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NEW191 大橋流消息 (おおはしりゅうしょうそく)
【作者】大橋重政(長左衛門)書。篠田行休跋か。【年代】寛文6年(1666)書。江戸中期刊。[江戸]前川六左衛門板。【分類】消息科。【概要】大本1冊。小泉本は末尾など2丁ほど欠くが、同書によれば概ね次のような陰刻手本である。「一筆致啓上候。其御地御静謐公方様益御機嫌能被成御座候由承及、乍恐目出度奉存候」で始まる手紙文(御暇願いにつき馬・時服拝領の礼状)以下8通の消息文と和歌1首(この和歌の終わりに「寛文六丙午仲冬…」とある)、さらに、仮名文を含む消息文約9通を掲げた陰刻手本。本文の大半を大字・4行・無訓で記す。
★前川六左衛門は、次項の板元の永楽屋よりも早い時代に大橋流書道手本を数多く手掛けている。本書のように見返があると書名も分かりやすいが、見返もなく題簽が欠落していると、書名の確定が困難な場合が多い。



NEW192 大橋新消息 (おおはししんしょうそく)
【作者】大橋重政(長左衛門・小三郎)書。【年代】江戸後期刊。[名古屋]永楽屋東四郎板。【分類】消息科。【概要】大本1冊。「青陽之御慶賀珍重申納候…」で始まる「新年祝儀状」以下全20通(うち2通は仮名文)と詩歌2編を収録した大橋流の陰刻手本。五節句や四季の挨拶状や各種祝儀状、また、諸用件の手紙などを織り交ぜて、本文を大字・3行・無訓で記す。
★大橋氏の書道手本は、江戸中期に何種類も出版されているが、後印本の大半が永楽屋板である。



NEW193 〈堀氏〉書学文集 (しょがくぶんしゅう)
【作者】堀流水軒書。【年代】享保3年(1718)刊。[大阪]柏原屋清右衛門板。【分類】消息科。【概要】大本1冊。前半に消息文例、後半に詩歌を収録した書道手本。前者は「陽春之御慶不可有尽期候」で始まる新年状以下、各月往復の24通を大字・4行・無訓で記す。例文は寒中見舞い、上巳祝儀、花見誘引、端午祝儀、暑中見舞い、鞠の会、月見、重陽祝儀、茶会、有馬入湯、歳暮祝儀など、五節句や四季行事に関するものが主。また後半は、『和漢朗詠集』等からの抜粋で詩歌30編と、詞書を付す和歌数首を半丁に3、4行程度で並べ書きと散らし書きを織り交ぜて綴る。
★堀流水軒は、『商売往来』の作者として知られる。



NEW194 新撰(鼇頭)書翰初学鈔 (しんせん(ごうとう)しょかんしょがくしょう)
*以下、『翰墨蒙訓』の説明による → 【作者】新井白石(君美・片雲)作・序。【年代】貞享5年(1688)序・刊。[京都]小川多左衛門(茨木多左衛門)板。【分類】消息科。【概要】異称『書翰往来』。大本4巻4冊、後、4巻合1冊。漢文尺牘と準漢文体俗用文を並置した用文章の一つ。第1巻に「新正啓(新年状)」以下26通、第2巻に「端午啓(端午節句祝儀状)」以下26通、第3巻に「七夕啓(七夕祝儀状)」以下28通、第4巻に「到日啓(夏至・冬至に送る手紙)」以下16通の合計96通ずつの尺牘文と俗用文を収録する。大字・草書と小字・楷書の二体の俗用文を交互にそれぞれ4行書きで記す。頭書に言い替え表現と「砕語(類語)」を掲げるほか、第4巻末尾に尺牘の書式・類語(書式・具款・具拝・称呼・請召・餽送)を付載する。なお、本書の一部を改刻した改題本に、江戸中期刊『新撰(鼇頭)書翰初学鈔』4巻合2冊や文政元年(1818)刊『〈翰墨蒙訓〉尺牘筌』2巻2冊がある。
★本書は従来から『翰墨蒙訓』の書名で知られていたが、この改題本は新発見。



NEW195 〈百瀬〉献春帖 (けんしゅんじょう)
【作者】百瀬耕元書。佐熊耕梁(成美)跋。【年代】寛政元年(1789)跋・刊。[江戸]三崎屋清吉板。【分類】消息科。【概要】大本1冊。「献春之佳色、青松緑竹彩芳年、悠々四方之空、定而試筆之可有吟篇候。拝覧所希候。恐惶謹言」のように比較的短い消息文例を認めた百瀬流の陰刻手本。標記新年状から歳暮状まで四季贈答の書状12通を大字・3行・無訓で記す。
★この種の書道手本も次から次へと発見される。