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NEW061 〈沢田〉 お吉ちらし文 (おきちちらしぶみ)
大本1冊(中巻のみ)。入手した原本の題簽下部に「中」と記すため、3巻3冊本の女筆手本であったと思われる。筆者は、元禄頃に活躍した女筆、沢田吉で、元禄13年刊の『新女今川』の作者として知られる。吉の作品はほとんど例外なく元禄年間刊行のため本書も元禄期の出版と見て間違いない。中巻は全12丁で全て散らし書きの女子消息文を綴ったものであり、他の巻も書名が示すように散らし書きで構成されていたと思われる。長谷川妙躰ほどの大胆さはないが、柔軟で軽快な筆跡は吉らしい雰囲気をよく伝えている。


NEW062 七ッいろは (仮称:ななついろは)
半紙本1冊。全体的に正方形の枡形本に近い形で、シミなども多いが、刷りは良く、何より「延宝七年六月吉日、西沢太兵衛板行」という刊記を明記する貴重な往来である。「七ッいろは」の古版本は、明暦3年板(謙堂文庫*大本)、万治2年板(玉川大学*大本)くらいしか発見されておらず、そのうえ半紙本サイズでは新発見である。内容は、七ッいろは、片仮名いろは、国尽(主要地名)、家名尽、篇冠尽を収録する。やや高価であったが、古書店と交渉して少し値引きしてもらい購入した。


NEW063 新撰童子訓 (しんせんどうじくん)
伊勢、織田貞信(見龍)作。慶応元年刊。[伊勢]高幽書屋(著者であろう)蔵板(非売品)。半紙本1冊。「三字経」や「四字経」形式で、神道の根本や神道に基づく生活心得などを説いたもの。扉に「三字、四字、五字、七字句読」とあるように、漢字三字一句〜七字一句形式で綴る。扉の裏には「皇国の正道は自ずから忠孝・礼儀に通ずるなり」と大きく明記して、神道の正当性を強調する。巻末には「神代文字点画考」を付す。


NEW064 長雄書札手鑑 (ながおしょさつてかがみ)
大本1冊。天明2年刊。[江戸]丸屋文右衛門板。筆者については明記しないが、長雄流の書家であろう。跋文に「当世貴賤四季取扱ふ文を集め、専躰用を弁ずる扶(たすけ)ともならむやと、賤家の幼童手引のため仮名付をして『要辨集』と題する而已(のみ)」とあるように、書道手本には珍しく、特にルビを振って児童教育の用に供した模様である。


NEW065 女用文章かゞみ (おんなようぶんしょうかがみ)
本書は厳密に言うと新発見ではなく、既に内題の「女文鏡」として数点の所蔵が確認されている。しかし、今回、原題簽を持つものが初めて発見され、標記外題が判明した次第である。三切り本1冊で、筆者は新玄教堂林博授。嘉永元年の刊記だが、嘉永2年9月の翰林子の序文を付けてあるので、嘉永2年の刊行である。四季折々の手紙や諸用件の手紙などを載せる。