●形態
 仮綴じで表紙とも全3丁。表紙の原寸は縦160mm×横102mm。1頁に1カ月分の記録ができるようになっている。

●表紙
 明治14年刊 『〈小学習字〉女消息往来』の中に挟まっていたもので、表紙には 「明治
十九六七八月/品行簿/栃木県安蘇郡第五番学区/小学校等第級生徒/内田ミネ」 の記載がある。この記載のうち黄色で示した文字が筆で書かれたもので、そのほかは予め木版印刷で刷られている。

●凡例
 
表紙見返しの 「凡例」 によると、本簿は次のように使用されたものである。
 ・一日の生活態度=品行が「上等」な場合には最高100点とし、以下、点数制で最低0点までの点数を記入する。
 ・毎月月末に集計し、その平均点を 「修身科」 の得点に加算して二分したものを成績とする。
 ・品行簿は、学校内外での態度を記録するものなので、父兄たる者は、本人の平生の行状に注意すること。
 ・品行簿は、毎朝登校時に教師に提出し、下校時に教師から受け取って帰ること。


■内田ミネの場合は、初月(明治19年6月1〜8日*6日未記入は休日のためであろう)のみの記載だが、いずれも100点満点で生活態度がきちんとしていたのであろう。このうち最初の5日間には担任教師の確認印が押されている。


*このような記録簿がいつ頃から使用されるようになったのかは調べていないが、岡山県上房郡水田村の古老・鈴木愛太郎の報告によれば寺子屋教育でも 「品行簿」が 用いられたとのことである ( 乙竹岩造 『日本庶民教育史』 下巻484頁)。やはり月末に集計して、それによって叱咤激励したらしい。