映画館がやってきた! | 映画鑑賞記 |
自衛隊特殊部隊の長距離単独行の訓練中、殺人事件に遭遇した
主人公(健さん)が、一般民と関わってはいけないという禁を破ってしまったのを
きっかけに除隊し、殺人事件のたった一人の生き残りで記憶喪失の娘を引き取り、
東北の地方都市で保険外交員として生活するが、担当した事故の調査をきっかけ
に地元財界を牛耳る一族の横暴、殺人事件を暴いてしまい、対決を余儀なくされ
る。 しかし、警察が動くことで彼の身元が割れ、特殊部隊の存在が明るみに出ることを防ぐべく、 元の上官たちが関係者の抹殺を企てる。 自衛隊の演習に紛れて送り込まれた22人の特殊部隊に彼は生き延びることが 出来るのか。 …てな話(大ヒット作だが、若い人は知らんじゃろ)。 |
健さんが訓練中に遭遇する「村人全員惨殺事件」の現場の村は、
茅葺き屋根の農家が立ち並ぶ寒村で、斧を振り回す狂気の人は
「あぁ、森村誠一だ」って感じですね(笑)
健さんが事件の生き残りのひろこちゃんを引き取ってから流れ着いた
東北の街で地元経済を牛耳るボスと息子、土建会社の下っ端どもの極悪
非道ぶり、新聞、警察もぐるになって悪事隠し…というのは、ちょっと
そらぞらしくて、この辺は感心しません。
また、健さんを「惨殺事件」の犯人とにらんでつけ回す、よそ者の刑事
も、地元警察のような不正を働くわけではないけれど、周囲の犯罪行為を
見て見ぬ振りしたり、組の息の掛かった暴走族に健さんが襲われたときに
わざわざ凶器となる斧を投げて渡したりと、非常識にも程があると糾弾
すべき極悪人。
自分で斧を手渡しておいて「それがおまえの本性だ」は無いだろ。
あんたは事件を止められただろ。と叫んでやりたい、まったく(^^;
さて、これらのシーンでの最大の疑問は、いくら健さんが元の
ベストコマンドだっとはいえ、刑事と子供連れであんなに簡単に
特殊部隊をやっつけられるのか、ということと、冒頭22人のうち
半数の11人を爆破でやっつけるのだけれど、残りの11人は、ちゃん
と数が合っているのか?ということ。
どうも11人以上殺している気がするのだけれど。
ラスト近くの、ヘリの上官との撃ち合いにしても、あまりにも
弾が当たらなさ過ぎで、長々と打ち合っているが、マシンガンの
弾が無限にあるように見える。
すなわち、な〜んか嘘臭く緊迫感がそがれる。
ハリウッド映画なら、激しい撃ち合いの中で、マガジン交換で
間合いを作るのは定石。たまに「撃ち尽くしたら捨てちゃう」という
『マトリックス』みたいなのも有るけれど。
大ラス、何もかも失った健さんが、拳銃片手に戦車部隊に
突っ込んでいくのも変でしょう。敵は特殊部隊の生き残りのはずで、
隊長から全員片づけてしまったのだから、目の前の戦車部隊は、
演習中の一般隊員であって敵じゃないのに。
…と、後半に進むに連れて無茶が爆発しているこの作品だけれど、
やっぱり薬師丸ひろこは鮮烈だった。というのが結論。
記憶喪失のやや自閉症気味の…という設定のため。どうも
演技と言うほどの演技はしていないような気もするんだけれど
存在感は凄いと(^^;
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |