っ張った。

二人は互いに髪の毛を掴みながら、会議室の床の上をごろごろと転がっていった。

壁にぶつかって止まったとき、香織が美紀子の上になっていた。

さっきやられたように、今度は香織が、美紀子の頭を床に叩きつけ始めた。

「あっ、あっ、あっ・・」

頭が床に打ちつけられるたびに、美紀子の口から小さな悲鳴がもれる。

しばらくすると、香織の髪の毛を掴んでいた美紀子の手が、だらんと垂れた。

香織は起き上がると、美紀子のすらっと伸びた細い脚を持って、机の無いところまで

引きずって行った。

美紀子のスカートは捲れあがり、黒いストッキングに包まれたショーツが丸見えになった。

すると香織は、ハイヒールの爪先を、美紀子の股間に突き刺した。

「きゃぁぁっ・・」

股間への激痛に、意識を取り戻した美紀子は、絶叫した。

「人に喧嘩売っといて、寝てんじゃないよ!」

香織は、何度も何度も、美紀子の股間を攻撃した。

 

「ちょっ、ちょっとあなたたち・・」

美紀子と香織の闘いに、呆然と立ち尽くして、何もできない浩子。

「きゃぁぁっ、い、いやぁぁっ・・や、やめてぇ・・」

顔中を涙で濡らした美紀子が、悲鳴をあげながら懇願する。

「ほら、『私より岡嶋さんのほうが、やる気充分です』って藤本主任に言いな!」

美紀子の脚を離すと、見下ろしながら言った。

泣きながら、股間を必死に押えている美紀子は、なにも言う事が出来ない。

すると香織は、美紀子のお腹にハイヒールを落とした。

「ぐぁっ」

そして、ぐったりと動かなくなった美紀子に背を向けると、

「藤本主任、浅井さんより私のほうが、適性があると思いますがどうでしょう?」

浩子に向かって言い放った。

目の前の出来事に呆然としたままの浩子は、黙って香織を見つめている。

香織は、服装の乱れを整えると、

「引き抜きの試験は終わりですね。じゃあ、お先に失礼します。」

浩子に向かって、頭を下げた。

 

が、浩子の視線は香織の後ろに釘付けになっていた。

浩子の表情を見て、訝しげに振り返った香織の豊満な胸に、美紀子の足が突き刺さった。

「きゃぁっ」

美紀子の蹴りに、香織は胸を押さえてよろけた。

すると今度は、美紀子の足が、香織の顔面を襲った。

「ぐぁっ」

後ろに飛ばされ、机に寄掛るように座り込んでしまう香織。

顔中を涙で濡らしながらも、鬼のような形相で香織を睨み付けている美紀子は、香織の脚

を掴むと、さっきやられたように、広い所まで引きずっていった。

今度は、香織の下着があらわになる。

美紀子は、香織のお腹の方を向いて、両膝で二の腕を押さえながら、顔の上に座った。

そして、

 

  ビリッ !

香織のブラウスを、鳩尾のあたりから首の方に向けて一気に引き裂くと、ブラに収まりき

れない豊満な胸に爪を立てた。

あまりの激痛に、悲鳴を上げながら足でばたばたと床を叩く香織。

両手に渾身の力を込めて、香織の胸を握り潰そうとしている美紀子。

香織の悲鳴は、美紀子のスカートの中で、くぐもったような音にしか聞こえない。

しかし美紀子には、股間の感触で、香織が泣き喚いているのが判っていた。

爪を立てている部分に、うっすらと血が滲んでくると、美紀子は握り拳で、香織の胸を

殴り始めた。

香織が泣き声をあげなくなると、美紀子は立ち上がった。

そして、左足で香織の胸を踏みつけたまま、

「藤本主任、私の方が適性があると思いません?」

浩子に向かって言った。

 

「ね、ねえちょっとあなた達、いったい・・・」

しばらく呆然と立ち尽くしていた浩子が、やっとここまで言ったとき、香織が美紀子の

足を掴んだ。

「うっ、うっ・・・ いつまで、うっ、うっ・・・ 人の胸に・・・」

鳴咽まじりの声で、香織は言うなり、美紀子の足を右に捻った。

バランスを崩した美紀子がひっくり返ると、香織は美紀子の脚を掴んだまま立ち上がった。

そして、ハイヒールの踵を、美紀子の股間に突き刺した。

「ぎゃぁぁぁぁっ」

美紀子の絶叫が、会議室中に響き渡った。

香織は、美紀子の股間にハイヒールをグリグリと押してつけて、攻め続ける。

「いやぁぁっ、や、やめてぇっ」

「やりたいだけやっといて、調子のいい事言ってんじゃないわよ!」

美紀子への攻撃を続けたまま、香織は、先程から自由勝手に動き回っている豊満な乳房を、

片手だけで、ブラジャーの中に納めた。

美紀子は、両手で顔を押さえ、嫌々をするように、頭を振って、香織の攻撃に耐えている。

 

「あっ、あっ、あっ・・・」

美紀子の呻き声が、だんだんと、苦痛によるものから違うものへと替わり始めた。

「あっ、だめっ、あんっ・・・」

自分でも感じているのが判るのか、顔を隠したまま、しかし、先程までとは違って、抵抗

の仕方も、穏かになってきた。

 

(なんか、SMビデオみたい・・

 でも、もしこの娘と喧嘩するようなことになったら、私でも敵わないかなぁ?)

裕子の頭に、思いが浮かんできたとき、

 

  カチャッ !

「ひろこぉ、まだやってるの?」

いつまでも帰ってこない二人を心配にした佐智子が、突然、会議室に入ってきた。

だが、目の前に繰り広げられている光景を目にすると、呆然と立ち尽くしてしまった。

(な、なんでこんなこと・・・)

「岡嶋っ、やめなさい!」

突然佐智子に声をかけられた香織は、美紀子の脚を離すと、その場にペタンと座り込んで

しまった。

佐智子は、つかつかと浩子の前まで進み出ると、右手で思いっきり浩子の頬を引っ叩いた。

「なんてことさせるの!

この事は工藤部長に言って、あなたを処分・・いいえ、クビにしてもらうわ」

だが浩子は、怒りで顔を紅潮させた佐智子を蔑んだような表情で見ながら言い返してきた。

「だからあなたは、いつまでたっても電算室なのよ。この事が表沙汰になったら、

傷つくのは私じゃなくてこの娘たちなのよ。会議室で、OLが取っ組み合いの喧嘩

したなんて知れたら・・・」

「でも、あなたは絶対許さない。かわいい部下達をこんな目にあわせて。覚悟しな!」

言うなり佐智子は、すーっと息を吸ったかと思うと、浩子のお腹に正拳を突き出した。

そして、うめき声と共にお腹を押さえてかがみこむ浩子の横顔に、まわし蹴りを入れた。

「きゃぁぁっ」

浩子は悲鳴と共に、椅子を倒しながら大きな音を立てて吹っ飛んで行った。

佐智子は、浩子の顔の前に立ちはだかると、

「この娘たちが受けた痛みは、こんなもんじゃないわよ!」

言いながら、浩子の顔を踏みつけた。

「がぁ、がはっ・・」

呻き声を上げながら、もがきつづける浩子。

 

「うっ、うっ・・」

(そういえば佐智子のやつ、学生時代に空手やってたって言ってたっけ)

浩子は、目に悔し涙を溜めて、嗚咽をもらし始めた。

すると佐智子は、浩子の顔を踏みつけていた足で、今度は、その豊満な胸を蹴り始めた。

「あっ、あんっ・・い、いやっ、やめて・・・」

(なんで、私がこんな目に遭わなきゃいけないの?)

浩子は泣きながら、佐智子に懇願する。

少しは気が済んだのか、佐智子は、浩子の髪を掴むと自分の腰の辺りまで引きずり上げた。

「なーに、いつも偉そうな事ばかり言って、ちょっとやったらこれじゃない!」

 

その一言が、浩子に闘志をもたらした。

浩子は右手をぴんと伸ばすと、佐智子のスカートの奥をめがけて地獄突きを放った。

「くあぁぁっ・・」

佐智子は、浩子の髪を離すと、股間を押さえてうずくまった。

浩子は、佐智子を押し倒して馬乗りになり、髪を掴んで浩子の頭を何度も床に打ち付けた。

「あっ、あっ、あっ・・」

佐智子が苦悶の表情で呻き声を上げ出すと、今度は往復ビンタを何度も放つ浩子。

 

佐智子は、浩子の攻撃に必死に耐えながらも、右手をもぞもぞと動し中指を立てると、

スカートの一番奥の部分に突き刺した。

「きゃっ、いやあんっ・・」

浩子は、一瞬ビクンとはねると、あわてて佐智子から逃げるように離れた。

「この変態!何するのよ!」

浩子は、佐智子を睨みつけながら、立ち上がった。

「あれだけ人の顔を引っ叩いたんだから、それなりの覚悟はあるんでしょうね?」

佐智子も、頬を押さえて浩子を睨みながらゆっくり立ち上がった。

浩子は、佐智子の攻撃を警戒して、充分間合いを取った。

が、佐智子は、素早く前に進み出ると、浩子の胸に正拳を連続して打ち込んだ。

「うっ、ぐっ、あんっ、あっ・・・」

佐智子の連続攻撃に蹲ることもできず、ただサンドバッグのように叩かれ続ける浩子。

目からは、涙があふれ出てくるが、どうすることもできない。

「ほら、まだ倒れるんじゃないよ!」

佐智子は、浩子の頭を右腕で抱えると、今度はお腹に、膝蹴りを入れ始めた。

「ぐっ、がはっ、ぐあっ、ぐうっ・・」

(痛い、痛い・・・

このままじゃ、お腹破裂しちゃう!

嫌っ、もうやめて!)

佐智子の、正確に同じ場所に繰り返される膝蹴りに、浩子は既に闘う気力はなかった。

 

「痛っ」

突然、佐智子の髪の付け根に、痛みが走った。

浩子を離して、振り返ると、なんと香織が、佐智子の髪を引っ張っていた。

「岡嶋っ、なにするの?離しなさい!」

しかし香織は、佐智子の髪をさらに引っ張ると、左腕を首に回してきた。

「高倉主任、ごめんなさい。でも、私どうしてもシス開に行きたいんです。だから・・・」

丁寧な言葉とは裏腹に、首に回した左腕に力を込めると、左手首を右肘に挟んで、力の

限り締め上げた。

「がっ、やっ・・・・」

佐智子はじたばたともがくが、ついに力尽きて、香織の腕にぶら下るように気を失った。

 

香織は、佐智子をその場に下し、倒れたままの美紀子に一瞥をくれると、泣きながら蹲っ

たままの浩子の元へいった。

そして、髪の毛を掴んで引きずり起こすと、襟元を掴んで、泣き顔の浩子に言った。

 

「藤本主任、わたしがシス開でしょ!」

 

(おわり)

 

 

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