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拙著等紹介

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三次市に貴重な往来本612冊を寄贈した
故平井右平氏(1883-1950)の墓前にて。
法名を「莫愁院祐道苔水居士」といい、
往来本には「莫愁書院」の蔵書印が押されている。
(2018年2月24日撮影)


小 泉 吉 永 Yoshinaga Koizumi

立正大学社会福祉学部非常勤講師、人間総合科学大学非常勤講師、学術博士(金沢大学)、往来物研究家(往来物倶楽部代表)。
1959年(昭和34年)東京都生まれ。82年早稲田大学政治経済学部卒業後、学校教員や出版社編集職を経て、現職。
現在、古典籍1万点のデジタル化(往来物倶楽部デジタルアーカイブス)と関連のネットビジスを主要業務として展開、ホームページ「往来物倶楽部」( www.bekkoame.ne.jp/ha/a_r/)やフェイスブックで関連情報を発信。江戸時代の教育や庶民文化に関する講演・執筆や展示企画の傍ら、各種メディアにも出演。2016年より江戸時代に関する各種講座「江戸樂舎」(https://www.edo-gakusha.com/)を開講。
江戸時代の研究は、1977年に神田神保町の古書店で1冊の往来物(寺子屋の教科書)との出会いから。以来、往来物など近世庶民史料の蒐集と研究を始め、数多くの近世史料の著作や出版に携わる。この間、博士論文「
近世の女筆手本─女文をめぐる諸問題─」で、1999年に金沢大学社会環境科学研究科より学術博士を授与された。

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【主要著作等】
『女筆手本解題』(青裳堂書店)、『往来物大系』『稀覯往来物集成』『往来物解題辞典』『江戸時代女性文庫』『女大学資料集成』『江戸時代庶民文庫』『江戸の処世訓あつめ草』『江戸版親父の小言』(以上、大空社) 、『諸国海陸旅案内』(人文社)、『近世育児書集成』『近世礼法書集成』『近世町人思想集成』『石門心学書集成』(以上、クレス出版) 、『江戸の子育て十カ条』(柏書房)、『「江戸の子育て」読本』(小学館)、『庄屋心得書・親子茶呑咄』(以上、岩田書院)、『江戸に学ぶ人育て人づくり』(角川SSコミュニケーションズ) など。


私が往来物と出会ったのは、28歳になったばかりの昭和62年の春でした。転職後もしばらくは教員の志を捨てきれず、毎日のように神田神保町界隈の古書店に出入りし、社会科の授業に役立ちそうな文献や資料を探し回っていました。
そんな折、ある古書店で、1冊の「庭訓往来」を見付け、すぐに購入しました。天保初年刊のその往来は、今にして思えばごくありふれたものでしたが、当時の私には「このようなものが今でも購入できるのか」という驚きで一杯でした。
それまで古典籍・古文書とは全く縁のない世界にいましたので、往来物や寺子屋について教職教養程度の知識はあったものの、そこに書かれている「くずし字」はほとんど読めませんでした。
ちょうどその頃読んだある本の中で「好きな事を毎日30分、10年間続けられれば、その道のエキスパートになれる」と書いてあったのを目標に、出社1時間前に勤務先近くの喫茶店で、和本のくずし字を大学ノートに写したり、往来物に関する文献を読んだりしていったのです。
こうして数年経つうちに大抵のくずし字は読めるようになり、蒐集にも一層拍車がかかりました。私のライフワークのきっかけを与えてくれた、あの「庭訓往来」はかなりの疲れ本ですが、往来物蒐集の記念すべき第1号として、今も大切に保存しています