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NEW021 〈金銀〉御吹替条目
[年代等] 堀流水軒書。正徳四年(一七一四)刊。[大阪]浅野弥兵衛板。
[サイズ] 大本1冊 266ミリ×185ミリ。
[内容等] 「吹替」とは、貨幣改鋳、すなわち、貨幣の品位・形状・量目等を改めること。正徳頃の改鋳は金銀相場を慶長期の水準に戻そうとしたもので、本書は正徳四年五月に出された金銀復旧令の直後に、今回の改鋳に伴う法令などを手本用に綴ったもので、貨幣経済分野の往来物としても貴重な物であろう。「覚(御吹替条目)」「借金・借銀の事」「新古金銀割合之次第」「諸国商人両替し候輩に可申渡事」など正徳四年五月一五日に出された四つの法令類を載せる。筆者は次項と同じ堀流水軒。

●正徳の改鋳に合わせて刊行された往来は、本書のほかに正徳三年一月刊行の『師岡氏教訓(仮称)』がある。本書が『商売往来』の作者として有名な堀流水軒の作であることはほとんど知られておらず、私も今回初めて知りました。それにしても高かったですね…(古書店主と親しいので、「随分強気の値段ですね」と話したら、実に3万円も安くしてもらいましたが、それでも10万円以上ですから、涙が出ます)。



NEW022 商売往来
[年代等] 堀流水軒作・書。元禄七年(一六九四)刊。[大阪か]武蔵某板。
[サイズ] 大本1冊 258ミリ×180ミリ。
[内容等] 旧蔵者(黒川喜太郎氏)による改装本。現存最古の三次市立図書館本(元禄7年本)とは異板の新発見の『商売往来』最古本。
●元禄期の「商売往来」はあまり現存しないが、ようやくこれで二本入手しました。いつも往来物とは縁遠い、神保町のある古本屋を訪れ、たまたま手に入れました。意外な所で意外な往来物に出会えるのも古書店巡りの面白さで、古本探しは足で稼ぐのが一番です。


NEW023 用文章 (仮称)
[年代等] 原題および作者不明。正徳〜享保頃刊。[大阪]毛利田庄太郎板。
[サイズ] 大本1冊 263ミリ×185ミリ。
[内容等] 原題不明の用文章で、絵柄や板元などから、正徳〜享保期に刊行されたと思われるもの。柱に「用文章」とあり、中味は上中下の三巻から構成される。上巻は「正月初而遣ス状」以下、五節句・四季に伴う手紙一六通、中巻は「祝言之所へ遣ス状」以下、慶事・凶事に伴う手紙一六通、下巻は「手形鑑」と題して、「銀子預り手形」以下七通と「万手形法式之事」を載せる。
●残念ながら原題が分かりません。御存知の方は、ぜひご教示下さい。


NEW024 五体消息
[年代等] 宮南耕斎書。天明三年(一七八三)刊。[大阪]藤屋吉兵衛ほか板。
[サイズ] 大本1冊 273ミリ×181ミリ。
[内容等] 原題は『江戸出版書目』によるが、同書によれば板元は[大阪]藤屋弥兵衛で、[江戸]山崎金兵衛からも売り出された。書名の「五体」は目次にあるように、「祝賀竪文」「披露状」「縦消息」「手紙躰」「かなぶみ」の五種類に分けて綴った手本のためである。それぞれ一二通、七通、九通、一一通、六通の合計四五通を収録する。
●『江戸出版書目』には「墨付四十八丁」とありますが、原本は刊記までで四八丁となり、その後に一丁追加して、例文中の漢語を小字で列挙してあります。宮南耕斎の手本は江戸中〜後期に数冊出版されています。


NEW025 君が代 女筆
[年代等] 長谷川妙躰書。享保一四年(一七二九)以前刊。[京都]菊屋七郎兵衛ほか板。
[サイズ] 大本三巻三冊(取り合わせ本)。263ミリ×190ミリ。
[内容等] 上巻は「新年祝儀状」以下一一通と和歌一首、中巻は「祝言直前の様子伺い状」以下九通と七夕和歌など三首、下巻は神無月の到来を述べた手紙など六通と書初和歌一首を、いずれも散らし書きで綴った妙躰手本。
●長年探してきた女筆手本の一つで、久々に入手した妙躰手本。当初購入したものには、全く別の女筆手本の下巻が添えられていたが、後に研究仲間の先生から譲って頂きました。