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NEW001 甲越古戦場往来

[年代等] 酒井英月作・跋。玉橘亭文麟子書・画・序。慶応2年作・序・書。
[サイズ] 中本変形(縦長本)1冊 200ミリ×115ミリ。
[内容等] 武田信玄と上杉謙信の合戦の舞台となった古戦場の故事や風景を紹介した往来。巻末に「川中島八景和歌(仮称)」を絵入りで掲げる。写真右側は「八景」の一つ、「海津晴嵐」で、英月が八景に因んだ「昇る日は海津の城に輝きて、天飾りより颪す山風」の和歌を、文麟子が「君が代や要害語る月の秋」の俳句を詠んでいる。




NEW002 〈名所旧跡〉女用文章都廻

[年代等] 筆者不明。元禄以前刊。[京都か]木村某板。
[サイズ] 大本1冊 248ミリ×181ミリ。
[内容等] 筆者不明の女筆手本(筆者は女性とは限らない)。地理系統の女筆手本としても古いもの。口絵に「近江八景」の挿絵を描くが、元禄以前の趣を持つ。数通の手紙文(全文散らし書き)形式で、都の風情を伝える。時代・内容から言って、板元は京都書肆か。




NEW003 女筆手本(仮称)

[年代等] 小野通書。江戸前期刊。刊行者不明。
[サイズ] 大本1冊 255ミリ×185ミリ。
[内容等] 小野通の女筆手本の一つ。原題簽の一部が残るが完全に読めるのは最初の「女筆」二文字だけで、以下は「手本」あるいは「文章」のようにも読めるが判然としない。今は裏表紙見返しの「女筆手ほん」書き入れに従って『女筆手本』としておく。以下に解題を付しておく。
女筆手ほん(仮称)‖【作者】小野通(二世か)書。‖【年代】江戸前期刊。刊行者不明。‖【分類】女子用。‖【概要】異称『女筆手本』。大本一冊。『万治二年(一六五九)書目』に載る『女筆手本』一冊に該当するものと思われる。原題簽に『女筆○○』とあり、裏表紙に書名を写したと思われる「女筆手ほん」の書き入れがある。筆者の記載もないが、本書の順序を入れ替えた改編本がいずれも小野通筆であることから、お通筆であることは疑いない。「あらたまりぬるこの春のめてたさ…」で始まる新年祝儀状から、「御返事なから御念比の文…」で始まる礼状までの二三通を収録する。大半が散らし書きだが、数通の並べ書きや折衷的な散らし書きを含む。本書の書状を一部入れ替えた改訂本に、元禄四年(一六九一)刊『〈四季〉女文章』†、江戸前期刊『小野おづう筆』†、享保(一七一六〜三六)頃刊『女筆春の錦』†、宝暦(一七五一〜六三)頃刊『〈女筆文章〉大和にしき』†等があるが、完本が少ないうえに現存する類書の多くが書名と書状配列を異にし、いずれも異板であるなど、改変の実態が把握しにくい女筆手本である。〔小泉〕‖【所蔵】小泉。




NEW004 落合往来

[年代等] 筆者不明。江戸後期書。
[サイズ] 大本1冊 258ミリ×170ミリ。
[内容等] 新出の地理科往来。古くは慶長年間からだが、新しい方では享和年間の記事が見えるため、明らかに江戸後期に成立したものである。甲斐国東山梨郡(現在の塩山市・山梨市辺)・平等村(ひらしなむら※旧名を「落合」といい、落合村・正徳寺村・山之根村三カ村からなるという)周辺の地理を綴った往来。名称の由来、領域から始まって、地勢、石高、神社仏閣(由来、開山、宗派、外観など)を紹介するが、残念ながら末尾を欠く零本である。




NEW005 買得用文都土産

[年代等] 小野臨水堂作・書。宝暦4年頃刊。京都刊か。
[サイズ] 大本1冊 260ミリ×185ミリ。
[内容等] 『買得往来』は現在、家蔵本のほかに東京学芸大学本が見つかっているが、本書はこれに「買得用文」を増補した『大満用文自在蔵』の改題本で現存唯一。本書の書名が『宝暦四年書目』に見えるため、その頃の刊行であろう。参考までに『大満用文自在蔵』の解題を付しておく。
◇だいまんようぶんじざいぞう [2356-2]
大満用文自在蔵‖【作者】小野臨水堂書。‖【年代】寛延四年(一七五一)刊。[京都]藤屋武兵衛板。‖【分類】消息科・地理科。‖【概要】大本一冊。前半「当流四季文章」に後半「都買得往来(買得往来†)」を合綴した往来物。「新年祝儀に扇子一箱贈る状」から「歳末祝儀の礼状」まで、五節句祝儀や四季贈答、年中行事に伴う手紙など二三通を収録する。準漢文体書簡ながら「かしく」で結ぶ例文を二通含む。本文を大字・四行・付訓で記す。前付に「内裏参向之図」「太宰府天満宮参礼」「筑紫安楽寺御祭」「愛宕山道之風景」「鞍馬山僧正坊図」「片仮名真字・古文字いろは」「始文字製図」、頭書に「小野篁歌字尽」「判形相性之事」「十干十二枝」「大日本国づくし」「篇冠構づくし」「四季之異名」「人の名づくし」「諸商看板因縁」「立花初心伝」「花洛東山詣」「洛西山嵯峨名所」「京町竪横小路」、巻末に「叡山赤山明神図」を掲げる。なお、本書の改題本『買得用文都土産(買得用文)』が宝暦四年(一七五四)頃に刊行されたが、現存本(小泉蔵)では収録順序が逆になり、「買得往来」「買得用文」の順となった。〔小泉〕‖【所蔵】小泉。