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江戸後期
【享和 一八〇一〜〇四】

246 女文宝智恵
 おんなぶみたからちえ
[異称]一名『女用文宝智恵』(『割印帳(江戸本屋出版記録)』)。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]北尾政美画。
[板種]享和元年(一八〇一)三月出願、同年刊、板元・前川六左衛門(『割印帳』『江戸本屋記録』)。
[類型]男筆用文章か。
[内容]『割印帳』に「女用文章。女今川入。墨付百三十八丁」とある。
[備考]なし。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

247 日用調法 女諸通文鑑
 おんなしょつうふみかがみ
[異称]扉題『女用調法諸通文鑑』。
[書型]半紙本二巻二冊。
[作者]戸田栄治(栄次・玄泉堂・儀左衛門・正陰)書・序・跋。
[板種]寛政一三年(一八〇一)七月免許、開板人・柏原屋嘉兵衛、当時板元・河内屋喜兵衛、また、文化七年(一八一〇)一二月免許、開板人・秋田屋市兵衛、当時板元・河内屋喜兵衛(『大坂本屋仲間記録』)。享和元年五月出願、板元・柏原屋嘉兵衛、また、文化七年(一八一〇)一二月再板発行願出、板元・秋田屋市兵衛(『大阪出版書籍目録』)。享和二年(一八〇二)一月刊。
享和二年板(大阪・渋川清右衛門、上田卯兵衛、大野木市兵衛)*謙堂・学芸大・吉海・玉川大(下)。
享和二年板(大阪・渋川与左衛門、上田卯兵衛、赤松久兵衛 *後印)*玉川大。
[類型]男筆用文章。
[内容]上巻に「はつ春の文」から「土用見舞の文・返し」までの五一通、下巻に「中元祝儀文」から「歳暮祝儀文・返し」までの五三通、合計一〇四通を収録した女用文章。例文の配列は四季順になっており、主に上巻には春〜夏、下巻には秋〜冬の例文を載せるが、季節に無縁の例文(日用文、商用文、見舞い状、婚礼祝儀状その他)も多く鏤められている。本文は多く大字五行・付訓の並べ書きが大半だが、新年・桃の節句祝儀状など散らし書きで綴ったものや、返書(冒頭に折り返して書く追伸文)を伴う例文も見える。また、頭書に本文に対応して種々の替え文章・替え言葉を載せるのも特徴である。なお、下巻巻末に「書状上中下次第」「月の異名」「封じやう折かた」および「戸田玄泉堂書目録」を付す。
[備考]冒頭部「はつ春の御寿、かきりなく申納まいらせ候」。巻頭題字・序文等は色刷。題字は鎌田禎(環斎)書。彫工は山本卯右衛門。なお『大阪出版書籍目録』によれば初板の板元は柏原屋嘉兵衛という。
[所蔵]他に神宮。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R一九。

248 女筆文下書
 にょひつふみのしたがき
[異称]首題『文のした書』。一名『女中文章早手本』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]享和四年(一八〇四)一月序・刊。
享和四年板(京都・銭屋庄兵衛、蓍屋勘兵衛)*謙堂。
[類型]用文章。
[内容]「あらましの文」以下七〇通の消息文例を集めた女用文章。「女筆」と称するが、筆者が女性であるかは不明で、内容も一般的な女用文章である。全文並べ書きで、五節句や四季の文、通過儀礼に伴う祝儀状、その他雑事に関する手紙を含む。「商人引付の文」など商家向きの例文も見える。前半に往状を集め、後半「返事の部」に返状をまとめて載せているのは独特。
[備考]冒頭部「一筆申上まいらせ候。其後は御便もうけ給らす、御遠々しく存上まいらせ候。私かたみなかはりなく暮しまいらせ候まゝ、御気もし被下ましく候」。天保五年(一八三四)刊『女筆筆の枝折』広告中。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

文化 一八〇四〜一八】

249 大橋散らし文
 おおはしちらしぶみ
[異称]書名は『江戸出版書目』による。
[書型]特大本一冊。
[作者]大橋重政(長左衛門)書。
[板種]文化三年(一八〇六)三月出願、板元・前川六左衛門(『割印帳(江戸本屋出版記録)』『江戸出版書目』)。同年同月初刊。
文化三年板(江戸・双松堂蔵板。前川六左衛門、越中屋文次郎売出)*早大(「女消息文」)。
[類型]男筆手本。
[内容]全て大橋長左衛門からの返状で、第一状の新年祝儀の返状以下八通を収録した陰刻手本である。饗応の礼状や八朔祝儀の礼状、その他贈答品の礼状などからなり、いずれも「御めいかたへ返事申給へ」「おめいかたへ御返事」など同一人へ宛てである点と、実際の手紙を展開して封じ目までを正確に模刻してあるのが特徴である。また、「散らし文」と称するものの、一般の女筆手本のような雁行様式の細かい散らし書きではなく、大字の主文の行間に返書をした並べ書きに近いものである。
[備考]冒頭部「文御うれしく候。承候ことく、此春よりの御祝いつにもすくれ、めてたさかす祝入まいらせ候。そこもといよ御そくさいにてはんしやうの御事にて候よし、めてたくまんそく申まいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

250 遊状文章大成
 ゆうじょうぶんしょうたいせい
[異称]目録題『遊女文章大成』。尾題『遊女文章』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]翠川子(粋川士・西村定雅・春亭)作・序。
[板種]文化三年(一八〇六)春序・刊。
文化三年板(京都・吉野屋仁兵衛)*『近世京都出版文化の研究』。
文化三年板(*再板か)*小泉・小松。
[類型]男筆用文章(艶書)。
[内容]寛政九年(一七九七)序・刊『遊状案文』の改編本で、本文欄には「初春祝義文」から「むしんぶみ」までの恋文二一通を収録し、頭書にその他の例文と各種心得を掲げたもの。『遊状案文』の随所に見られた「年中祝義文書様」「朔日に遣る文の書様」といった細字の「心得」は適宜、頭書に掲出するが、これらにも若干の手が加えられている。なお、本文中の字配りもほとんど『遊状案文』と同様であり、これに「新古の文のさま」「名妓発句歌仙」「遊里四季の文章」「ふみのうへ詞」「かたの客へ遣る文心得」以下の頭書を加えることにより、体裁も横本から半紙本に改められた。なお、巻末に『青楼千字文』を合綴したものもある。また、本書の改題本に『遊女文通宝袋』がある。
[備考]冒頭部は『遊状案文』に同じ。
[所蔵]他に日大・京大。
[複刻]『江戸時代女性文庫』三一巻/『洒落本大成』二四巻。

251 女万代日用宝鑑
 おんなばんだいにちようほうかん
[異称]なし。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]沢井随山作(『割印帳(江戸本屋出版記録)』)。
[板種]安永四年(一七七五)五月初刊、板元・銭屋庄兵衛、売出・前川六左衛門(『割印帳』)。文化三年(一八〇六)再刊。
文化三年板*無窮織田。
[類型]男筆用文章か。
[内容]文化六年刊『女文章大全』広告中に「女日用文章をいろは分となし、或は躾方、身持鑑、女今川、三十六歌仙等をくわへ、女一代の行状をあつむ」とある。
[備考]冒頭部不明。墨付一三二丁(『割印帳』)。安永四年一一月刊『女用文章宝鑑』(沢井随山作)の改題本か。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

252 散し文
 ちらしぶみ
[異称]跋文中に『書札仮名章』とあり。一名『ちらし文』(『割印帳(江戸本屋出版記録)』『江戸出版書目』)。
[書型]特大本一冊。
[作者]岩田夫山書。平松勝山(倖篤)跋。
[板種]文化四年(一八〇七)秋跋・刊。
文化四年板(江戸・角丸屋甚助)*埼玉浦和。
[類型]男筆手本。
[内容]書名のごとく、非常に複雑な散らし書きから、散らし書きと並べ書きをミックスさせたものなど種々の散らし書き(わずかに並べ書きも含む)の女文を綴った特大手本。冒頭の「新年祝儀状の返状」から「歳暮祝儀状の返状」までの二五通と詩歌六編を、大字・小字、太字・細字を使い分けながら大胆かつ繊細に記す。例文は主に武家上流社会における五節句・四季、その他佳節の贈答の文であり、女房奉書や披露状形式、また返書(追伸文)の体裁が多い。中には、「種々拝領の礼状(披露状)」のように並べ書き三二行の上下に、ほぼ同程度の散らし書きを合わせた、独特かつ極めて長文の例文もある。なお、跋文を書いた勝山は筆者の門人であり、本書の板木を担当した彫工でもあった。
[備考]冒頭部「はつ春の御寿きと御座候て、御こまとの御文のやう、うれしく拝しまいらせ候」。
[所蔵]他に小松。
[複刻]なし。

253 女子日用 ちらし文章
 ちらしぶんしょう
[異称]書名は見返題による。
[書型]特大本(または大本)一冊。
[作者]加藤三よし(三芳・翠玉子・翠玉堂。有栖川宮筆道門人。音羽桜木町住人)書・跋。牟礼翠ホ序。
[板種]文化四年(一八〇七)七月序・刊。
文化四年板*小泉・都立中央・無窮会。
[類型]女筆手本。
[内容]五節句・中元・頼母・玄猪・歳暮・婚礼等の祝儀状と、女子一生の心得を述べた文の全一七通を収録した女筆手本。書名のように非常に細かな散らし書きが多いが、並べ書き五通を含む。
[備考]冒頭部「初春の御祝儀御めて度、となたもおなし御事と祝納まいらせ候」。筆者の門弟・牟礼氏の序文によれば門人出資の私家板か。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

254 月なみ消息
 つきなみしょうそく
[異称]見返題(明治一八年板)『月次消息』。一名『月次消息文』(『江戸出版書目』)。
[書型]大本一冊。
[作者]鵜殿余野子作。橘千蔭書・跋。
[板種]文化四年(一八〇七)跋。同五年三月出願、同年同月初刊か(『大阪出版書籍目録』。ただし明治一八年(一八八五)再刻本には「文化四年八月初刊」とある)。文政七年(一八二四)求板。明治一八年一〇月再刻。
文化四年板(京都・恵比須屋市右衛門)*都立中央・東北大・大阪府・佐賀。
文化五年板(江戸・大和田安兵衛、西村源六)*茨城大。
文政七年板(江戸・山城屋佐兵衛)*小泉・大洲市図・東大・上田市図。
明治一八年板(大阪・塩冶芳兵衛、森本専助)*吉海・都立中央・小松・大阪天満宮。
[類型]男筆手本。
[内容]「侍り」に象徴される平安朝の雅文消息を大字・六行・無訓で記した手本。「あるやんことなき姫君の御手本の料に書てまゐらせよ」と依頼された賀茂真淵に代わって弟子の余野子が著し、さらに余野子亡き後に千蔭が筆写して上梓したもの。一月「うちの女房のもとにすりやうのめよりおくる文」、五月「おまへなる女房つほねなるかもとへおくるふみ」など各月一通ずつの計一二通を収録する。なお千蔭の跋文に余野子の略歴を記す。
[備考]冒頭部「つきせぬ御ことふきも、とくこそきこえさせ侍るへきを、しはしおほやけもしけからむほとをすくしてと、けふまてになりにたり」。
[所蔵]東大ほか。
[複刻]『傍註 月なみ消息』(明治一七年)/『書簡作法の研究・続篇』(橘豐著。風間書房)。

255 御家 文化女用文章
 ぶんかおんなようぶんしょう
[異称]柱『文化女文章』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]梁田鳥水(梁田忠美・観古堂)書。
[板種]文化二年(一八〇五)一月書。文化五年(一八〇八)二月刊。文化五年三月出願、板元および売出・前川六左衛門、北島長四郎(『割印帳(江戸本屋出版記録)』『江戸出版書目』)。
文化五年板(江戸・前川六左衛門、北島長四郎)*江森・学芸大・ノートルダム清心・唐澤・学習院大。
[類型]男筆用文章。
[内容]「正月の文」から「十二月の文」まで毎月往復二通の計二四通を収録した女用文章。広告文では「文躰今もつはら用ゆる趣をあつめて便りならしむ」とあるが際立った特色はみられない。頭書には「婦人懐妊・産後心得之事」や「七夕歌づくし」「男女あいしやう」などの記事を載せる。なお、本書の増補版に同年刊の『女用初音錦』がある。
[備考]冒頭部「初春の御ことぶき千さとも同し御事にいわゐ入まいらせ候」。巻頭に教訓歌を伴う挿絵二葉(一丁)を付したものや、巻末に「江戸書林崇文堂(前川六左衛門)蔵板略目」を載せたものもある。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

256 御家 女用初音錦
 おんなようはつねのにしき
[異称]見返題『新撰 女用文初音錦』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]梁田鳥水(梁田忠美・観古堂)書。
[板種]文化二年(一八〇五)一月書。文化五年(一八〇八)六月出願、板元・前川六左衛門、売出・北島長四郎(『割印帳(江戸本屋出版記録)』)。同年同月刊。
文化五年板(江戸・前川六左衛門、北島長四郎)*小泉・吉海・新潟県図。
刊年不明板(江戸・須原屋茂兵衛、山田佐助、北嶋順四郎、和泉屋市兵衛、岡田屋嘉七)*都立中央。
刊年不明板(江戸・前川六左衛門ほか)*浜松中央。
[類型]男筆用文章。
[内容]文化五年(一八〇八)刊『文化女用文章』に「女用初音錦」を増補したもの。前半の「女用初音錦」は、「初春しうきの文」から「歳暮祝儀のふみ」までの四季折々の手紙二四通を収録した女用文章で、後半の「文化女用文章」も一二カ月の往復文であるから主題は変わり映えしないが、「女用初音錦」の方は全て往状のみで例文の多様性が増した点と、各例文が返す書き(追伸文)を含む長文である点で異なる。なお「女用初音錦」の頭書には、散らし書きの女文一二例と「烏丸殿より三条殿姫君へ教訓の御文」「七夕歌尽し」「女消息言葉」「書初詩歌」を載せる。
[備考]冒頭部「あら玉りぬる此はるの御寿き千さとも同し御事に祝入まいらせ候」。巻末に「江戸書林崇文堂蔵板略目」を付す。
[所蔵]千葉中央ほか。
[複刻]なし。

257 女年中用文章
 おんなねんちゅうようぶんしょう/おんなねんじゅうようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]大本一冊。
[作者]沢井随山原作。下河辺拾水原画。岡田玉山編(『大阪出版書籍目録』には「故人」と記す)。
[板種]文化五年(一八〇八)四月出願、同年閏六月許可、板元・勝尾屋六兵衛(『大阪出版書籍目録』)。また『大坂本屋仲間記録』によれば、開板人・勝尾屋六兵衛、当時板元・敦賀屋九兵衛。文化五年頃初刊か。文化一〇年(一八一三)一月求板。
文化九年板*金刀比羅。
文化一〇年板(京都・八木治兵衛、吉田新兵衛、須原屋平左衛門、小川彦兵衛)*玉川大。
文化一〇年板(大阪・米田清右衛門ほか)*大阪女子大。
文化一四年板(大阪・河内屋太助)*西宮市資。
[類型]男筆用文章。
[内容]天明七年(一七八七)刊『女万宝大和文林』の改題本。同書より前付を除き、本文の全てを採って、新たに目録を付けたもの。「年の始の文」から「歳暮の文」までの八六通を収録する。五節句・四季行事の文、通過儀礼等種々祝儀の文、その他諸用件の文からなり、散らし書きと並べ書きを取り混ぜて綴る。なお頭書は全て「伊勢物語」である。
[備考]冒頭部は『女万宝大和文林』に同じ。なお『大阪出版書籍目録』には、文化五年頃刊の『女年中用文章』の書名が見える。また『大坂本屋仲間記録』には「女年中用文章、一、勝六」とある。
[所蔵]他に國學院大。
[複刻]なし。

258 女文章大全
 おんなぶんしょうたいぜん
[異称]一名『万家通用・年中往来 女文章大全』。
[書型]横本一冊。
[作者]川本重房(永昭堂)作・書。『京都板行御赦免目録』に「作者正光」とあり。
[板種]文化六年(一八〇九)一月刊。文政八年(一八二五)再刊。嘉永二年(一八四九)六月補刻。
文化六年板(京都・河南四郎兵衛、美濃屋平兵衛、菊屋喜兵衛、大阪・敦賀屋九兵衛、江戸・須原屋伊八)*小泉・都立中央。
文化六年板(京都・河南四郎兵衛、菊屋七郎兵衛、菊屋喜兵衛、大阪・敦賀屋九兵衛、江戸・須原屋伊八)*樟蔭女子短大(板元の異なる二本を所蔵)・神宮文庫。
文化六年板(京都・美濃屋平兵衛、菊屋喜兵衛、大阪・敦賀屋九兵衛、江戸・須原屋伊八)*樟蔭女子短大。
文政八年板(不明)*石川県郷土・都立中央・國學院。
嘉永二年板(京都・河南四郎兵衛、美濃屋平兵衛、菊屋喜兵衛、大阪・河内屋源七郎、江戸・須原屋伊八)*日本書房。
刊年不明板(不明)*西宮市郷土。
[類型]男筆用文章。
[内容]数多くの例文を集録し、祝儀文・見廻文・遊楽誘ひ文・人をまねく文・雑の五部に分類した横本の女用文章。それぞれ、「初春の文」以下四季祝儀状、婚礼・出産等祝儀状二二通、「部屋見廻の文」以下各種見舞状二四通、「花見を催す文」以下四季行事誘引状一八通、「節会案内の文」以下諸行事案内状一二通、「無沙汰の方へ遣す文」以下日用諸事の女文三〇通の合計一〇六通を収録する。大半が大字六行・付訓の並べ書きである。また、巻末には「文章上中下の事」「脇付之事」「月の異名」等の記事を掲げる。
[備考]冒頭部「新玉りぬるはるの御寿き何かたもおなし御事にいはひ納まいらせ候」。
[所蔵]他に小松等。
[複刻]なし。

259 年中かな文
 ねんちゅうかなぶみ
[異称]なし。
[書型]折本一帖。
[作者]長友松(玄海堂)書。
[板種]文化七年(一八一〇)九月出願、板元・林安五郎、売出・須原屋伊八(『割印帳(江戸本屋出版記録)』『江戸出版書目』)。
文化七年板(大阪・鹿鳴忠兵衛ほか)*小松。
[類型]男筆手本。
[内容]刊年不明『仮名附消息并仮名文章』広告には「年中かな文、長玄海堂筆、三十六躰ちらし書、折手本一冊」とある。
[備考]『江戸出版書目』によれば、「墨付奉書二ッ切三十六折」。文化頃刊『絵本廿四孝』広告中。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

260 女用文独稽古
 おんなようぶんひとりげいこ
[異称]見返題『御家流 女用文独稽古』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]文化九年(一八一二)春出願、同年刊、板元・須原屋平左衛門、売出・須原屋平助(『割印帳(江戸本屋出版記録)』『江戸出版書目』)。
文化九年板(江戸・須原屋平助、京都・須原屋平左衛門、銭屋庄兵衛)*小泉・江森・吉海・謙堂。
[類型]用文章。
[内容]「四季十二ヶ月の文づくし」「女一代祝儀事の文尽」「女日用文づくし」の三部に分けて種々の例文を集録した女用文章。それぞれ「初はるの文」以下四二通、「仲人せんといふ文」以下二二通、「いせ参宮の文」以下二〇通の合計八四通を収録する。全文並べ書きだが、散らし書き風の返書を伴う例文も若干含まれる。「四季十二ヶ月の文づくし」では月別に例文を示すが、「雪ふりの文」だけは例外的に「十一月、十二月」と二月にまたがる。また「女一代祝儀事の文尽」では、婚礼から出産に関する例文が豊富で、庶民に定着した婚礼等の儀礼や習慣を彷彿とさせ、「女日用文づくし」の例文も庶民生活に密着した題材が中心を占める。巻頭には「書初の歌」一二首、巻末には「七夕の歌づくし」三〇首を掲げる。
[備考]本書の第一部「四季十二ヶ月の文づくし」のみを抄録したものに、天保一四年(一八四三)刊『女用文章姫鑑』や江戸後期刊『女用文操鑑』がある。冒頭部「初春の御寿限なふいはゐ納まいらせ候」。また、表紙に花菖蒲図(彩色画)を描く。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R一九。

261 頭書註釈 女当用文章
 おんなとうようぶんしょう
[異称]目録題『御家 女当用文章』。
[書型]大本一冊。
[作者]晴雲堂一玄書。
[板種]文化八年(一八一一)六月免許、開板人・吉文字屋市右衛門、当時板元・河内屋喜兵衛(『大坂本屋仲間記録』)。文化一〇年(一八一三)春刊。天保一二年(一八四一)春再刻。『大阪出版書籍目録』によれば、初板本は文化八年二月出願、板元・吉文字屋市右衛門、また再板本は天保一二年二月再板発行申出、板元・河内屋源七郎。
文化一〇年板(大阪・和泉屋儀兵衛、河内屋嘉助、吉文字屋市右衛門、河内屋嘉七)*吉海・ノートルダム清心。
天保一二年板(大阪・河内屋儀助、河内屋仁助、河内屋喜兵衛、河内屋源七郎)*小泉・樟蔭女子短大・昭和女子大・吉海・ノートルダム清心(文化板のほかに所蔵)。
[類型]男筆用文章。
[内容]比較的少ない頭書注釈付きの女用文章。「年始の文」から「歳暮の祝儀仰書の文」までの往復文五一通(二六題の往復文。弔状のみ返状なし)を収録する。四季折々や佳節に伴う祝儀状や誘引状、諸事に関する依頼状や礼状、病気・寒気見舞状その他一通りの例文を載せる。頭書に語注や書簡作法に関する注記を多く掲げ、多くの例文に追伸文(猶々書き・返す書き)を伴うのが特徴である。例文中には『難波往来』や『都名所図会』などの書名や名所(地名)も散見され、頭注にも名所関連の行事に触れた箇所もある。また、巻末には脇付の上下を示す。なお、本書の小口方向には検索用の丸付き漢字(例文見出しの頭字)を配置して読者の便を図る。
[備考]冒頭部「初春の御寿いづくもおなじ御事にめで度申上まいらせ候」。 なお『大阪出版書籍目録』によれば、文化板は大阪・吉文字屋市右衛門蔵板。なお文政二年(一八一九)板『女中庸瑪瑙箱』広告中に、本書を「御家流をもつて正月より十二月まで時々の祝義文、見舞文等すべて当世の文言にして首書に委く注釈をくわへ、女中がた四季消息案文に甚便なる本なり」と紹介する。
[所蔵]他に閑谷学校。
[複刻]なし。

262 御家 年中往来 并かな文
 ねんじゅうおうらいならびにかなぶみ/ねんちゅうおうらいならびにかなぶみ
[異称]見返題『年中往来 ならひにかな文章』。
[書型]大本一冊。
[作者]文海堂竜山書。
[板種]文化一〇年(一八一三)五月刊。
文化一〇年板(江戸・大坂屋茂吉)*謙堂・東大。
[類型]男筆手本。
[内容]江戸の年中行事を記した「年中往来」と、国めぐりの仮名文で諸国を紹介した「かな文」を合綴した往来。「年中往来」は全一通の準漢文体書簡(ただし書止は「穴賢」)で、江戸府内の神社仏閣の祭礼を中心に月ごとの行事のあらましを述べたもの。また後半の「かな文」は『女文章国尽』とほとんど同文の地理科往来で、「兼々しめし合せし日のもと六十余州廻国の事、思ひ立日を吉日と御定め、遠からぬ内、思召たゝせらるへく候…」で始まる全一通の仮名文である。
[備考]冒頭部「改暦之吉兆、先鶏鳴、若水、大福、蓬莱、屠蘓酒任家例候…」。
[所蔵]他に茶女大・東大史料。
[複刻]『往来物大系』七七巻/『往来物分類集成』R五四/『女子用往来物分類集成』R二五/『日本教科書大系往来編』六巻。

263 雛鶴用文姫鑑
 ひなづるようぶんひめかがみ
[異称]なし。
[書型]小本一冊。
[作者]不明。
[板種]文化一一年(一八一四)春刊。
文化一一年板(京都・吉田新兵衛、堺屋仁兵衛、須原屋平左衛門)*謙堂。
[類型]用文章。
[内容]日常の諸事についての消息と四季折々の手紙など七二通の女子消息文例を集めた小本の女用文章。全体を「平生用むき文づくし」と「十二ケ月用むき文づくし」の二部に分け、前者には「家うつり祝儀文」から「奉公人をたのむ文・おなじく返事」までの二六通を、後者には「初はるの文」から「歳暮の祝儀文・おなじく返事」までの四六通をそれぞれ収める。ほとんどが並べ書きで、本文中に数葉の挿絵を掲げる。なお巻頭に和歌浦等の風景画(色刷)を掲げる。
[備考]冒頭部「一筆申上まいらせ候。弥御機嫌よく入せられ、悦入まいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

264 女用文色紙染
 おんなようぶんしきしぞめ
[異称]書名は見返題による。
[書型]大本一冊。
[作者]十返舎一九作・序。
[板種]文化一一年(一八二四)六月出願、板元・鶴屋喜右衛門(『江戸出版書目』)。文政七年(一八二四)秋再刻。
文政七年板(江戸・鶴屋喜右衛門)*玉川大。
[類型]男筆用文章か。
[内容]序文によれば、元文三年(一七三八)初刊(宝暦一二年(一七六二)改板)の『女用文色紙染』を、十返舎一九が「文章の古めかしきを悉く当流に改め、長短を用捨し、卑文を省き、雅章を専として、しかも用弁の速なるを撰」んだものというが、全二〇通の文面は元文三年板とは全く異なるもので、各状の主題のみがほぼ踏襲されているにすぎない。元文三年板に比較して文章がやや長く、文言中に人名・地名などの固有名詞を含む点に特色がある。なお、付録記事も元文三年板とは全く別で、前付に「衣服調法秘伝抄」「十二月之異名」等の記事、頭書には「文の書様心得の事」「年中故実・五節句ゆらゐ」「源氏物がたり目録」「婦人たしなみ草」「女中詞づかひの事」「薫ものの銘づくし」「万染ものの類仕やう」等、後付に「七夕歌づくし」「十幹十二支」等の記事を掲げる。
[備考]冒頭部「初春の御寿、いづかたも同じ御事に御祝ひ上まいらせ候」。なお、文政七年板見返には次の序文を載せる。「原版宝暦十二年より元文三年秋七月に至て再板し普く世に行る。今亦、文章の古めかしきを悉く当流に改め、長短を用捨し、卑文を省き雅章を専として、しかも用弁の速なるを撰み、猶、頭書に婦人平生調法の種々を見安きやうに露し、茲年文政甲申の秋再々板して、広く児女の袖宝となさんと欲する而已。江戸 十返舎一九識」。
[所蔵]他に旧浅野。
[複刻]なし。

265 当時日毎文章 女用文通宝字鑑
 おんなようぶんつうほうじかん/おんなようぶんつうほうじかがみ
[異称]外題『女用文通宝字鑑』もあり。柱『女用文』。
[書型]中本一冊。
[作者]栄松斎書。
[板種]文化一二年(一八一五)一月刊。
文化一二年板(江戸・森屋治兵衛)*小泉・謙堂・家政学院大・学芸大・都立中央・日大・国会・東大・国文研・無窮会。
刊年不明板*家政学院大。
[類型]用文章。
[内容]「正月の文章」から「歳暮の文章・同返事」までの一八通を収録した簡易な女用文章。本文は五節句・花見・暑中・盆・玄猪など四季折々の例文ばかりを集める。新年状(往復)に続いて、女中の書簡作法・書簡用語に関する若干の注記がある。さらに頭書には「用文日毎肝要」と題して、「歯染之文」「婚礼の文」「部屋見廻文」「五日かへり」「平産の文」「留守見廻文」「病気見廻文」「弔ひの文」など吉凶事、その他の例文一五通を載せ、適宜詳しい注記を加える。なお、巻頭に「和歌三神之像」「書初の詩歌」「七夕祭の由来」、巻末に「扁冠尽」「十二月之異名」等の記事を掲げる。
[備考]冒頭部「新玉の御寿尽しなき御目出たさ申納まいらせ候」。題簽題の読みと見返題の読みが異なる。
[所蔵]他になし。
[複刻]『往来物分類集成』R二八/『女子用往来物分類集成』R一九。

266 女中日用 一寸案文
 ちょっとあんもん
[異称]なし。
[書型]小本一冊。
[作者]不明。
[板種]文化一三年(一八一六)一月序・刊。
文化一三年板(江戸・前川六左衛門、岡田屋嘉七)*謙堂。
文化一三年板(江戸・前川六左衛門、岡田屋嘉七、鶴屋金助、山田佐助、北島長四郎)*小泉。
[類型]用文章。
[内容]「年始の文」から「疱瘡見舞文」までの女文の各種例文五四通を集めた小本の女用文章。主に前半に四季・五節句の文を集めており、所々、髪置・かね附・婚礼・初帯・出産など通過儀礼上の祝儀状を含む。後半にも、例えば「雪見舞ふみ并歌七首」のような季節の手紙も一部載せるが、多くは用件中心の手紙で、「宮仕の文」「いなか行見まひ」「悔のふみ」「手習初の文」など諸般にわたる。また、巻末「女中重宝記」には、衣類の染み落とし法など、家政・化粧・家庭医学上の知識を若干紹介する。なお、本書巻末広告に小本の『男一寸案文』の書名が見えるが末詳。
[備考]冒頭部「初春の御寿、千さともおなし御事にいわゐおさめまいらせ候」。
[所蔵]他に上田市図・石川県郷土・ノートルダム清心。
[複刻]なし。

267 御家 年中女用文章
 ねんじゅうおんなようぶんしょう/ねんちゅうおんなようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]大本一冊、また別に半紙本一冊もあり。
[作者]青木至誠(臨泉堂)書・跋。
[板種]文化一四年(一八一七)九月跋。同年一〇月刊。
文化一四年板(江戸・岡田屋嘉七、英大助、須原屋茂兵衛)*小泉・謙堂・逓博・吉海・筑波大。
文化一四年板(江戸・西宮弥兵衛、竹川藤兵衛、英平吉 *「女今川」を増補)*成田・学芸大・中央大・早大・昭和女子大。
[類型]男筆用文章。
[内容]大本と半紙本の二様があり収録書状数に違いがある。春・夏・秋・冬・雑の五部に分けて多くの例文を集めた大部な女用文章で、大本の場合、それぞれ「正月の文」以下九通、「四月の文」以下八通、「七夕のふみ」以下一〇通、「十月の文」以下一四通、「用事申遣す文」以下六四通の合計一〇五通を収録する。とりわけ雑の部の例文が豊富で、諸用件の手紙、行楽誘引状、通過儀礼に伴う祝儀状、借用状、各種見舞状、弔状など、庶民生活に必要な例文がほぼ網羅されている。本文は大字五行・付訓の並べ書きだが、巻末「ちらし書四季の文章」には新年状など散らし書きの女文一一通(このうち一通は並べ書き)を載せる。また、半紙本は内容が簡略化されており、「正月の文」から「参宮のみやげ送る文・同返事」および末尾の「ちらし書の文」の合計六九通を収録する。このほか、本書には「女今川」を合綴した増補版もあり、また、本書を小型・簡略化した天保三年(一八三二)刊『御家 女用文宝箱』もある。
[備考]題簽・見返色刷。冒頭部「初春の御寿いづかたもおなし御事にいわひおさめまいらせ候」。なお、天保一一年(一八四〇)刊『女用文章往かひ振』広告中に「世に女用文章あまた有といへとも、即座の間に合がたし。このかな文は日々に用ふるところ、よろつのふみ残るかたなく書しるし、幼女子の手本として書習ふときは、すぐにそのまゝもちひて便用のかけることなく、師匠なくしておのづからふみ、ちらしふみのかきやうを自然と覚ゆるの能き手本也。女用物の極上とす」と紹介する。
[所蔵]他に西宮市郷土。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二三。

268 絵入 女文通宝箱/絵入 女文通宝袋
 おんなぶんつうたからばこ/おんなぶんつうたからぶくろ
[異称]外題に『女文通宝箱』(初印本)と『女文通宝袋』(後印本)の二様あり。見返題・序題『女文通宝箱』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]西川竜章堂(閑斎・美暢)書。速水恒章(春暁斎)画。菊すけ序。
[板種]文化一四年(一八一七)春序。文化一五年(一八一八)一月初刊。文政五年(一八二二)再刊。天保六年(一八三五)再刊。嘉永二年(一八四九)再刊。
文化一五年板(京都・吉野屋仁兵衛、蓍屋宗八、銭屋庄兵衛)*小泉・神宮。
文化一五年板(大阪・柏原屋清右衛門、播磨屋九兵衛、京都・吉野屋仁兵衛、蓍屋宗八、銭屋庄兵衛 *後印)*小泉・玉川大・樟蔭女子短大・昭和女子大・日大。
文政五年板(京都・伏見屋半三郎ほか)*昭和女子大。
天保六年板(京都・吉野屋仁兵衛)*國學院大。
嘉永二年板(京都・升屋勘兵衛)*謙堂。
刊年不明板(京都・吉野屋仁兵衛)*玉川大・謙堂・学芸大・石川県郷土。
刊年不明板(京都・蓍屋宗八 *後印)*三康図。
刊年不明板(京都・求好堂 *後印)*吉海。
刊年不明板(京都・沢田文栄堂、菱屋友五郎)*小松。
[類型]男筆用文章。
[内容]「初春祝儀文」から「不幸悔の文」までの七〇通(大半が往復文)を収録した女用文章。四季行事を中心に、婚礼・出産、その他諸事に関する手紙若干を収める。頭書には「文こと葉つかひ」と題して本文に対応する言い替え表現・類語・略注や「年中行事」「小笠原折形」「対名の事」などを載せるほか、巻頭に挿絵、巻末に「月異名」等の記事を付す。
[備考]冒頭部「あら玉の御寿いはゐ納まいらせ候」。表紙は青色刷に着色した彩色画(机・文房具図)と彩色画(花弁模様図)のみの二様あり。
[所蔵]他に東大。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R一九。

【文政 一八一八〜三〇】

269 婦人手紙之文言
 ふじんてがみのもんごん
[異称]見返題『頭書万用 婦人手紙之文言』。序題『婦人手紙の文言』。
[書型]中本一冊。
[作者]十返舎一九作・序。青木臨泉堂書。
[板種]文政三年(一八二〇)九月刊。明治一七年(一八八四)再刊。
文政三年板(江戸・前川六左衛門、山田佐助、北島長四郎、西村屋与八)*謙堂・小泉・学芸大・逓博・ノートルダム清心。
刊年不明板(江戸・須原屋茂兵衛、小林新兵衛、英大助、西宮弥兵衛、西村屋与八、和泉屋市兵衛、岡田屋嘉七)*吉海。
明治一七年板(東京か・細川健次)*宇田川家(東京都江戸川区)。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年頭披露の文」から「年賀の文」までの四三通を収録した女用文章。前半一八通は五節句や季節の行事に関する手紙で、中ほどは吉凶事に伴う手紙、後半は金銭貸借その他の例文である。近世後期庶民にふさわしい文言で、また名所・名物・風俗等の関心事を鏤めながら綴る。例文は多く「返書」を伴い、全文が並べ書きである。また、巻末には「女手ならひ教訓の書」を付すが、この部分のみを独立させた単行本もある。内容は『女手習教訓書』に同じ。さらに頭書には「文の封じやう」「月のかはり名」「女中詞づかひ」「大和ことば」「万染色の名」「畳紙折形の図」「婦女をしへ艸」「諸礼躾がた」「食事しつけかた」「給仕の次第」「平生女こゝろ得」「名香六十一種名寄文章」「婦女いましめ艸」「衣裳の正字尽」「小児之薬法」「一生涯の祝事」等の多彩な記事を載せる。
[備考]冒頭部「あら玉の春の御寿松竹の千代よろづ代かけて御めでたく幾久しく御いはひあけまいらせ候」。
[所蔵]国会・東大。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R一九/『稀覯往来物集成』二一巻。

270 女用文
 おんなようぶん
[異称]不明。
[書型]中本一冊。
[作者]高橋尚富作。
[板種]文政四年(一八二一)八月刊。
文政四年板(京都・菊屋安兵衛ほか)*石川県郷土。
[類型]用文章。
[内容]不明。
[備考]不明。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

271 女書札文庫
 おんなしょさつぶんこ
[異称]なし。
[書型]半紙本一冊。
[作者]西川竜章堂(閑斎・美暢・正造)書。茂広序。
[板種]文政三年(一八二〇)一二月序。文政五年一月刊。
文政五年板(京都・河南喜兵衛、銭屋庄兵衛、伏見屋半三郎)* 謙堂・江森・樟蔭女子短大。
文政五年板(京都・河南喜兵衛、銭屋庄兵衛)* 玉川大・カリフォルニア大・國學院大・ノートルダム清心。
刊年不明板(京都・吉野屋仁兵衛)*小泉・学芸大・小松。
刊年不明板(京都・蓍屋宗八)*小泉。
刊年不明板(京都か・西涯軒 *後印)*筑波大。
[類型]男筆用文章。
[内容]年始の文に始まる四季折々の行事、婚礼などの通過儀礼、その他日常のさまざまな場面に必要な女性の消息文例を収めた女用文章。巻末には「状封じ様の事」「脇付の事」「月の異名」「女中名づくし」「文面ひながた」等の簡単な記事を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御祝義いづかたもおなじ御事いはひ籠まいらせ候」。見返青色刷。
[所蔵]他に石川県郷土。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R一九。

272 女通用文章
 じょつうようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]小本一冊。
[作者]暁鐘成書・画。
[板種]文政五年(一八二二)三月刊。
文政五年板(大阪・小刀屋六兵衛、河内屋太助、河内屋平七)*謙堂。
[類型]男筆用文章。
[内容]「新年の文」以下二五通を収録した小本の女用文章。例文は、五節句・四季や、婚礼・出産に関するもので、並べ書きと散らし書きを織り交ぜて綴る。巻頭に鶴亀・松竹梅の色刷口絵を掲げ、前付に「女六歌仙之図」や女子教育・女子教養に関する若干の記事を載せ、頭書に「女中朝夕心得の事」「百人一首」、巻末に「文封じ様の事」「折形・包物の図」「七夕のうたづくし」「胎内十月の間之事」「産婦心得の事」「改正三世相大全(生れ年の占い)」「善悪夢はんじ絵抄」「男女相性善悪」等を載せる。
[備考]冒頭部「新たなる春の御寿、千里もおなじ御事に岩井まいらせ候。御とり様、御機嫌よく御とし御重ね遊はし、目出度存上候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

273 女早見案文
 おんなはやみあんもん
[異称]なし。
[書型]横本一冊。
[作者]西川竜章堂(閑斎・美暢・正造)作・書。宋栄堂(吉文字屋市右衛門)序。
[板種]文政六年(一八二三)一一月出願、板元・敦賀屋九兵衛(『大阪出版書籍目録』)。文政七年(一八二四)二月免許、開板人・敦賀屋九兵衛、当時板元・河内屋喜兵衛(『大坂本屋仲間記録』)。文政七年春序・刊。
文政七年板(江戸・須原屋茂兵衛、前川六左衛門、大阪・吉文字屋市右衛門、秋田屋太右衛門、敦賀屋九兵衛)*小泉・吉海。
[類型]男筆用文章。
[内容]「新玉の年始より四季おりの文、音信、見舞・祝儀の文、あらゆる要用、はな見・遊山誘引の文、其ほか女文通もらさずあつめ」た横本の女用文章。「初春の文」から「披露の文」までの八六通を収録し、先の序文の通り四季、婚礼・出産、その他通過儀礼、凶事・死去、遊楽、法事、交際、教授、奉公、各種依頼など、町人生活全般の事項に伴う例文をことごとく載せる。なお、巻頭に手紙を書く貴婦人の色刷挿絵を掲げる。また、巻末には「男女相性の事」「月の異名之事」「のし包折形」の記事を付録する。
[備考]口絵色刷。冒頭部「年の始の御言祝、いつにも勝れおぼし召れ候半まゝの御目出たさ申籠まいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

274 大全針刺宝
 たいぜんはりさしだから
[異称]外題『婦人文章 針刺宝』もあり。目録題『婦人文章 針刺宝』(角書の「婦人」は「おんな」と読む)。
[書型]横本一冊。
[作者]西川竜章堂書。
[板種]文政八年(一八二五)五月刊。
文政八年板(京都・河南四郎兵衛、河南喜兵衛、菊屋喜兵衛、山城屋佐兵衛)*小泉・謙堂・ 国会・玉川大・江森・家政学院大・樟蔭女子短大・大阪天満宮・吉海・昭和女子大(「女教訓身持鑑」)・石川県郷土(「同」)。
[類型]男筆用文章。
[内容]女用文章と種々の付録記事(前付)から成る横本の往来物。女用文章は「年始の文」から「年忘に招文・同返事」までの六六通を収録するが、五節句や通過儀礼に伴う祝儀状、その他吉凶事にまつわる手紙、また、誘引状・依頼状その他諸事の手紙の順に掲げる。また前付には女の四徳・女の職分・身だしなみなどを説いた「女教訓身持鏡」を始め、「小笠原諸礼式」「男女相生鏡」「婦人諸病妙薬」「万しみ物落し様」「化粧の仕様」「衣服裁ものゝ秘伝」など庶民女性に必要な事柄を紹介する。
[備考]口絵・序文一丁は色刷。冒頭部「新玉の御寿限なふ目出たく申納まいらせ候」。
[所蔵]他に金沢市村松。
[複刻]なし。

275 四季のちらし書
 しきのちらしがき
[異称]なし。
[書型]特大折本一帖。
[作者]坂川暘谷(芝泉堂)書。岡部暘鵬跋。
[板種]文政一三年(一八三〇)夏跋・刊。
文政一三年板(江戸・和泉屋吉兵衛)*逓博。
[類型]男筆手本。
[内容]三段〜五段の散らし文(大字・無訓)からなる特大折手本。四季の風景や季節ごとの行事に関する女文が中心で、梅の時節の手紙の返事から始まり、桜狩りの誘引状、卯の花が咲く夏の風情を伝える手紙、五月雨の季節に訪問を乞う手紙、初秋の和歌を拝見したい旨を伝える手紙、追灘の故事に触れた手紙など、四季折々の女文一一通を収録する。
[備考]冒頭部「軒端にかよふ夕風は誰か袖ふれし梅のにほひ、春の夜のあやなきやみにも香はかくれなくしる人ならてはと、御床しき折節、御細々との御ふみ下され忝さ、はるの宵の一時を千金にたとへし言の葉おもひ出まいらせ候。ちと御出待入まいらせ候。かしく」。なお、見返は青色刷。また巻末に芝泉堂筆の手本として『庭訓往来』『書札詩歌仮名文』『集芳帖』『商売往来』『四季詩歌』の五本を紹介する。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

【天保 一八三〇〜四四】

276 御家 女用文宝箱
 おんなようぶんたからばこ
[異称]見返題『御家流 女用文宝箱』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保三年(一八三二)六月刊。
天保三年板(江戸・山田佐助、英大助、森屋治兵衛)*小泉・上田市図・ノートルダム清心。
天保三年板(江戸・森屋治兵衛)*弘前市図。
[類型]用文章。
[内容]文化一四年(一八一七)刊『年中女用文章』を小型・簡略化した女用文章。各丁の字配りなどもそのまま写したダイジェスト版で、大本の文化板を約二分の一の中本サイズにしてある。内容は『年中女用文章』のうち「正月の文」から第一〇〇丁までと巻末の「ちらし書の文(ちらし書四季の文章)」を含む五八通(ほとんどが往復文)の例文を抄録したもので、ある程度の分類意識に基づいて、前半二四通に四季折々の手紙(ただし一一月・一二月相当の例文を欠く)、後半に諸用件についての手紙(礼状・誘引状・祝儀状・借用状・見舞い状・悔み状など)を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿いづかたもおなし御事にいわひおさめまいらせ候」。見返に「錦森堂(森屋治兵衛)板」とある。弘前市図本は巻末に錦森堂の蔵板書目を載せ、末尾に須原屋茂兵衛から森屋治兵衛までの二七書肆を列記する。なお、文化五年(一八〇八)刊『文化女用文章』広告中に「女用文宝箱」の書名が見える。本書または刊年不明板(後掲)を指すものか。
[所蔵]他に福井市図。
[複刻]なし。

277 女用文増鏡
 おんなようぶんますかがみ
[異称]なし。
[書型]中本一冊。
[作者]青木至誠(臨泉堂)書。
[板種]天保三年(一八三二)頃刊か。
刊年不明板(江戸・森屋治兵衛)*江森。
刊年不明板(江戸・英大助ほか刊)*酒田市図・謙堂。
[類型]男筆用文章。
[内容]「正月の文」以下、三四通(「正月の文」「寒中見舞いの文」にはそれぞれ二通の散らし書きの手紙を入れるため実質的には三八通)の文例を収めた女用文章。前半に五節句・四季の文を、後半に「婚礼悦のふみ」「安産悦のふみ」「人をまねく文」「物を借につかはす文」「わたまし悦の文」などの雑文章を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿、いづかたもおなし御事にいわひ納まいらせ候」。 天保三年刊『女用文宝箱』(森屋治兵衛板)広告中。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

278 女用文章往かひ振
 おんなようぶんしょうゆきかいぶり
[異称]見返題『婦宝文庫』。目録題『年中用文章』。
[書型]大本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保四年(一八三三)刊。
天保四年板(江戸・須原屋茂兵衛、須原屋伊八)*謙堂・家政学院大・玉川大(「女年中用文章」「婦人の玉つさ」)・学芸大・樟蔭女子短大・成田。
天保四年板(江戸・須原屋茂兵衛、須原屋伊三郎)*小泉。
[類型]用文章。
[内容]女消息例文のほか種々の付録記事を盛り込んだ大部な女用文章。本文「年中用文章」は四季折々の贈答・挨拶状を主とする例文で、「年始の文」から「歳暮のふみ」までの二九通を大字六行・付訓の並べ書きで記す。冒頭部に数行折り返して書く「返書(「なをなを」「返す返す」等で始まる追伸文)」を伴う例文も多い。このほか二〇丁以上に及ぶ前付部分にも、貴人への新年祝儀披露状を始めとする散らし書き四季消息一三通を収録し、読方を丸付き数字で示す。巻頭には「能書絶妙の図」「清少納言の奇才」「三十六歌仙絵抄」「婦女五徳之略解」「御厨子・黒棚錺様式法」「婦人可見之書物」等、また、頭書に「伊呂波文字のおこり」「教訓伊呂波歌対画」「扇・団に物書法」「倭語来由并仮名遣法」「婦人通用文字尽」「女日用製服の心得」「長生不老養生の事」「源氏目録文字くさり」「女文江都名所往来」「女中諸病妙薬箱」「御所洗粉の方」「懐胎養生指南」「万食物くひ合の事」、さらに巻末に「年中文の詞種」「香道初心抄」「銘香名寄文字くさり」等の記事を収録する。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候このはるの御寿何方も同じ御事に祝ひ納めまいらせ候」。
[所蔵]他に東書・ノートルダム清心・旧開智。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二〇。

279 女用筆の枝折
 にょようふでのしおり/じょようふでのしおり/おんなようふでのしおり
[異称]なし。
[書型]半紙本一冊(中本仕立もあり)。
[作者]西川竜章堂(閑斎・美暢・正造)書。
[板種]天保五年(一八三四)九月刊。
天保五年板(京都・大文字屋得五郎、丁子屋源次郎)*小泉・岸和田高・日大(旧荏川)・筑波大。
天保五年板(京都・丁子屋源次郎、丸屋善兵衛)*金沢市図・國學院大・玉川大。
[類型]男筆用文章。
[内容]五節句や四季折々の女文を中心に集めた女用文章。冒頭に「年始の文ちらし書」一通を掲げ、以下ほとんどが並べ書き(「八朔の文」のみ散らし書き)で「初春祝儀の文」から「出立歓びの文」までの合計五一通を収録する。ほぼ五節句・通過儀礼・年中行事その他の順に収録する。本文中に庶民女性の四季行楽図四葉を挟む。また、巻頭に若干の女子教訓と挿絵、「十二月異名」を掲げる。
[備考]冒頭部「初春の御寿、御めでたさ申あげ奉り度さ、御まゑ様まで申上まいらせ候」。題簽書名は朱色刷。
[所蔵]他に金沢市図。
[複刻]なし。

280 四季要文 女風月往来
 おんなふうげつおうらい
[異称]柱題『女風月』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]堀原圃(赤鯉亭)作。西川竜章堂(閑斎・美暢・正造)書。森川保之画。
[板種]天保五年(一八三四)一一月刊。
天保五年板(京都・山本長兵衛、小川源兵衛、丸屋善兵衛、山城屋佐兵衛、菱屋孫兵衛、林権兵衛)*謙堂。
天保五年板(京都・山本長兵衛、小川源兵衛、丸屋善兵衛、山城屋佐兵衛、菱屋孫兵衛、額田正三郎)*三次市図。
刊年不明板(京都・花鳥軒 *刊記欠)*逓博。
[類型]男筆用文章。
[内容]四季折々の風景や風物を中心とする一二通の例文からなる女用文章。各例文は、一月歌会の兼題、二月鶯の贈り物、三月花見誘引、四月初瀬寺参詣の話、五月菖蒲の贈り物の礼、六月訪問の可否、七月北野天満宮参詣、八月名月の会、九月重陽の節句祝儀、一〇月源氏香・軍香の会、一一月初雪の嵐山散策、一二月歳暮祝儀を主題としたものである。なお、頭書には「上巳雛祭の来由(女子教訓を含む)」と、地理科往来の「女参宮状」を掲げる。
[備考]冒頭部「初はるの御寿幾久しく申籠まいらせ候」。『近世京都出版文化の研究』によれば、天保一五年頃に京都・吉野屋仁兵衛の蔵板。
[所蔵]他になし。
[複刻]『往来物大系』九三巻/『女子用往来物分類集成』R一七。

281 女文章大和錦
 おんなぶんしょうやまとにしき
[異称]なし。
[書型]半紙本一冊。
[作者]池田東籬亭作・序。西川竜章堂(閑斎・美暢・正造)書。菱川清春画。
[板種]天保六年(一八三五)一月刊。
天保六年板(京都・吉野屋仁兵衛、蓍屋宗八、伏見屋半三郎)*国会・玉川大・樟蔭女子短大・大英図・國學院大・謙堂。
刊年不明板(江戸・須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛、小林新兵衛、岡田屋嘉七、大阪・敦賀屋九兵衛、河内屋喜兵衛、河内屋和助、京都・蓍屋宗八、蓍屋幸助、蓍屋嘉助)*吉海。
刊年不明板(京都・吉野屋仁兵衛)*学芸大・三康図。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始の文」から「枡懸の文・同返事」までの一一五通を収録した女用文章。前半に四季・五節句の文など四季の手紙や、結納・婚礼・出産・髪置・元服等の祝儀文を掲げ、続いて後半に各種依頼状・見舞い状などを載せる。なお、巻末に「封じやう」「脇付の事」「月々のかはり名」の記事を付す。
[備考]冒頭部「あら玉りぬる春の御寿、千里の外までも尽しなき御目出たさ、かず祝ひ納まいらせ候」。巻頭序文・口絵は色刷(口絵単色刷もあり)。また、色刷模様表紙の装丁あり。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二二。

282 女用文艶詞
 おんなようぶんつやことば
[異称]なし。
[書型]小本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保九年(一八三八)頃刊。
刊年不明板(江戸・和泉屋市兵衛か)*小泉・謙堂。
刊年不明板(江戸・和泉屋市兵衛か *「百人一首」と合)*学芸大。
[類型]用文章。
[内容]四季や五節句の文を主とする小本の女用文章。「年始に遣す文」から「振舞に招く文」までの三四通を収録する。このうち五節句・歳暮祝儀状については、相手の上・中・下別の例文も示す。また、本文中に見開きで五節句の風景を描いた挿絵を掲げるほか、頭書に「女たしなみ草」「裁物秘伝」「目録折紙書様」「進物積様之図」「女中文の封じやう」などを載せる。なお、本書後半に「百人一首」を合綴したものもある。本書には刊記がないが、天保九年(一八三八)刊『女今川宝嶋台』(江戸・和泉屋市兵衛板)に本書の広告が見えるため、この頃の刊行であろう。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候此春の御めてたさ、いつ方まても限りなく祝入まいらせ候」。小泉本中に天保一二年の書き入れがあるため、本書の初刊は確実にそれ以前である。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R三二。

283 頭書女用 女今川小倉錦
 おんないまがわおぐらのにしき
[異称]書名は外題による。見返題『女今川入 女用文小倉錦』。柱『小倉』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保一〇年(一八三九)三月刊。
天保一〇年板(江戸・岡田屋嘉七、小林新兵衛、英大助、西宮弥兵衛、須原屋茂兵衛)*学芸大。
[類型]用文章。
[内容]外題と内題が異なるが、本書は「女用文章」と「女今川」を合綴した往来である。前半の女用文章は「正月の文」から「わたまし悦の文・同返事」までの三八通を収録するが、大半が五節句・四季の手紙で末尾に婚礼祝儀状や花見誘引状ほかを載せ、一部貴人とやりとりする場合の例文(仰書・請状)も含む。後半の『女今川』は沢田吉作の元禄一三年(一七〇〇)板系統のものである。なお頭書には「女教平生益鏡」「婦人七去の事」「婚礼之図式」「飲食給様心得」「女手習状」「人間一生涯祝事」等の記事を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿、何方もおなし御事にいわひ納まいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二三。

284 民間当用 女筆花鳥文素
 にょひつかちょうぶんそ
[異称]柱題「花鳥文素」。
[書型]半紙本一冊。
[作者]蓑笠翁(滝沢馬琴)作。内山松陰堂書。錦森堂(森屋治兵衛)跋。
[板種]天保一〇年(一八三九)三月刊。
天保一〇年板(江戸・森屋治兵衛)*小泉。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始に遣す文」から「歳暮のふみ・おなじく返事」までの三五通を収録した女用文章。四季・五節句の手紙を始め、婚礼・出産・病気・死去の際の手紙や、物の貸借など諸用件の手紙からなる。全文が返す書き(追伸文)のある並べ書きになっている。「女筆」と称するがいわゆる「女筆手本」ではなく、また作者・筆者ともに女性ではない。また、巻頭に「文のをはりにかしくと書事」「仮名の書やうこゝろえある事」「いろはの正字」、巻末に「文の書様のこゝろえ」の記事を載せる。
[備考]冒頭部「あらたまりぬる此春の御ことぶき、千里の外までもおなじ御事にいはひ納まいらせ候。まづ其御両親様御はじめ、みな様御そろひあそばし、御機嫌よく御としかさねさせられ、御繁昌の御こと万々歳、かぎりのう御めでたくそんじあげまいらせ候」。なお、巻末広告中に『東都風流 女中用文』『貞女ちらし文』『即席女用文』の書名が見えるが、いずれも未刊らしい。また、江戸後期刊『諸用早便』の巻末広告に「馬琴作、松陰筆、女筆花鳥文章、半紙本、一冊」と記す。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

285 冠註 月次消息
 つきなみしょうそく
[異称]不明。
[書型]大本一冊。
[作者]長浜宗仙編。増田冬蔭書。
[板種]天保一〇年(一八三九)序・刊。
刊年不明板*都立中央・国会。
[類型]男筆手本か。
[内容]不明。
[備考]なし。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

286 女用文章宝かゝ美
 おんなようぶんしょうたからかがみ
[異称]見返題『女用文章宝鑑』。
[書型]大本一冊。
[作者]玉亭常麿画。
[板種]天保一一年(一八四〇)一月刊。
天保一一年板(江戸・須原屋茂兵衛)*小泉・江森・謙堂・ 玉川大・家政学院大・都立中央・小松・成田・ノートルダム清心・東書・家政大・旧開智。
[類型]用文章。
[内容]「正月のふみ」から「歳末のふみ」までの四季女文(並べ書き)を主とした三三通と「ちらし書四季の文章」四通の合計三七通を収録した女用文章。なお、巻頭に「六歌仙」「六玉川の歌」「五節句歌」等、頭書に「文のかへことば」「東都十景」「替文章」「男女一代守本尊」「男女相性并歌」「同相性極秘伝」「懐妊帯する日」「胎内の子男女を知る」「諸病の妙薬」「染物ひでん」「万しみもの落様」「今容櫛笄簪形」「裁物秘伝」などの記事を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿何かたもおなし御事に、いわひおさめまいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二〇/『日本教科書大系往来編』一五巻。

287 女用手習鏡
 おんなようてならいかがみ/じょようてならいかがみ
[異称]目録題『女用文章手習鏡』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]田中秋麿(=板元)編・序。松川半山画。観章堂書。
[板種]天保一二年(一八四一)一月補刻。
天保一二年板(江戸・須原屋茂兵衛、須原屋伊八、山城屋佐兵衛、岡田屋嘉七、西宮弥兵衛、京都・丸屋善兵衛、大阪・秋田屋太右衛門)*謙堂・大英図・小松・ノートルダム清心。
刊年不明板*小泉。
[類型]男筆用文章。
[内容]「四季の部」と「雑の部」の二部に分けて例文を集録した女用文章。「四季の部」には「初春祝儀文」から「歳暮のふみ・同かへし」までの三七通、「雑の部」には「神事によびに遣文」から「元服祝儀文」までの二二通、合計五九通を収録する。「雑の部」はほとんどが吉凶事に伴う手紙である。また頭書に「大日本国尽」「御所洗粉の方」「懸香・匂袋方」「文言葉つかひ」「五節句故事」「対名の事」「小笠原折かた」「封じやうひな形」「十二月の異名」を掲げる。
[備考]冒頭部「はつ春の御寿いはゐ納まいらせ候」。 なお本書に約二〇通の例文を増補した『増補 女用手習鏡』が嘉永二年(一八四九)に刊行されている。
[所蔵]他に学芸大・日大。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二〇。

288 女文章躾鑑
 おんなぶんしょうしつけかがみ
[異称]目録題『女中用文章』。尾題『女用文章』。
[書型]横本一冊。
[作者]山田野亭(好花堂)編。池田東籬亭書。
[板種]天保一四年(一八四三)春刊。
天保一四年板(大阪・河内屋喜兵衛、河内屋茂兵衛、京都・大文字屋与三兵衛)*江森・東大。
[類型]男筆用文章。
[内容]女用文章に生活百科的な記事を収録した横本の往来物。巻頭の付録記事が重宝記風に多彩で、「婦人一生道中記細見図(色刷)」「女子一生の教訓」「仕立物心得之事」「衣服たつ心得の事」「女中文認やうの事」「縁遠き女の守符」「妊娠の心得」「女重宝妙薬秘伝」「万しみおとしの法」「四季惣菜の心得」「男女相性善悪」「一代守本尊の事」「灯花のうらなひ」「夢はんじの事」など手紙・暦占・妙薬その他生活全般についての多くの記事を載せる。これら前付に続く本文には、四季・五節句の文、結納・婚礼・出産・疱瘡見舞などの消息文二七通を収録するが、うち末尾三通(「娘へ異兄の文」〜「妊娠の人へ遣す文」)は案文というよりも手紙文形式で綴った教訓である。また巻末に「十二月異名」を載せる。なお、巻頭付録記事のみを単行本仕立てにしたものが『女嗜日用宝(女中嗜日用宝)』である。
[備考]冒頭部「新玉の御寿限なふ目出たく申納まいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]『往来物分類集成』R二八。

289 女用文倭錦
 おんなようぶんやまとにしき
[異称]見返し題『 年中日用 女要文通大全』。
[書型]大本一冊。
[作者]皆川惟馨(文庵・麟之振・筆学堂)書・跋。
[板種]天保一四年(一八四三)七月跋・刊。
天保一四年板(江戸・皆川麟之振蔵板。山口藤兵衛、藤岡屋慶次郎、和泉屋市兵衛、森屋治兵衛、山崎屋清七、本屋藤助売出)*小泉。
刊年不明板(江戸・和泉屋市兵衛 *後印)*謙堂・早大・小松。
[類型]男筆用文章。
[内容]「正月のふみ」以下五節句・四季・婚礼・貸借・病気・死去・参宮に伴う女文(悔状を除き往復文)五七通を集録した女用文章(大字手本用に作る)。全て並べ書きで書かれており、多くの例文に猶々書き(追伸文)を付す。また、巻末には、四季の女文一一通を多様な散らし書きで綴った「ちらし書四季の文章」を付する。
[備考]冒頭部「初春の御寿いつちもおなし御事といわひ納めまいらせ候」。色刷模様表紙本あり。
[所蔵]他に国会ほか。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二〇。

290 女用文章姫鑑
 おんなようぶんしょうひめかがみ
[異称]見返題『御家流 女用文章姫鑑』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保一四年(一八四三)九月刊。
天保一四年板(大阪・石川屋和助ほか)*昭和女子大。
嘉永頃板(京都・堺屋仁兵衛 *見返には「東都書舗・文好堂梓」とあり)*玉川大。
刊年不明板*玉川大。
[類型]用文章。
[内容]文化九年(一八一二)刊『女用文独稽古』のうち第一部「四季十二ヶ月の文づくし」だけを抄録して編んだ海賊版。すなわち、「初はるの文」から「歳暮の文」までの四季の女文(往復文)四二通を収録する。例文はいずれも四季の行事や風物にちなんだもので、五行・並べ書きを基本とするが随所に散らし書きも採り入れる。なお、江戸後期刊『女用文操鑑』は、付録記事を含め本書と全く同じである。
[備考]冒頭部「初春の御寿限なふいはゐ納まいらせ候」。なお、刊年不明の堺屋板の広告中に『嘉永新刻 平安人物志』の書名が見える。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

291 女用文宝蔵
 おんなようぶんたからぐら
[異称]不明。
[書型]中本一冊。
[作者]松亭漁夫序。貞房画。
[板種]天保一四年(一八四三)刊。
天保一四年板(江戸・吉田屋文三郎)*家政学院大。
刊年不明板(江戸・藤屋棟助 *嘉永五年以前刊)*家政学院大。
[類型]男筆用文章か。
[内容]天保(一八三〇〜四四)頃刊『女年中文案詞』と同内容。『女年中文案詞』と本書のいずれが先かは不明だが、本書には貞房の口絵「手習い図」二丁を加える点で異なる。「年始之文」から「歳暮之文」までの往復文三〇通を収録した女用文章で、五節句・四季の手紙のほか、出産・結納・婚礼等の祝儀状や「奉公へ出る人へ遣す文」「病気見舞之文」「新宅移徙之文」なども含む。頭書に「近江八景并歌」「女手習教訓状」「女今川教訓状」「女教筆の愛」「婦人平生和訓」ほかを載せる。
[備考]冒頭部「新玉の春の御寿いつ方も同し御事に祝ひ納まいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

292 袖中かな文
 しゅうちゅうかなぶみ
[異称]不明。
[書型]小本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保一五年(一八四四)以前刊。
刊年不明板(京都・吉野屋仁兵衛)*『近世京都出版文化の研究』。
[類型]用文章か。
[内容]不明。
[備考]なし。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

293 女年中文案詞
 おんなねんちゅうぶんあんことば
[異称]不明。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]天保(一八三〇〜四四)頃刊。
刊年不明板*玉川大。
[類型]用文章。
[内容]天保一四年(一八四三)刊『女用文宝蔵』と同内容(ただし口絵を省く)。「年始之文」から「歳暮之文」までの往復文三〇通を収録した女用文章。五節句・四季の手紙の間に、出産・結納・婚礼等の祝儀状や「奉公へ出る人へ遣す文」「病気見舞之文」「新宅移徙之文」などを挟む。また巻頭に「文字の始」「書初乃詩歌」「婦人御所大和言葉」「女中文の封じやう」、頭書に「近江八景并歌」「女手習教訓状」「女今川教訓状」「女教筆の愛」「婦人平生和訓」ほかを載せる。なお、本書の改題本に『女童用文章』や明治初年刊『皇国女用文宝箱』(後者は前付等一部変更)がある。
[備考] 冒頭部「新玉の春の御寿いつ方も同し御事に祝ひ納まいらせ候」。天保九年(一八三八)刊『女今川宝嶋台』広告中。なお玉川大本には「嘉永七年」の書き入れがある。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

【弘化 一八四四〜四八】

294 女雅俗要文
 おんながぞくようぶん
[異称]明治二四年板の外題は『雅俗女用文』。見返題『御家 女雅俗要文』。序文中に『雅俗女要文』と表記する。
[書型]半紙本一冊。
[作者]為永春水作(遺稿)。梅沢敬典(月林園)書・序。
[板種]弘化三年(一八四六)一月序・刊。明治二四年(一八九一)一〇月求板。
弘化三年板(江戸・英文蔵)*小泉・謙堂・都立中央・学芸大・成田。
明治初年板(東京・須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛、小林新兵衛、和泉屋吉兵衛、伊藤清九郎、和泉屋勘右衛門、須原屋伊八、英屋文蔵、嶋屋平七、福田屋勝蔵)*謙堂。
明治二四年板(東京・武田伝右衛門)*謙堂・東大・都立中央。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始文」から「歳暮のふみ・同返事」までの並べ書き六三通と、「年始散文三段の躰」から「祝言歓挨拶の文」までの散らし書き一〇通の合計七三通を収録した女用文章。並べ書きは大字六行・付訓だが、散らし書きは無訓である。四季順に配列された季節の女文中に、種々用件の手紙を挿む。季節の行事や遊山事に関する例文が多く、文中には「角田川の花」「向島」「熱海入湯」「箱根の山路」「綾瀬川」「柳島妙見堂」「江嶋詣」といった江戸近辺の名所が随所に見える。なお、明治二四年に『雅俗女用文』と改題された。
[備考]冒頭部「松がえの翠色そふ此春の御寿、千さともおなじ御事に御めて度祝ひ納めまいらせ候」。見返は青色刷(明治二四年求板本は二色刷)。巻末に英文蔵の蔵板書目等を合綴する(弘化三年板)。彫工は高谷熊五郎。なお、明治二四年求板本では、序文の年号が削除された。
[所蔵]他に栃木県図。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二〇。

295 女文章初雁金
 おんなぶんしょうはつかりがね
[異称]なし。
[書型]大本一冊。
[作者]松暘山(川竜軒・昌泉堂)作・書。
[板種]弘化四年(一八四七)一二月書・刊。
弘化四年板(江戸・和泉屋吉兵衛)*国会・長野県図。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始之文」から「賀の祝ひの文」までの三三通と「五節のちらし文」五通を収録した女用文章。四季・年中行事に関する手紙が大半を占め、後半に徙移・大風・火事など吉凶事に伴う書状を数通掲げる。大字五行の並べ書きを基本とし、返書(追伸文)を伴う例文が多い。頭書には「女中生涯心得草」「食物製造并貯方」「衣服裁縫の事」など家政全般の記事を載せる。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候此春の御寿き、千里の外迄もおなじ御事に御祝ひ申納まいらせ候」。天保八年(一八三七)刊『女今川 并 十二月和歌』広告には「京仙堂筆」とある。
[所蔵]他に祐徳。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二二。

【嘉永 一八四八〜五四】

296 御家 女文鏡
 おんなふみかがみ/おみなふみかがみ
[異称]『女用文鏡大全』(『江戸時代尾州書林書肆別出版書目集覧』)。
[書型]横本一冊。
[作者]林玄教堂編・書。翰林子序。
[板種]嘉永元年(一八四八)作・刊。
嘉永元年板(名古屋・三友堂東八か)*玉川大。
[類型]男筆用文章。
[内容]「初春の文」以下六六通を載せた女用文章。五節句や四季に伴う手紙、女性の通過儀礼に伴う手紙、「留守見舞文」などの見舞状、「花見誘の文」などの誘引状、また、依頼状などを収録する。なお、最後の一通は「御触書請取」で、女用文章中にこの種の例文を載せるのは珍しい。
[備考]『江戸時代尾州書林書肆別出版書目集覧』によれば。名古屋・万屋東平蔵板。なお、玉川大本には刊記はないが、製本所・三友堂東八の朱印を押す。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

297 増補 女用手習鏡
 じょようてならいかがみ
[異称]目録題『増補女用文章手習鏡』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]田中秋麿(=板元)編・序。観章堂書。松川半山画。
[板種]嘉永二年(一八四九)一月増補再刊。嘉永六年(一八五三)七月三刻。
嘉永二年板(江戸・須原屋茂兵衛、須原屋伊八、山城屋佐兵衛、岡田屋嘉七、京都・丸屋善兵衛、大阪・秋田屋太右衛門)*学芸大。
嘉永六年板(江戸・須原屋茂兵衛、須原屋伊八、山城屋佐兵衛、岡田屋嘉七、京都・丸屋善兵衛、大阪・秋田屋太右衛門)*謙堂・日大・古川市図。
[類型]男筆用文章。
[内容]天保一二年(一八四一)刊『女用手習鑑』(五九通の消息文例を収録)に、「宿這入悦の文」から「奉公人頼みぶみ」までの二三通を増補したもの(合計八二通)。増補部分はほとんどが日常の諸事に関する手紙であり、『女用手習鏡』の「雑の部」について増補を試みたのが本書であるといえる。なお、増補部分の頭書には「女消息往来」「女中名づくし」「衣服裁縫指南」などの記事を載せる。
[備考]冒頭部は天保一二年刊『女用手習鏡』に同じ。見返は青色刷。
[所蔵]他に吉海。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二三。

298 女文章日用教草
 おんなぶんしょうにちようおしえぐさ
[異称]不明。
[書型]三巻三冊(大本か)。
[作者]猪瀬尚賢書。
[板種]嘉永二年(一八四九)頃刊か。板元・和泉屋吉兵衛。
[類型]男筆用文章。
[内容]嘉永二年刊『女婚礼国尽』広告中に「女文章日用教草、三冊、近刻。此書はありふれたる文言と違ひ、さる御殿に久しく勤られし老婦人と、物なれたる老尼の案文にして、先生みつから手をとり教ることく、手本にしたゝめられし書なり。上之巻一冊、御殿かたにて御祐筆衆の取扱ふへき奉文の躰を集め、巻の末にちらしふみ数章をのする。中之巻一冊、年始、寒暑、吉事、凶事取遣のふみを集め、主従、親子、姉妹等の差別をもつて文言の上下をわかつ。下之巻、日々要用のふみをあつめ、文言のはたらきを散し書なれは、いたつて重宝なり」とある。
[備考]未刊の可能性もある。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

299 女用文章
 おんなようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]中本一冊。
[作者]墨池堂竜圭書。
[板種]嘉永三年(一八五〇)一〇月刊。
嘉永三年板(江戸・山口屋藤兵衛、菊屋幸三郎、藤岡屋慶次郎、吉田屋文三郎)*小泉。
刊年不明板*弘前市図。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始のふみ」から「婚礼之文・同返事」まで三二通を収録した簡易な女用文章。大半が四季に伴う手紙である。そのうち、年始状の一通を散らし書きにしてある。
[備考]冒頭部「初春の御ことふき御めてたさ、千里もおなし御事に祝納まいらせ候」。題簽朱色刷。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

300 増補 女一寸案文大全
 おんなちょっとあんもんたいぜん/おんないっすんあんぶんたいぜん
[異称]見返題『婦人日用 女一寸案文』。
[書型]中本一冊。
[作者]文会堂編。松堂書。
[板種]嘉永四年(一八五一)五月再刻。
嘉永四年板(江戸・須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛、岡田屋嘉七、和泉屋吉兵衛、山田佐助 *後印)*東大。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始の文」から「雪見舞のちらし」までの四九通を収録した女用文章。主に前半部に四季行事など各月の例文を納め、後半に女性の通過儀礼や吉凶事に伴う例文を載せる。ここまでは全て大字五行・付訓の並べ書きで綴るが、さらに末尾には四季の散らし文九通を収める。内容上特に際だった特色はないが、王子稲荷参詣、小船町天王祭礼、上野・日暮里(「ひぐらし」と読ませる)遊覧、両国山田屋、柳橋といった江戸庶民に馴染みのある風物や地名を点在させて雰囲気を出した点は特徴的である。また巻末に「女中名つくし」「片かないろは」など若干の記事を付す。なお、男子用の『一寸案文』のように本文冒頭が「一寸」で始まる例文はない。
[備考]冒頭部「初春の御寿千さともおなし御事にいわゐおさめまいらせ候」。本書の初刊年は不明。
[所蔵]他になし。
[複刻]『往来物分類集成』R二八。

301 女教 女用文章袖硯
 おんなようぶんしょうそですずり
[異称]見返題『頭鼇・深窓必用 女用文章袖硯』。柱『女用文』。一名『女用文袖硯』。
[書型]中本一冊。
[作者]笠亭仙果編。凌雲書。
[板種]嘉永四年(一八五一)頃刊。
刊年不明板(江戸・山本平吉)*東大・小泉。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始披露の文」から「年賀悦の文」までの四〇通を収録した女用文章。五節句や四季行事に関する手紙、髪置・婚礼・出産その他慶事や病気・死去・大風等の凶事に伴う手紙など多くが一般的内容だが、「衣類借に遣す文」「金子借りに遣す文」「金子断の文」「金子催促の文」「約束変改の文」のように庶民の実際生活に即した文面が目立つのが特徴である。全文を並べ書きで綴る。また、頭書には「手紙認方心得の事」「進物目録上書の事」「色紙・短冊其外歌書書様」「仮名格の大旨」「万の物包様・折形口伝」「結び物の口伝」「大和詞」「いろは早引みやび詞の注」「歌道早稽古」「箏・三絃の名所」「女中諸病妙薬」「万しみ物おとし様」「古今染色名目」「教訓誰身上」など多彩な記事を盛り込む。なお、本書の本文のみをとって作者名を隠蔽した改題本に江戸後期刊『女用文袖鏡』がある。
[備考]嘉永三年刊『女今川千代寿』(山本平吉板)広告中に「女用文袖硯/新刻/世に女用文章多しといへ共、皆古風の文言多くして当時にたがへり。此書は今様の文をもつはらとなし、殊に手本向専一にして、頭書には女子日々に重宝たる事を多く書あらはしたれば、文書ん事をながふ女子方にはまことに有益の珍書なり」と記す。また嘉永四年『女小学操鑑』広告中。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

302 女用文宝鑑
 おんなようぶんたからかがみ
[異称]不明。
[書型]大本一冊。
[作者]楳亭金鵝編。
[板種]文政五年(一八二二)頃初刊か。嘉永六年(一八五三)刊。
嘉永六年板*旧開智。
[類型]男筆用文章か。
[内容]本書の改題本(外題替え)が『女用文操車』という。
[備考]『大坂本屋仲間記録』に「女用文宝鑑外題改、女用文操車、勝六・河喜」とある。なお、文政五年刊『女今川園生竹』広告中にも本書の書名が見える。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

303 錦橋堂・改正 女中用文玉手箱
 じょちゅうようぶんたまてばこ
[異称]柱題『女用文』。
[書型]中本一冊。
[作者]山東京山作・序。松岡鶴斎書。
[板種]嘉永四年(一八五一)二月作・序。嘉永六年(一八五三)春刊。
嘉永六年板(江戸・山田屋庄兵衛)*謙堂・成田・学芸大・小松・竹清・国会。
[類型]男筆用文章。
[内容]五節句・四季の手紙や女子一生の祝事に関する祝儀状などを集録した女用文章で、特に、故実や書簡作法に詳しい記事を付録するのが特徴。冒頭に「往古の女の消息」と題して女子消息の由来を『源氏物語』『読詞花集』などから考証し、以下、「初春のちらし文」〜「家督成の喜び」「同娵よりへんじ」の三二通の例文を掲げる。冒頭の七通で散らし書きや返す書きの書き方を示す。例文中の語句のルビはそれ程多くはなく、まれに語注や書簡作法についての注記を施す。巻末には脇付・封じ目についての知識や、女文に月日を書かない理由などを『女房秘抄』から引きながら説明する。また、頭書「秀閨一夕話」は「めて度かしくとかく事」「まゐらせ候の本字」などの書簡用語や、女性の称号、化粧(道具)の故事来歴などについて紹介する。なお、本書は部分的に改編され、明治初年に「島田豊三郎輯」として『開化女用文章』の名で再刊されている。
[備考]冒頭部「新りまゐらせ候初春の御祝儀、千とせを寿喜、万代を契りて御めてたく仰進せられ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二〇。

304 女用文章指南車
 おんなようぶんしょうしなんぐるま
[異称]目録題『女文章指南車』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]巽行精(巽太郎・静庵)作・書・序。松川半山画。
[板種]嘉永四年(一八五一)五月書。同九月序。嘉永五年一月出願、板元・柏原屋清右衛門。嘉永五年八月免許、開板人・柏原屋清右衛門、当時板元・伊丹屋善兵衛(『大坂本屋仲間記録』)。嘉永六年三月初刊。
嘉永六年板(江戸・須原屋茂兵衛、京都・丸屋善兵衛、大阪・河内屋吉兵衛、秋田屋市兵衛、柏原屋清右衛門)*小泉・ノートルダム清心。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始の文」から「家督祝儀の文・同返事」までの五一通の消息文例を収録した女用文章。最初に四季・五節句や季節の行事に伴う書状を収め、続いて、新宅祝い・結納・鉄漿付け・婚姻・部屋見舞い・帯の祝い・出産・七夜・宮参り・髪置き・袴着・元服・家督相続といった一生の祝事に伴う書状を収録する。このように季節の手紙と各種祝儀状だけを載せ、日常諸事に関する手紙が見えないのが特色である。文面の表記も散らし書きや追伸文などのバリエーションにも配慮されている。
[備考]冒頭部「新玉りぬる初春の御ことぶき、何かたもおなじ御事に祝ひ納めまいらせ候」。本文の飾り罫は茶色刷。
[所蔵]他に金刀比羅。
[複刻]他になし。

【安政 一八五四〜六〇】

305 頭書 女用文袖珠
 おんなようぶんそでのたま
[異称]見返題・目録題『女用文章』。柱『袖珠』『玉章』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]井亀道人編・書か。
[板種]安政四年(一八五七)初刊。明治初年再刊。
安政四年板(江戸・井上氏蔵板。大阪・河内屋茂兵衛、江戸・山城屋佐兵衛売出)*吉海。
明治初年板(大阪・岡田茂兵衛)*小泉・学芸大。
[類型]男筆用文章か。
[内容]「年始の文」〜「年賀祝儀の文」の七四通を収録した女用文章。五節句や季節に関する手紙と吉凶事に伴う祝儀状・見舞い状・依頼状・その他諸事についての手紙からなる。なお、頭書には、「六歌仙之図并和歌」を始めとする和歌・琴・婦人言葉遣い・産前後養生・女子消息・四季衣装・裁縫・男女相性などの種々の記事とともに、「女消息往来」「都名所」「隅田川名所」「浪花名所」「源氏短歌」「女実語教」等の往来を収録する。このほか初板本の刊記には「潮汐之満干」「和歌六体之事」を記す。
[備考]冒頭部「初春の御寿、千里をかけて同じ御事に目出たく祝納まいらせ候」。本書の体裁および本文の字体が安政四年(一八五七)刊『安政用文章』(井亀道人編)と同一である。に酷似する。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

306 四時贈答 女用文章
 おんなようぶんしょう
[異称]不明。
[書型]半紙本一冊。
[作者]浅井先生作・書。
[板種]安政六年(一八五九)刊。
安政六年板(江戸・蔦屋吉蔵ほか)*宮教大。
[類型]男筆用文章。
[内容]不明。
[備考]なし。
[所蔵]他に祐徳。
[複刻]なし。

【万延 一八六〇〜六一】

307 永福女用文章/女日用玉文庫
 えいふくおんなようぶんしょう/おんなにちようたまぶんこ
[異称]目録題『女日用玉文庫』。柱題『女用文』(刊年不明、菊屋板)。
[書型]中本一冊。
[作者]佐藤掬泉堂書・序。
[板種]天明三年(一七八三)一〇月初刊。 天保一四年(一八四三)二月再刻。 万延元年(一八六〇)一一月補刻。
天明三年板*万延元年板の刊記による。
天保一四年板*万延元年板の刊記による。
万延元年板(江戸・菊屋幸三郎 *外題『永福女用文章』)*吉海・筑波大。
刊年不明板(江戸・菊屋幸三郎 *外題『女日用玉文庫』、柱題『女用文』。上記前半六五丁までの抜刷本)*筑波大。
明治初年板(東京・和泉屋市兵衛)*小泉・吉海。
[類型]男筆用文章。
[内容]「正月の文章」から「年賀の文」までの七一通を収録した女用文章。季節の手紙から、日常生活上の諸用件の手紙まで一通りを収録する。四季の女文や婚礼・出産・移徙祝儀状その他に各種の散らし書きを示すが、「人をまねく文」や「疱瘡見廻の文」といった例文にも散らし書きを用いているのは独特である。また「手習はしめ祝の文」「和歌まなひの文」「躾方弟子入頼のふみ」といった教育に関する例文も目立つ。さらに、「料理献立誂遣す文」は九丁に及ぶ極めて長文の例文で、「三方かさりのし/三ッ組盃台」以下の献立を詳細に紹介するとともに必要な食材などを列挙して説明するのが特徴である。目録末尾に天明三年初刊、天保一四年再刻、万延元年補刻、また「佐藤掬泉堂案并書」と記すが、掬泉堂の活動時期からするとこの「掬泉堂案」は不審であり、また、天明三年板から『永福女用文章』の書名であったとも考えられない。なお本書のうち前半の五八通を抽出した『女日用玉文庫』(外題・内題とも。菊屋幸三郎板)も別に存するが、万延板の刊記に記す天保一四年(一八四三)板はあるいはこの抜刷本を意味するか。
[備考]冒頭部「新玉りぬる此春の御寿、何方もおなし御事にいはゐ入まいらせ候」。『永福女用文章』は外題替え後の書名と考えられるが、現存本では万延元年以前に遡れない。従って、これを万延元年以降の書名と考えて、仮にここに掲げることにした。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

308 婦人日用 女用文章初音錦
 おんなようぶんしょうはつねのにしき
[異称]なし。
[書型]大本一冊。
[作者]藤牧暘潭(蒋泉堂)書。村山潭山(蒋村堂 *蒋泉堂門人)跋。
[板種]安政六年(一八五九)冬跋。万延元年(一八六〇)秋増補再刻。
万延元年板(江戸・須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛、須原屋伊八、須原屋新兵衛、和泉屋金右衛門、和泉屋吉兵衛、和泉屋市兵衛、出雲寺万次郎、内野屋弥平治、岡田屋嘉七)*吉海・家政学院大・家政大・中央大・石川県郷土(「女子用往来物不明本」)・成田。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始の文」から「奉文(二通)」までの三八通を収録した女用文章(全文並べ書き)。五節句・四季に関する例文が大半で、「湯治見廻のふみ」「結入祝儀のふみ」「婚礼しう儀の文」「出産祝儀の文」「奉公に出たる方へ遣はすふみ」なども含む。このほか末尾に散らし書きの五節句祝儀状(五通)を付す。なお、巻頭に「六歌仙和歌(色刷口絵)」を始め、豊富な挿絵とともに「和歌」「色紙短冊歌書やうの事」「手習」「五行相生相剋并男女相性」「歌貝」「貝合」「香道濫觴」「活花」「茶湯」「双陸」「花結」「機織」「縫針」「衣服を裁ときの心得」「何某大納言殿より御息女へ送給ふ御消息」「四厄十惑の事」「結燈台の事」「婦人の事并胎教」「婚礼式法」「子を教ゆるのくさぐさ」「衣桁飾様の事」「歯黒の事」「女の眉とる事」「嶋台の事」等を載せるほか、頭書にも「諸礼躾がた」「香道たしなみの事」「名香六十一種名寄文章」「女中詞づかひ」「大和ことば」「万染いろの名」「畳紙折形の図」「進物目録書様」「婦女をしえ艸」「食事しつけがた」「給仕の次第」「婦人平生心得草」「一代灸忌日の事」「産の前後食物并薬法」「婦人日用字づくし」「琴・三味線のこと」「四季の曲并序」「年中消息詞」「文認るこゝろ得」「一生涯の祝事」「女中嗜みの道歌」など数多くの特色ある記事を掲げる。例文の多さもさることながら、付録記事の多彩さが本書の特色である。
[備考]冒頭部「初はるの御寿きいづ地もおなじ御事に幾千代懸て、めて度申納まいらせ候」。
[所蔵]他に千葉中央ほか。
[複刻]なし。

【江戸後期(刊年不明)】

309 女手習教文
 おんなてならいおしえぶみ
[異称]扉題『女要文章宝鑑』。
[書型]大本一冊。
[作者]鳥飼酔雅原作。
[板種]江戸後期刊か。
刊年不明板(大阪・吉文字屋市兵衛)*小泉。
[類型]男筆用文章か。
[内容]明和三年(一七六六)刊『女要文章宝鑑』の改題本。同書末尾の例文一三通を削除したもの。「初春に遣す文」から「孫をもふけたる方へ遣す文」までの合計九九通を収録する。頭書は「三十六人歌仙」から「料理重宝記」までを載せる。前付は明和三年板を一部流用しつつも他の往来物の前付と混ぜてあり、「稲田姫略伝」「出雲国大社図并八景」「歌人故実」「しうげんの次第」「女の名字つくし」を収録する。
[備考]冒頭部は『女要文章宝鑑』に同じ。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

310 女童子用文章
 おんなどうじようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]半紙本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(京都・墨屋吉兵衛)*小泉(題簽の異なる二本を所蔵)。
[類型]用文章。
[内容]「新年の文」以下、五節句・四季・婚礼その他の女文二〇通を収録した女用文章。巻頭・巻末の数通は散らし書きで、他は大字・六行・付訓の並べ書き。頭書には挿絵や「男女相性の事」「女中名頭相性」「女中文の書やう」「不成就日・願成就日」「女たしなみ艸」などを掲げる。
[備考]冒頭部「あら玉の御寿何方もおなし御事にいはひ納まいらせ候」。なお題簽に二様あり。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

311 婦人日用 四季用文章
 しきようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(京都・河内屋藤四郎、大阪・河内屋茂兵衛、河内屋藤兵衛、江戸・山口屋藤兵衛、椀屋喜兵衛)*小泉・都立中央。
刊年不明板(京都・河内屋藤四郎、大阪・河内屋茂兵衛、河内屋藤兵衛、江戸・山口屋藤兵衛、椀屋伊三郎)*江森。
[類型]用文章。
[内容]「年始文ちらし書」から「出立歓びの文」の全五二通を収録した女用文章。五節句祝儀状や四季行事に関する手紙、通過儀礼その他吉凶事に伴う手紙などが主である。うち、年始状と八朔祝儀状の二通を散らし書きで綴り、読み順を数字で示す。また、巻末に「十二月異名」を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿御めでたさ申あげ奉り度さ、御まゑ様まで申上まいらせ候」。
[所蔵]他に石川県郷土。
[複刻]なし。

312 日用有益 女文章操鏡
 おんなぶんしょうみさおかがみ
[異称]目録題『婦人日用 四季用文章』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*江森。
[類型]用文章。
[内容]江戸後期刊『婦人日用 四季用文章』の改題・改編本。内題は旧来通りで外題のみを改め、『婦人日用 四季用文章』の前半の二五通(「年始文ちらし書」から「安産のふみ・同返事」まで)のみを収録し、残りを全て削除したもの。
[備考]冒頭部『婦人日用 四季用文章』に同じ。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

313 女文章都文箱
 おんなぶんしょうみやこのふばこ
[異称]なし。
[書型]中本(やや小本に近い)一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(京都・辻本仁兵衛、辻本儀兵衛、辻本九兵衛)*謙堂・学芸大・吉海。
[類型]用文章。
[内容]「年始の文」から「歳暮の文・同返事」までの四〇通を収録した女用文章。ほとんどが季節の挨拶や四季行事に関する例文で、後半に婚礼・出産・死去等に伴う例文数通を収める。本文の随所に庶民風俗を生き生きと写した挿絵を多く掲げるのが特徴。なお付録記事も多く、前付に「見合」「結納」「嫁荷物送り」「嫁入」等の婚礼記事、頭書に「女教誡」「三十六歌仙」「源氏五十四帖」「賢女鑑」「鏡の由来」「男の衣服裁縫吉日」、巻末に「百人一首よみくせ」「六十の図」などを載せる。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候ぬる此春の御寿、千さとの外迄も同し御事にいはゐ入まいらせ候」。巻頭口絵「鶴亀・相生の松図」は色刷。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二四。

314 女文林玉手箱
 おんなぶんりんたまてばこ
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊か。
[類型]用文章か。
[内容]不明。
[備考]『往来物分類目録』。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

315 女用文
 おんなようぶん 
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(仙台・柳川屋庄兵衛)*福地書店。
[類型]用文章。
[内容]不明。
[備考]頭書あり。安永九年(一七八〇)刊『女用文綾錦』に似た体裁だが別本。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

316 女用文鏡箱
 おんなようぶんかがみばこ
[異称]なし。
[書型]見返題『御家流 女用文鏡箱』。目録題『女用文』。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(名古屋・玉立堂)*小泉・玉川大。
[類型]用文章。
[内容]「正月の文」から「わたまし悦の文・同返事」までの三八通を収録した女用文章。このうち新年状及び寒中見舞状のみ往復四通収録し、うち二通が散らし書きになっているが、他は全て並べ書きである。内容は、四季・五節句にまつわる例文が大半を占め、末尾に婚礼・出産・招待・借用等の例文数通を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿いづくかたもおなし御事にいわひ納まいらせ候」。見返青色刷。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

317 女用文寿鑑/女用文宝箱
 おんなようぶんことぶきかがみ/おんなようぶんたからばこ
[異称]題簽題に『女用文寿鑑』の『女用文宝箱』二様あり。目録題『女用文寿鑑』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(江戸・吉田屋文三郎 *外題『女用文宝箱』)*小泉・ノートルダム清心。
刊年不明板(*外題『女用文寿鑑』)*江森。
[類型]用文章。
[内容]「年頭披露の文」から「年賀の文」までの三六通を収録した用文章。全文並べ書きで記すが、返書(折り返して冒頭から書き始める追伸文)の部分を散らし書き風に綴った例文も散見される。季節の挨拶や贈答に関する手紙や吉凶事に伴う手紙が大半を占める。
[備考]冒頭部「あら玉の御寿尽しなき御めで度さ幾久しく御いはひ申上まいらせ候」。天保三年(一八三二)板と同一書名だが、内容は異なる。なお、文化五年(一八〇八)刊『文化女用文章』広告中に「女用文宝箱」の書名が見える。本書または天保三年板を指すものか。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

318 女用文忍草
 おんなようぶんしのぶぐさ
[異称]扉題『艶書手引 女用文思能風草』。目録題・尾題『女用文忍艸』。なお『国書総目録』では異称を『女用恋の近道』とする。
[書型]半紙本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*小泉。
[類型]用文章(艶書)。
[内容]書名はいかにも女用文章だが、実際は「初て送る恋の文」から「首尾を告るふみ」までの一五通(末尾一通を除き往復文)を収録した、男女両用の艶書である。いずれも大字五行・付訓の並べ書きで記す。頭書には本文に対応した種々の言い替え表現・類語を掲げるほか、「艶書の大意」「初恋に送る文の心得」「初めて返しの文の事」「妾に送る文の事」「後室に送る文の事」「尼にをくる文の事」「目上成人へ送るふみの事」「奥の女中に送る文の事」「下女に送る文の事」「恋路の心得の事」「男女交合忌日の事」「男女愛敬守の事」など恋文や色道全般の記事を載せる。
[備考]冒頭部「文とはあまり御馴しく候へども、思ひにたへかね、密に示しまいらせ候」。青色刷模様表紙。
[所蔵]他になし。
[複刻]『江戸時代女性文庫』三二巻。

319 婦女用文章
 おんなようぶんしょう
[異称]異本外題『婦女用文章吾妻錦』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]蘭皐子書。
[板種]江戸後期刊(『往来物分類目録』は、文政四年(一八二一)頃刊とする)。
刊年不明板(名古屋・永楽屋東四郎 *外題『婦女用文章』)*小泉。
刊年不明板(名古屋・永楽屋東四郎 *外題『婦女用文章吾妻錦』)*小泉・ノートルダム清心。
[類型]男筆用文章。
[内容]「正月の文」から「縫物稽古の文」までの四五通を収録した女用文章。五節句や四季の挨拶状を始め、婚礼・出産・通過儀礼・死去・不幸事その他の例文を載せる。大字五行・付訓の並べ書きで記す。
[備考]冒頭部「初春の御目出たさ何方もおなじ御事にことぶきまいらせ候」。『婦女用文章』の題簽を付す菊花色刷表紙本と、『婦女用文章吾妻錦』の題簽を付す紺表紙本(無地)の二様がある。
[所蔵]他に名古屋市博。
[複刻]なし。

320 小野於通筆 女用文章
 おんなようぶんしょう
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]小野通書。
[板種]江戸後期、大阪・今津屋辰三郎、綿屋喜兵衛板か。
[類型]女筆手本か。
[内容]不明。
[備考]『大坂本屋仲間記録』に「小野於通筆、女用文章。今辰・綿喜」とある。小野通の手本は部分的な変更をしただけの類本が江戸中期以来いくつか板行されているが、本書も同様の手本であろう。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

321 女用文章花の山
 おんなようぶんしょうはなのやま
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]岡田玉山作。
[板種]江戸後期(文化年間以前)作。未刊か。
[類型]用文章か。
[内容]不明。
[備考]稿本が慶應大学に伝わるというが、未刊と思われる。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

322 女用宝文
 おんなようたからぶみ
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]不明。
[板種]江戸後期、大阪・塩屋平助板か。
[類型]用文章か。
[内容]不明。
[備考]『大坂本屋仲間記録』に「女用宝文、塩平」とある。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

323 女用文浜真砂
 おんなようぶんはまのまさご
[異称]扉題『女用文浜の真砂』。柱『女用文』。
[書型]大本一冊。
[作者]掬泉堂書・序。橋本玉蘭斎(貞秀)画。
[板種]江戸末期原板。明治初年再刊。
明治年間板(東京・江島喜兵衛)*小泉・玉川大。
[類型]男筆用文章。
[内容]「年始披露の文」から「普請移徙の文」までの二八通の女文(並べ書き)と、「四季のちらし書」四通、さらに「伊勢参宮歓ひの文」「祭礼に付招の文」など三通(並べ書き)の合計三五通を収録した女用文章。前半の四季・五節句等の女文には上野・飛鳥山・隅田川の花見や寒中見舞いの紀州蜜柑贈答に関する例文も見え、後半には婚礼・出産・家督相続・新築移転など佳節に伴う祝儀状を収録する。また、頭書には「女中しつけがた」「諸芸嗜之巻(手紙・色紙・短冊等の作法)」を掲げる。なお、巻頭に女諸芸の図など色刷口絵数葉を載せる。
[備考]冒頭部「初春の御寿御目出たさ、まつ上々様かた御機嫌能わか葉の春に移らせ候て…」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

324 女用文袖鏡
 おんなようぶんそでかがみ
[異称]目録題『女用文章袖かゞみ』。柱題『女用文』。
[書型]中本一冊。
[作者]笠亭仙果原作。
[板種]江戸後期(嘉永四年以降)刊。
刊年不明板*筑波大。
[類型]用文章。
[内容]嘉永四年頃刊『女用文章袖硯』の作者を隠蔽した改題本。「年始披露の文」から「年賀悦の文」までの四〇通を収録する。本文・付録記事ともに『女用文章袖硯』と全く同じ。
[備考]冒頭部は『女用文章袖硯』に同じ。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

325 女用文姫鏡(中本)
 おんなようぶんひめかがみ
[異称]目録題『女用文姫鑑』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(京都・吉野屋仁兵衛、大坂・敦賀屋九兵衞、綿屋喜兵衞、江戸・須原屋茂兵衞、須原屋伊八、山城屋佐兵衞、山城屋政吉、出雲寺万次郎、和泉屋市兵衞、山口屋藤兵衞、森屋治郎兵衞、丁字屋平兵衞、山崎屋清七、藤岡屋慶次郎)*小泉・江森・謙堂・玉川大・吉海。
刊年不明板(大坂・敦賀屋九兵衞、綿屋喜兵衞、江戸・須原屋茂兵衞、須原屋伊八、山城屋佐兵衞、山城屋政七、出雲寺萬次郎、和泉屋市兵衞、山口屋藤兵衞、森屋治郎兵衞、丁字屋平兵衞、山崎屋清七、藤岡屋慶次郎)*静岡県図。
[類型]用文章。
[内容]「年始のふみ」から「道具借に遣す文」までの四三通を収録した中本の女用文章。四季・五節句の手紙を主とし、そのほか婚礼・出産祝儀状なども含まれるが、例文の主題は変化に富んだものではない。しかし、年始状や暑気見舞いについては「遠国宛」の場合も載せたり、また散らし書きや追伸文を例示するなど一通りの女文が分かるようになっている。本書を小本に改編した別本とは内容に小異あり(例えば小本第六状「源氏名寄文ちらし書」は載せない)。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候此春の御寿、何方もおなし御事に祝ひ納めまいらせ候」。なお唐澤氏所蔵本(江戸・西宮、大阪・錦屋)は本書と同じか。
[所蔵]他に東大・ノートルダム清心。
[複刻]『往来物分類集成』R二八。

326 女用文姫鏡(小本)
 おんなようぶんひめかがみ
[異称]目録題『女用文姫鑑』。
[書型]小本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*学芸大・玉川大。
[類型]用文章。
[内容]同名の中本とは小異あり。「年始のふみ」から「野がけ催しの文」までの四一通を収録した小本(中本よりやや小さい)の女用文章。四季・五節句の手紙を主とし、そのほか婚礼・出産祝儀状なども含まれるが、例文の主題は変化に富んだものではない。しかし、年始状や暑気見舞いについては「遠国宛」の場合も載せたり、また散らし書きや追伸文を例示するなど一通りの女文が分かるようになっている。なお、第六状の「源氏名寄文ちらし書」は消息文ではなく『源氏物語』を題材にした往来である。また、巻末に「小笠原流おりかた」「祝言島台の図」を付す。
[備考]冒頭部前項に同じ。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

327 女用文操鑑
 おんなようぶんみさおかがみ
[異称]なし。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期(文化九年(一八一二)以降)刊。
刊年不明板*小泉・青森県図。
[類型]用文章。
[内容]文化九年(一八一二)刊『女用文独稽古』のうち第一部「四季十二ヶ月の文づくし」だけを抄録して編んだ海賊版。各月ごとにふさわしい題材(例えば「三月花見をもよほす文」「四月ほたるがりの文」「六月すゞみの文」「八月月見の文」「九月葺がりの文」「十一月火たきの文」「十一・十二月雪ふりの文」など)の例文ばかりを選び、「正月初はるの文」から「十二月歳暮の文・同返事」まで合計四二通を収録する。なお、『女用文独稽古』の巻頭・巻末の和歌に替えて、巻頭に「五節句歌」、巻末に「小笠原流折形図」を掲げる。なお本書は、付録記事を含め天保一四年(一八四三)刊『女用文章姫鑑』と全く同じである。
[備考]冒頭部は『女用文独稽古』に同じ。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

328 女用文操庫
 おんなようぶんみさおぐら
[異称]書名は見返題および目録題による。柱『女用』。
[書型]半紙本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(江戸・藤岡屋慶次郎)*弘前市図。
刊年不明板(江戸・藤屋棟助)*玉川大・宮教大。
刊年不明板(江戸・須原屋茂兵衛ほか)*ノートルダム清心。
[類型]用文章。
[内容]「年始のふみ」から「道具借に遣はす文」までの四三通を収録した女用文章(冒頭の年始の文は遠国に送る場合や散らし文の場合など三種六通)。多く大字六行・並べ書き・付訓の文章で綴るが、年始・弥生祝儀状は散らし書きで掲げ、並べ書きの例文にも返書(追伸文)や行末の文言を散らし書き風に記した箇所もある。例文内容は前半が四季・五節句、後半が婚礼・出産・髪置・移徙等の祝儀状や諸用件の文である。見返に「孔雀等花鳥図」、また頭書に「女手習教訓書」「女教筆のすさみ」「不成就日」「毎月悪日の事」「物を裁ざる日」「色紙短冊の寸法」等、巻末に「女中こと葉つかひ」を載せる。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候此春の御寿、何方もおなし御事にいはゐ納めまいらせ候」。
[所蔵]他に宮教大。
[複刻]なし。

329 女用文操車
 おんなようぶんみさおぐるま
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]楳亭金鵝編か。
[板種]江戸後期(嘉永六年以降か)、大阪・勝尾屋六兵衛、河内屋喜兵衛板か。
[類型]男筆用文章か。
[内容]嘉永六年(一八五三)刊『女用文宝鑑』の改題本(外題替え)という。
[備考]『大坂本屋仲間記録』に「女用文宝鑑外題改、女用文操車、勝六・河喜」とある。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

330 女用文目出度かしく
 おんなようぶんめでたくかしく
[異称]柱『女用文』。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*小泉・新潟県図。
[類型]用文章。
[内容]「年始の文」から「客招の文」までの往復文三四通を収録した簡易な女用文章。五節句や四季時候の文、また、出産・結納・奉公・病気・移従等を主題とする例文からなる。返状を全て頭書に載せるのが特徴。追伸文を伴う例文も多いが、書札礼に則って婚礼・病気などの例文には追伸文を付けていない。
[備考]冒頭部「新玉りまいらせ候此春の御寿何方もおなし御事に祝ひ納めまいらせ候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

331 女用都織
 おんなようみやこおり
[異称]不明。
[書型]大本一冊か。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊か。
[類型]用文章か。
[内容]不明。
[備考]『女用文章綾錦』の抜刷本というが(『大坂本屋記録』)、宝暦(一七五一〜六四)頃刊『女用文綾錦』を指すか。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

332 五節句乃文
 ごせっくのふみ
[異称]なし。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*三次市図。
[類型]用文章。
[内容]女子消息文例一〇通を収録した簡易な女用文章。「年始乃文」「上巳の文」「端午の文」「七夕の文」「重陽の文」の五通を本文欄に収め、それぞれの返状を頭書に載せる。
[備考]なし。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

333 海内一般 女童用文章
 じょどうようぶんしょう
[異称]なし。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*学芸大。
[類型]用文章。
[内容]天保(一八三〇〜四四)頃刊『女年中文案詞』の改題本。「年始之文」から「歳暮之文」までの往復文三〇通を収録する。さらに本書の付録記事(前付)の一部を改めた改題本が明治初年刊『皇国女用文宝箱』である。
[備考]冒頭部は『女年中文案詞』に同じ。
[所蔵]他になし。
[複刻]『女子用往来物分類集成』R二四。

334 ちらしの千話文
 ちらしのちわぶみ
[異称]書名は目録題による。
[書型]中本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板*小泉。
[類型]用文章(艶書)。
[内容]全文が三〜五段程度の散らし書きで綴った長文の恋文集。一般の女用文章とは異なる。「せかれて逢れぬ女に送る文」から「飽ぬに別れんとする夫におくる文」までの一三通を収録する。仮に女子用としてあるが、男女共用の艶書である。
[備考]冒頭部「さらぬだに恋しきものを此ごろは、野辺の尾花の穂にあらはれて、あふ瀬もたえて夏むしの、身を焦す思ひのほど、深くも御察し被下べく候」。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。

335 女筆雛鶴
 にょひつひなづる
[異称]不明。
[書型]小本一冊。
[作者]不明。
[板種]江戸後期刊か。大阪・河内屋茂兵衛板か(ただし京都書肆との相合板)。
[類型]用文章。
[内容]不明。
[備考]『大坂本屋仲間記録』に「女筆雛鶴、寸珍、相京、河茂」とある。文化一一年(一八一四)刊『雛鶴用文姫鑑』(京都三書肆刊)を指すか。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

336 万世女用文章
 ばんせいおんなようぶんしょう
[異称]不明。
[書型]一冊(大本か)。
[作者]不明。
[板種]江戸後期、大阪・丹波屋治兵衛板か。
[類型]用文章か。
[内容]不明。
[備考]『大坂本屋仲間記録』に「万世女用文章、丹治」とある。
[所蔵]現存せず。
[複刻]なし。

337 和歌那の始
 わかなのはじめ
[異称]なし。
[書型]大本一冊。
[作者]月岡暗明書。
[板種]江戸後期刊。
刊年不明板(江戸・須原屋茂兵衛)*小泉。
[類型]男筆手本。
[内容]若菜摘み(若菜迎え)という正月行事の由来を記した仮名文や、それにまつわる衣笠内大臣の和歌、また、「久々に送る手紙」など仮名交じりの消息文(「かしく」で結ぶがほぼ準漢文体)四通と詩歌四編を収録した陰刻手本。筆者は信州佐久向田の住人。
[備考]冒頭部「吉野川のおくに国栖人と言ゑひすのおほやけにもしられ奉りて…」。彫工は宮田六左衛門。
[所蔵]他になし。
[複刻]なし。