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NEW026 〈頭書絵抄〉諸職往来註抄
[年代等] 一荷堂半水注。香蝶楼芳梅画。溝江小笠斎書。文久年間(1861〜64)以前刊。[大阪]綿屋喜兵衛板。
[サイズ] 半紙本1冊。
[内容等] 享保5年(1720)刊『諸職往来』の絵入り注釈書。同書本文を大字・6行・付訓で掲げ、頭書「諸職往来注訳」に本文要語を掲出して割注を施し、数葉の挿絵を載せる。

●本書は謙堂文庫等に架蔵されていたため、厳密には新発見とはいえないが、家蔵本によって初めて筆者・施注者・画家が判明したほか、見返しに「文久再板」とあるように、少なくともを文久年間以前の刊行であることが分かった。



NEW027 〈四季〉諸用文章珠硯
[年代等] 菊川英山画。鈴木松蘿堂書。享和頃刊。[江戸]西村屋与八板。
[サイズ] 中本1冊。
[内容等] 異称『〈四季〉諸用文章珠硯』『四季用文章』。「正月之文章」以下、四季折々の手紙など26通を収録した用文章。四季佳節や五節句祝儀状を始め、連歌の会・十種香の催、飛鳥山花見や海晏寺紅葉見物等々の季節の行事の誘引状、また、着府、参宮、婚礼、移宅などに伴なう祝儀状、さらに染物の注文や為替金など諸用件の手紙を含む。本文を大字・6行・付訓で記す。巻頭に清経画の「渡唐天神」図、頭書に「五性名頭字」「国尽」「諸証文書様」「店請証文書様」「諸国関所手形」「五性書判之事」「年号月日の事」「手紙わき書の事」「おつて書の事」「けつ字の事」等の記事を載せる。
●本書の系統の用文章はこれまでにも時々見かけたが、原題簽付きは今回が始めて。初刊は恐らく寛政頃と思われる。


NEW028 御家詩歌帖
[年代等] 藤原順清(日下部順清)書。寛政10年(1798)刊。[江戸]花屋久次郎(星運堂)板。
[サイズ] 大本1冊。
[内容等] 『和漢朗詠集』から抜粋した詩歌を綴った大字の書道手本。「池凍東頭風度鮮、窓梅北面雪対寒」および「としのうちに春はきにけりひとゝせを、こぞとやいはむことしとやいはむ」を始め詩歌各16編を収録する。本文を大字・3行・無訓で記す。
●内容はありふれているが、本書の書家は往来物ではあまり見ないもの。空押しの原表紙に題簽付きで状態が良い。


NEW029 〈御家〉春夏章
[年代等] 乙部重政(青渓・子明)書。安永6年(1777)刊。[江戸]奥村喜兵衛板。
[サイズ] 大本1冊。
[内容等] 春・夏(1〜6月)の往復書簡を認めた陰刻手本。「新春之御吉慶不可有際限重畳申納候」と起筆する新年祝儀状を始め、子息の手習い入門挨拶状、桃の節句に雛人形を贈る祝儀状、初夏の花見物誘引状、五月雨の頃に笹粽を贈る手紙、夕涼み誘引状までの往復12通を収録する。本文を大字・3行・無訓で記す。なお、巻末公告に本書の対になる『秋冬章』(石摺・近刻)を掲げるが刊行の事実は未詳である。
●最初は『風月往来』の前半部と思いきや、全く異なる新出往来物であった。というのも、『風月往来』を半分ずつに分けて『春夏往来』『秋冬往来』と解題した往来物があるためである。書家も往来物ではあまり見ないものである。


NEW030 広沢大和文
[年代等] 細井広沢(知慎・知堅・公謹・次郎太夫・玉川・思貽斎・君子亭・菊叢・蕉林庵・奇勝堂)書。正徳4年(1714)書。明和7年(1770)刊。[江戸]深川親和蔵板。家蔵本は[江戸]前川六左衛門板(寛政5年(1793)求板)。
[サイズ] 特大本(縦長本)1冊。
[内容等] 『古今和歌集』の序や『古今著聞集』の七夕の撫子合わせの記事等から引用しながら和歌の徳に触れ七夕和歌等の古歌を紹介した一文を大字手本様に綴ったもの。「和歌は素戔烏の古風よりをこりて、久しく秋津州の習俗たり…」で始まる本文を大字・3行・無訓で記す。
●蔵板者の深川親和(三井親和)も有名な書家。内容は異なるが親和にも同じ書名の手本『やまとぶみ(三井親和女ぶみ・三井親和大和文・親和女文章)』というのがある(安永2年刊 *小泉蔵)。