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NEW256 和文章 (わぶんしょう)
【作者】不明。【年代】明治八年(一八七五)頃刊。[信州中野]平野屋恒七板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。異称『早引用文』。式亭三馬作、文化一一年(一八一四)刊『〈御家〉一筆啓上』†の海賊版で、「年始の文」から「豊年満作を祝寿(いわいことぶ)く文」までの消息例文六八通と、「金子借用証文」から「里子預一札」までの証文文例一〇通の合計七八通を収録した用文章。巻頭に士農工商図と四民に関する発句(去来・芭蕉・也有・其角)を掲げ、消息文例と証文類文例の間に書簡用語集の「略字大概」を掲げる。本文を大字・五行(証文類は六行)・概ね付訓で記す。刊年及び刊記は旧蔵者の書き入れによる。
★信州板の用文章だが、内容は江戸板の模倣。



NEW257 〈御家正流〉通用案書大全会本 (つうようあんしょたいぜんえほん)
【作者】十返舎一九編か。月斎(月斎峨眉丸か)補。【年代】文化一三年(一八一六)刊。[江戸]鶴屋喜右衛門板。【分類】消息科。【概要】異称『〈取遣文言〉通用案書』。中本一冊。文化元年刊『〈取遣文言〉通用案書(簡略版)』に五五通の例文を加えた増補版。『筆林用文章指南車』†の一九の序文には、鶴屋板の『通用案書』†の紹介がされているが、別項のように一九の序文を持つ『通用案書』は『手紙之文言』†の改題本で本書と内容が全く異なる。『筆林用文章指南車』で言う『通用案書』がいずれを指すか判然としないが、鶴屋板である点を重視すれば本書の可能性が高い。また、両者のほかに『〈文言取遣〉通用案書』の目録題を持つ『〈通用早便利〉万代用文』†(一九作。山口屋藤兵衛板)や『〈御家〉一筆啓上』†という本書の簡略版もあり紛らわしい。本書は極めて例文が豊富で、上記三者中収録書状数が最も多く、「年頭披露状」から「商売向御用承礼状」までの一四一通を収録する(本文は大字・五行(証文類は六行)・所々付訓)。通常の用文章に見られる例文や町人生活に伴う例文をほぼ網羅する。後半に「店請状」から「売上案文」までの二四通の手形証文の例文と、手形証文の心得を述べた「書法大概」を載せるが、この後半部は文化一三年に『証文手形案書極意集』†の書名で単独板行された。
★写真左端は、簡略版の『通用案書』。


NEW258 御家流用文証文類集 (おいえりゅうようぶんしょうもんるいしゅう)
【作者】不明。【年代】江戸後期刊。[江戸]文林堂(亀屋文蔵か)板。【分類】消息科。【概要】折本一帖。「暑気見廻之文」「歳暮之文」「婚礼怡之文」「遠国便之文」「出火見廻之文」「病気見廻之文」「医者断之文」「弔状之事」「死去悔之文」の消息文例九通と、「御関所手形」から「離ゑん状」までの証文文例一一通を収録した用文章。例文の内容が偏っており通常の用文章とはやや異なる。本文を大字・四行・概ね付訓で記す。また、表紙見返に「海と山千里をへだて住人も、ものいひかはす文字のかけ橋」の教訓歌一首を掲げる。

★山田賞月堂の最晩年の往来物であろう。



NEW259 〈改正〉一筆案文集 (いっぴつあんもんしゅう)
【作者】不明。【年代】万延元年(一八六〇)刊。[江戸]糸屋庄兵衛(新庄堂)板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年始状」から「詫言を申遣す文」までの合計二六通を収録した用文章。本文をやや小字・七行・付訓で記す。表紙は本文共紙の廉価版で外題ともに刷り表紙。表紙見返に上中下別の端作り(書簡の冒頭語)の例や簡単な書札礼を載せ、頭書に「五体名頭字」「大日本国尽并郡付」「十二月之異名」「十幹」を掲げる。
★次項と同体裁の用文章。



NEW260 〈改正〉商人用文章 (あきんどようぶんしょう)
【作者】不明。【年代】万延元年(一八六〇)刊。[江戸]糸屋庄兵衛(新庄堂)板。【分類】消息科。【概要】中本一冊。「年始状」から「奉加事を頼む文」までの合計三〇通を収録した用文章。本文をやや小字・七行・付訓で記す。表紙は本文共紙の廉価版で外題ともに刷り表紙。頭書に「礼証文一札之事」から「離縁状」までの証文類一七通と「諸国御関所附」、また、表紙見返に「毎月時候の認様」を掲げる。
★前項と同体裁の用文章。