十返舎一九が文政6〜8年頃に続々と著した往来物(その大半が伝記型往来、江戸書肆・山口屋藤兵衛板)には、表紙の約2/3のスペースを埋め尽くすほどの大判・色刷りの絵題簽が貼られていました。通常の短冊形の題簽に、「巻中目録」と、その往来物を強く印象づける挿絵を加えた長方形の絵題簽です。上に掲げた『勇烈新田往来』や『児女長成往来』 (いずれも歌川国安画) のほかに、同体裁の往来物が数多く刊行されましたが、今日ではなかなか入手できません。

*以下は、家蔵本のうち絵題簽が付いた原装本です (番号クリックで写真表示)。

001 弓勢為朝往来 (歌川国安画) *文政6年刊記、文政7年刊。[江戸]山口屋藤兵衛板
002 楠三代往来 ( 〃 ) *文政6年刊記、文政7年刊。[江戸]山口屋藤兵衛板
003 菅神御一代文章 ( 〃 ) *文政6年刊記、文政7年刊。[江戸]岩戸屋喜三郎・山口屋藤兵衛板
004 万福百工往来 ( 〃 ) *文政6年刊記、文政7年刊。[江戸]山口屋藤兵衛板
*以下は、三次市立図書館蔵本です (従来から掲載の頁)。
005 頼光山入往来 *文政6年刊記、文政7年刊。[江戸]山口屋藤兵衛板
006 頼朝武功往来 *文政6年刊記、文政7年刊。[江戸]山口屋藤兵衛板